ここぴあ通信

「ファイトリッチ」シリーズを湖南市の特産品に!
市内針地区の生産者グループが、
栽培に販売に、奮闘する模様をお届けします。

湖南市の市民産業交流施設「ここぴあ」は、市内全体の経済活動を促進し、市民の交流や憩いの場となることを目的に設立されました。柱となる農産物直売所では、タキイの「ファイトリッチ」シリーズを市の新たな特産品にしようとしています。設立から二度目の冬を迎え、栽培する針地区生産者の方々は新たな品種にもチャレンジ。さて、その結果はどうだったでしょうか……?

湖南市市民産業交流施設「ここぴあ」
滋賀県湖南市岩根4528-1
TEL:0748-72-5552

黄瀬 昇さん

農事組合法人 はり営農 代表理事 平成20年はり営農へ加入、23年代表理事就任。組合で米や下田なすを栽培するほか、高齢者、障害者が農業を支えるという理念のもとチャレンジファームを結成し、養鶏や野菜・果樹栽培に取り組んでいる。

黄瀬 昇さん

支持の高い「ファイトリッチ」シリーズ

「ファイトリッチ」への取り組みを始めて2年目。今回、秋冬野菜で試みたのが、ホウレンソウ「弁天丸」の継続出荷、ハクサイ「オレンジクイン」とタマネギ「ケルたま」の増産です。

「弁天丸」は旬の秋冬時期にとても好評で、昨年の春にも作ってみたらこれがまたよく売れた。今回はトマト・ピーマン用に建てたハウスを活用し、冬季から春の露地物へつなげることで継続出荷を目指しました。

ハウスへは11月下旬から段まきし、露地では組合員の畑へ3月下旬にまいてもらいました。その結果、1月〜5月初めまでとぎれることなく、全部で300袋以上は出荷できたと思います。売れゆきも期待通りで、とにかく返品がほとんどない。売り場にほかのホウレンソウがあっても、「弁天丸」は着実に売れていきます。

「オレンジクイン」にもすぐファンがつきました。おそらく濃いオレンジ色の見た目と、味のよさが支持されたのだと思いますが、売り場に見当たらないと「『オレンジクイン』はないですか?」と聞いてこられるお客さんもいたそうです。そういう方のためにも長く出荷できるよう、畑に置いて少しずつ出していきました。長く置くと太ってどっしり重くなり、より見ばえがする。1月末まで出荷を続けましたが、この冬の野菜不足もあってなかなかの高値で売ることができました。

そのおいしさで好評の「弁天丸」。ハウスを活用することで、長期間の出荷を可能にした。
そのおいしさで好評の「弁天丸」。ハウスを活用することで、長期間の出荷を可能にした。
鮮やかな色と高機能性をしっかりアピール。すぐ人気となった「オレンジクイン」。
鮮やかな色と高機能性をしっかりアピール。すぐ人気となった「オレンジクイン」。

「ケルたま」の特性を生かす

また、前回ケルセチンの多さで好評を博し、早々に品切れとなった「ケルたま」は、組合の作付け分を1,000から3,000に増やし、ほかに組合員個人の畑でも作ってもらいました。苗や気象の条件もあって、予定より収獲数は少なくなりましたが、とれた品物には問題なし。並べてみれば抜群の売れゆきで、タマネギ売り場に「ケルたま」コーナーができるほどです。長期保存の効く特性を生かし、年明けにも販売するつもりで増産したのですが、またも足りなくなりそうな気配です。

ただ、今回は寒くなるまでじっくり待ちたい。年を越しても腐らず芽も出ないのは、前回に確認済みです。タマネギの豊富な時期にあわてて安価で売らなくとも、自信をもって置いておけます。売り場から地元産が姿を消す時期に、ぜひとも「ケルたま」を並べたいと思っています。

春からは、リーフレタス「ワインドレス」やオクラ「ヘルシエ」も新たに取り入れました。まだ売り始めたばかりですが、特に「ヘルシエ」は好調な出だしです。これは「ファイトリッチ」のオクラが出ると聞き、「ぜひに!」と取り寄せたもの。もともとオクラのネバネバは身体によいというイメージがあるせいか、置けばすぐ売れてしまいます。今後はさらに詳しく特性を紹介していくつもりです。

