リレー連載 京都府立植物園のガーデナーがご紹介! 飾る楽しみ、育てる喜び… 植物の楽しみ方ガイドリレー連載 京都府立植物園のガーデナーがご紹介! 飾る楽しみ、育てる喜び… 植物の楽しみ方ガイド

花や植物を身近に感じる暮らしは、生活に彩りと癒しを与えてくれます。これから園芸を始めたい方でも楽しんで取り入れていただける花や植物の親しみ方や育て方を、植物園のガーデナーに解説していただきます。
第3回「庭にも部屋にもグリーンを!

〜バラと多肉植物・春の植物園〜」

[今回のガーデン講師]京都府立植物園 技術課主幹 田中 淳夫(たなか あつお)

まだまだ寒さが染み入る京都。来たる春が待ち遠しい毎日ですが、植物園の樹々や花たちは芽吹くための準備を始めています。
「はる」の語源は諸説ありますが、その一つに地中で植物の根が張る の「はる」から由来するというものがあります。また、春を意味する英語のSpringは「芽吹く」という言葉が語源となっています。いずれにせよ春は古今東西、植物たちが動き始める時期として人の心の中に刻み込まれているようです。

バラを楽しもう!管理のポイント

当植物園には春の人気スポットとして、ばら園があります。バラは春と秋に二度楽しめますが、日増しに暖かくなる春の盛りに花開くその姿と芳醇な香りは格別なものです。そのようなバラをご家庭でも楽しむには、いくつかの管理ポイントがあります。
まずは、夏と冬の剪定(せんてい)です。夏の剪定は秋に開花するバラのために、冬の剪定は春に開花するバラのために行います。
夏の剪定は秋の開花までの期間が短いため弱めに行います。咲き終えた花を摘み、大きく丈夫な枝を残して、全体の2/3ほどの高さになるように枝を切りそろえます。この時に合わせて、弱い枝や、内向きの枝を付け根から切り落としましょう。
冬の剪定は春に開花するバラのために行いますが、開花までの期間に余裕があるため夏の剪定よりやや強めに行います。花が散る前に、今年の春に伸びた元気な枝を下から3芽くらい残し切り取ります。また、枯れた枝や弱った枝、内向きの枝を全て付け根から切り落とします。大きく伸びた枝は剪定前の1/2程度に切りそろえ、株元から生えてきた新しい枝(シュート)は、わき芽を出したい位置で剪定します。
次は肥料です。肥料は年に2回施用します。芽出しの肥料は3月にチッソが多いものを、春の開花後にお礼肥としてリン酸が多いものを、株元から30cm離して円を描くように施用します。また樹勢が弱いと感じた時は、随時、薄めの液肥を施用するのも効果的です。
注意を要する病害虫については黒点病やうどんこ病、アブラムシやハダニなどがあります。日々の観測で早めの防除を心がけましょう。
これから迎える春、そして夏の暑さがほころぶ秋。心地のよい季節にバラを楽しむには、ぜひ、このような栽培管理をおすすめいたします。
当植物園では240品種のバラが皆さんをお出迎えします。特におすすめなのが世界バラ会議が初めて「栄誉ある殿堂入り品種」として認定した「ピース」です。クリームイエローの色が鮮やかな大輪の品種で、ばら園の中でもひときわ華やかな花を咲かせています。ぜひご覧ください。

バラ「ピース」

バラ「ピース」
第二次大戦後、平和への希望を込めて命名された名花。1976年殿堂入り品種。

冬剪定での枝の切り方

冬剪定での枝の切り方
外芽の上5〜6mmのところに斜めにハサミを入れる。

インテリアにいかが?多肉植物

さて、バラは年に2回の見ごろを楽しみに栽培しますが、年中お部屋の中でも楽しめると人気なのが多肉植物です。多肉植物は葉や茎の中に水分を蓄えて乾燥に強く、サボテンなどもこの仲間になります。
初心者の方にも簡単に栽培できておすすめなのが「ハオルチア」や「セネキオ」などで、省スペースで楽しむことができます。この二つは強い光を嫌うので、室内の明るい日陰で簡単に育ちます。水やりは用土が乾けば与える程度で十分です。リビングの机の上や本棚などで気軽に楽しむことができます。
他にも花が美しく、形も面白い「リトープス」や「コノフィツム」は潅水などの栽培管理が少し難しいですが、インテリアプランツとしておすすめです。
当植物園では観覧温室で色々な多肉植物を見ることができます。前回、ご紹介したサボテンの他にも「ユーフォルビア」や「アロエ」などの多肉植物を見ることができます。

ハオルチア属 
葉がやわらかい軟葉系と、比較的かたい硬葉系がある。葉の表面に「窓」と呼ばれる半透明の部分があるものも。

ハオルチア属
葉がやわらかい軟葉系と、比較的かたい硬葉系がある。葉の表面に「窓」と呼ばれる半透明の部分があるものも。

セネキオ属
寄せ植えでも定番の人気品種、「グリーンネックレス」。

セネキオ属
寄せ植えでも定番の人気品種、「グリーンネックレス」。

リトープス属
自生地の多くが砂利の多い砂漠や岩場のため、石に似たとされる形が面白い。

リトープス属
自生地の多くが砂利の多い砂漠や岩場のため、石に似たとされる形が面白い。

コノフィツム属 
花が美しく、花色もバリエーション豊富。

コノフィツム属
花が美しく、花色もバリエーション豊富。

アロエ属
観覧温室内・砂漠サバンナ室で「アロエワオンベ」が開花しているところ。

アロエ属
観覧温室内・砂漠サバンナ室で「アロエワオンベ」が開花しているところ。

見どころたっぷり、春の植物園

春から夏にかけてサクラやサルスベリ、ムクゲなどの樹木、チューリップやヒマワリ、アサガオなどの草花、季節感あふれる多くの植物が園を彩りますが、なかなか他ではお目にかかれない珍しい植物もたくさんあります。日本では栽培例の少ない「宝石の塔」とも呼ばれる「エキウム・ウィルドプレッティ」、展示場では期間展示ですが珍しい「変化アサガオ」を見ることができます。樹木では「ハンカチノキ」が白い苞葉(ほうよう)を広げ、まさに枝に何枚もの純白のハンカチを掲げます。温室の高山室では涼しげにたたずむ「ヒマラヤの青いケシ」が皆さんをお出迎えいたします。

エキウム・ウィルドプレッティ

(C)2018 京都府立植物園エキウム・ウィルドプレッティ
カナリア諸島に分布。
草丈は2mを超え、1株につける花は約2万個!

変化アサガオ

変化アサガオ
アサガオの突然変異体を選抜・交配して生み出す変化アサガオは、江戸時代から現代に受け継がれている伝統園芸植物。朝顔展には毎年大勢の人々が訪れる。

はじめに「はる」の語源についてお話しいたしましたが、漢字の「春」はどのようにしてできたのでしょうか。実は「春」という文字は象形文字で、暖かな日の下で生え並んだ草の中を子どもが走る姿を表しています。当園の大芝生地でも子どもたちが駆け巡るにぎやかな季節がやってきます。ぜひ、皆さんも陽光があふれる植物園にお越しください。

ハンカチノキ

(C)2018 京都府立植物園ハンカチノキ
枝全体に白いハンカチを吊るしたような花を咲かせる。桜林西で観賞できる。

ヒマラヤの青いケシ

(C)2018 京都府立植物園ヒマラヤの青いケシ
チベット南部〜中国南西部が原産。観覧温室内・高山植物室で観賞できる。

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