社会への貢献

医・食・農一体の取り組み
〜京都大原記念病院との連携が生んだグリーン・ファーム・リハビリデーション®〜

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第1章 京都大原記念病院との出会い

京都大原記念病院は、昭和56年から京都北部の大原地区において運営を開始する、理学療法士等のリハビリテーション専門家約200名を擁す西日本最大規模のリハビリテーション医療専門の病院です。

平成25年に水田跡地だった現在の自家農園を譲り受け、地方創生を目指す取り組みの一環として、施設内で提供する食事の地産地消に着手。地産地消は地元農家とのつながりで実現し、その流れで地元農家からシソを譲り受けることになりました。手始めに職員の皆さんでシソ栽培を始めたものの、農作業経験者がいない中では日々食卓に提供できるだけの収穫には遠い状況でした。

連携前の農園。
↑連携前の農園。
近隣農家さんの畑を借りて栽培を教わる同院の管理栄養士さん。
↑近隣農家さんの畑を借りて栽培を教わる同院の管理栄養士さん。

地元大原の農家さんの空いている畑を借りて栽培の教えを乞うなど栽培技術取得を模索する日々。この問題を解決したのが、2014年に開催された健康長寿産業シンポジウム(農水省主催)でのタキイ種苗研究員との出会いでした。タキイ種苗はリコピンやカロテンなど機能性成分を豊富に含む野菜「ファイトリッチ」シリーズの展開をスタートしており、「病院食でファイトリッチを使って、より健康的な食事をご利用者に提案していきたい」という管理栄養士の考えと合致し、ファイトリッチ品種の栽培で技術的な支援をするなどの連携が始まりました。

大原産ファイトリッチをつかったメニュー(2016年)。
↑大原産ファイトリッチをつかったメニュー(2016年)。
旬の野菜を使い、メニューや食器にも彩りをプラス(2017年)。
↑旬の野菜を使い、メニューや食器にも彩りをプラス(2017年)。

同院の周囲には約750mの外周路が整備されており、日々患者様が歩行訓練を行われています。この外周路沿いにある自家農園で、タキイが農作業を指導することになり、ファイトリッチシリーズなどの品種の提案や畑作りなどを提案いたしました。栽培指導には研究農場OBが技術員としてあたることになりました。
同院で栽培のリーダーとなった榎並宏之氏によると、職員とタキイによる農作業を目にするうち、患者様から「私も野菜作りの農作業をしてみたい」「育てた野菜を収穫、料理したい」「お花を摘んで部屋に飾りたい」との声が寄せられるようになったそうです。こうしたことから農作業そのものがリハビリテーションのプログラムに加えられるようになりました。

これが農業とリハビリテーションを融合させたプログラム「グリーン・ファーム・リハビリテーション®」の幕開けです。こうして栽培される農作物は、地元契約農家さんの農作物と合わせて病院食として提供するなど、「医・食・農一体」のリハビリテーションという、世界でも例のない取り組みが始まったのです。
※「グリーン・ファーム・リハビリテーション®」は、京都大原記念病院(医療法人社団行陵会)の商標登録です。京都府立医科大学・タキイ種苗との連携プログラムです。

現場の声1
「大原だからできること〜リハビリテーションと農作業の融合〜」

京都大原記念病院 院長 垣田清人 先生

京都大原記念病院グループはリハビリテーション医療を核とし、医療・介護をトータルに提供するネットワークを構築しています。拠点を構える大原は、観光客にも人気の高い三千院を中心に観光地としてにぎわったものの、現在は地域の高齢化率が45%を超える水準となり活力低下に悩んでいます。しかし、市街地から車で約15分の距離に位置しながら、これほど自然に恵まれた地域は他になく、大きな地の利となっています。
私たちはそんな京都大原の環境を生かした身体機能改善の手段を「グリーン・ファーム・リハビリテーション®」と命名し、研究事業といたしました。そもそも農作業はヒトの健康(mental/physical)によい効果があると言われています。特に私たちのような脳卒中等による障害を克服するためのリハビリテーションを行う「回復期」においては、患者さんの自立支援への有効な手段になると期待しており、医療と農作業を融合させることにより、今後ますます患者さんの「復権」に寄与していきたいと考えております。
さて、元々私たちは農作業のノウハウを全く有しておりませんでした。そのような中、タキイ種苗鰍ニの連携は、当院内の農園風景を一変させました。大原という周囲の自然環境と調和して、山里の農園らしく四季折々の光景が見られるようになり。畝づくり、タネまき、草引き、収穫等、それぞれの過程はビニールハウスを使わない露地栽培であることから工程自体が季節感をも示しています。