今年も絶好調の「ケルたま」。写真は5月上旬に試し抜きしたもの。ここから約1カ月で収穫期に至る。
今年も絶好調の「ケルたま」。写真は5月上旬に試し抜きしたもの。ここから約1カ月で収穫期に至る。

「ケルたま」の特性を生かす

気がつけば「ここぴあ」のオープンから1年半が過ぎました。店はますます好調で、当初から構想にあったレストランも、オープンへ向けて準備は着々と進んでいます。

レストランへ継続的に野菜を供給するには、まだ出荷者が足りないと、湖南市では昨年の秋から農業塾を始めています。これは希望者を募って畑を貸与し、教えながら野菜を栽培してもらって、できたものを塾生自身が「ここぴあ」で販売するというもの。これは非常に好評で、1時間ほどで完売したそうです。

また、「ここぴあ」のある「みらい公園」の一角にハウスを2棟建て、1棟ではミニと中玉トマト、もう1棟ではホウレンソウを栽培することになっており、この計画には私たちも参加しています。トマトの方は「CF千果」「フルティカ」など4品種、ホウレンソウは「弁天丸」でスタートの予定で、様子を見て別の葉物を加えるなどしていくつもりです。「ファイトリッチ」シリーズを湖南市の特産として推進していくためにも、選ぶのはここからと決めています。

レストランがオープンしたら、また詳しくお伝えしたいと思います。

黄瀬 正子さん

野菜作り歴は20年近く。自家用野菜を栽培していたが、「ここぴあ」への出荷を始めてからは積極的に新しいことにも取り組んでいる。

黄瀬 正子さん

前回、秋冬野菜でとてもよかったホウレンソウ「弁天丸」。黄瀬昇さんから「春作ならもっといける」とすすめられ、初めて3月にもまいてみました。徐々に暖かくなる時期だけあって生育は早く、一時期初夏のような暑さの時は急に大きくなって、「トウが立つ前に急いで出さないと!」と焦って収穫しました。

袋に入りきらないほど立派になって、味はさすがに旬の「弁天丸」には及ばないけれど、それでも十分なおいしさです。すごく売れたようで、確かに春に作るのもいいと思いました。

ハクサイ「オレンジクイン」にも初挑戦。発芽率がよくて作りやすく、特に問題なく大きくなりました。色もきれいだし味もいいし、100株近く植えた時は「売りきれなかったらどうしよう」と案じましたが、そんな心配は無用(笑)。1月末まで少しずつ出荷し、最後までよいものをとることができました。

あとはタマネギ「ケルたま」や、春からはリーフレタス「ワインドレス」、オクラ「ヘルシエ」にも初挑戦。もちろん、トマトやピーマンも植えていて、今回は初めてトマトをタネから栽培してみましたが、案外よく芽が出ています。少しずつ新しいことに取り組みながら、がんばっているところです。

「ワインドレス」は赤色が美しい。ほのかな苦みがサラダのアクセントに。

「ワインドレス」は赤色が美しい。ほのかな苦みがサラダのアクセントに。

また芽が出たばかりの「ヘルシエ」。この後順調に育って人気の野菜に。

また芽が出たばかりの「ヘルシエ」。この後順調に育って人気の野菜に。

黄瀬 喜久子さん

出荷経験がなかったころから、よいものを作ろうと工夫は欠かさず。現在は栽培するだけでなく、作る時期や売り方にまで考えが及んでいる。

黄瀬 喜久子さん

昨年の夏はとても暑く、そのころ播種するニンジンはもろに影響を受けました。まず8月中旬に「オランジェ」のタネをまいたのですが、雨が少ないのも影響してかなかなか芽が出ず、何度かまき直しをするはめになりました。前回は苦労することなくよいものができたので、この手間は予想外。ただ、8月末ごろまいた「Dr.カロテン5」はわりによく出たので、あまり暑い場合は少し遅らせた方がいいのかもしれません。

「Dr.カロテン5」は初めてですが、「オランジェ」と同様においしいですね。生でも煮炊きしても甘いし、色は一段と鮮やかな気がします。それに、播種期が幅広いので、「オランジェ」では無理な時期にも作れる。この2品種を使い分ければ、甘いニンジンがいろんな時期に出せそうです。

ハクサイ「オレンジクイン」もいいですね。冬の寒さで野菜全般が不作となる中、この品種はよく育ちました。少しずつ出すように言われたので、収穫期になってもそのままにしていたのですが、置けば置くほど中が密になって、大きくなってくる。でも、割れないんですね。作りやすいしおいしいし、抜群でした!

だいたいは黄瀬正子さんと同じような品種を作っているのですが、今回私だけ作ったのが先にお話しした「Dr.カロテン5」と、もう一つはカラシナ「コーラルリーフ」。赤い色とピリッとした味がサラダ向きです。私は好きな品種なので、栄養面などの特長をもっとお客さんにアピールしていきたいですね。

よく太った「Dr.カロテン5」。少し遅めの播種も功を奏し、順調に生育した。

よく太った「Dr.カロテン5」。少し遅めの播種も功を奏し、順調に生育した。

「オレンジクイン」は味も色もよいうえ作りやすい。畑に置いても割れずにどっしり大きくなる。

「オレンジクイン」は味も色もよいうえ作りやすい。畑に置いても割れずにどっしり大きくなる。

サラダにぴったりの「コーラルリーフ」は黄瀬喜久子さんのお気に入り。

サラダにぴったりの「コーラルリーフ」は黄瀬喜久子さんのお気に入り。

小林 一博さん

以前からはり営農の野菜部門を引き受け、地元野菜の「下田なす」などを栽培。ここぴあ」ができてからは、育苗、栽培のほか出荷も担当し、忙しい毎日を送る。

小林 一博さん

>昨年、好評すぎてあっという間に品切れになり、今回は十分作付けしたつもりだったタマネギ「ケルたま」。ところが、この冬はとても寒く、購入した苗が若かったのもあっていくらか枯れてしまい、生育もなかなか進みませんでした。さらには一部でべと病まで発生。幸い「ケルたま」の収穫にはさほど影響しませんでしたが、今回は気をもむことの多い栽培でした。

このように、計画通りの大量増産とはいきませんでしたが、それでも前回よりはずっと多くとれました。6月には店頭へ並べましたが、相変わらず好評で、次はさらに増やすことも考え中です。

タマネギでは「ここぴあ」への出荷用とは別に、契約栽培で「ネオアース」も作っているのですが、余った苗を育苗用ハウスの一角へ植えてみたところ、よく生育して病気もなく、露地より早く収穫できました。次はぜひ「ケルたま」でもやってみたい。このハウスへは、今回ホウレンソウ「弁天丸」やミズナ「紅法師」を入れたほか、ソラマメやミズナなども植えていますが、今後はもっと活用していきたいですね。

春からは果菜類の育苗。トマトは中玉とミニに加えて、今回は新たに大玉の「桃太郎ゴールド」も取り入れ、また前回成績のよかった「CF千果」「オレンジ千果」は数を増やしてあります。これらは果菜用のハウスに植えるほか、組合員に分けたりもします。苗がいろんな人の手に渡り、作ってもらって、それをまた私が出荷する。その時が今から楽しみですね。

「ケルたま」は冬の寒さで生育が遅れたものの、春にはしっかり太って収獲にこぎ着けた。

「ケルたま」は冬の寒さで生育が遅れたものの、春にはしっかり太って収獲にこぎ着けた。

冬季のハウスを葉物にも活用。「紅法師」もきれいに育っている。

冬季のハウスを葉物にも活用。「紅法師」もきれいに育っている。

これからの期待がふくらむ果菜苗。手前の「こどもピーマン」などは、組合員から「欲しい」と要望も多い。

これからの期待がふくらむ果菜苗。手前の「こどもピーマン」などは、組合員から「欲しい」と要望も多い。

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