2017年春種特集号WEB版(Webオリジナル)品種ピックアップ

産地・市場で人気の高糖度中玉トマト「フルティカ」特性を生かした上手な作り方

「フルティカ」は2005年の新発表以来10年以上にわたり皆様に親しまれ、トマトの消費拡大に貢献してきました。その理由は何といっても中玉品種最高レベルの“甘さ”と後半まで草勢が強く、病気や裂果に強い“作りやすさ”にあります。それらの特性をさらに生かすための栽培注意点を再確認し、「もっとおいしく、もっと目を引く」トマトを目指してみてはいかがでしょうか。

抜群のおいしさと作りやすさをもつ「フルティカ」

高糖度で手ごろな大きさの果実
  • 大きめサイズの40〜50g。
  • 平均6〜7度で栽培によっては10度を超えることもある高糖度。
高い栽培性
  • ハウス栽培で特に問題となる葉かび病(Cf9)や斑点病に耐病性。
  • 草勢が強く、成り疲れ後の草勢回復が早い。
  • 果皮に弾力があり、昼夜温の較差が大きい春秋期のハウス栽培や雨に当たる夏秋露地栽培でも裂果に強い。
↑栽培性高く高糖度で食味のよい「フルティカ」。

↑栽培性高く高糖度で食味のよい「フルティカ」。

↑栽培の注意点をおさえて良品出荷を目指す。

↑栽培の注意点をおさえて良品出荷を目指す。

「フルティカ」の栽培 こんな症状でお困りですか?

1 グリーンバック果の発生(果実肩部の着色ムラ)要因

「フルティカ」にはショルダーグリーン(SG)があり、チッソ過多での生育や乾燥条件下で濃くなる傾向にあり、SGが濃くなると着色するまでに時間がかかります。
高温期において果実への直射日光で果皮温度が35℃以上となると、赤い色素であるリコピンが生成されなくなることなどが原因で色ムラになることがあります。

対策
  • 肥培管理を元肥型から追肥型に変更することで、栽培初期にチッソ過多となることを抑えます。
  • 5〜8月の強日射時期に収穫となる作型では日中遮光をしたり、果実を覆う葉の摘み取りを控えたりすることで、日光が直接果実に当たらないようにすることが可能です。
  • 少量多回数の潅水を心掛け、適度の土壌水分を常に保つことで極度の乾燥を防ぎます。

2 花数過多による小玉果の発生要因

「フルティカ」は初期草勢が強くなりがちですが、強勢時や高温期に分化した花芽は多くなりやすく、通常8〜12程度の花数が20花程度になることがあります。その場合花房先端の果実は肥大が劣り15〜20g程度にしかなりませんので摘果が必要となります。
一般に3〜4段花房開花時期に吸肥力が最大化し、その時期に分化した6〜7段花房の花数が増加します。

初期生育が旺盛で花数が増えることにより、小玉になりやすい。

↑初期生育が旺盛で花数が増えることにより、小玉になりやすい。

対策

3〜4段花房開花時期までは潅水量を抑えることで草勢を調節します。その後潅水量を増やし、追肥を始めることで草勢を維持していく追肥主体の栽培管理がよいでしょう。
また、7〜8月の高温時期の栽培には、ハウス内温度を下げるために遮光資材や換気を効果的に行う必要があります。

3 異常主茎の要因

異常主茎(メガネ症状)も草勢が強くなり過ぎた時に起こりやすい症状です。特に3〜4段花房開花時期に、チッソ過多の状態になると主茎が太くなり節間が詰まります。
茎の中央部が縦に裂け、望遠鏡のように向こう側が見える状態のことを「メガネ症状」といい、この症状が出ると急速に草勢が落ち、極端な場合には芯止まりとなることもあります。

異常主茎(メガネ症状)はチッソ過多で起こりやすくなる。

↑異常主茎(メガネ症状)はチッソ過多で起こりやすくなる。

対策
  • 元肥量、特にチッソ肥料を減らし初期草勢を強くさせないことが重要です。
    追肥主体の施肥設計を立て、3〜4段花房開花期までは潅水量を抑えて草勢を調節します。
  • 異常主茎が出た場合には一般に草勢が弱くなるため、薄い濃度の液肥で草勢の回復状況を確認し、回復しない場合にはすぐ規定量の液肥を施すとよいでしょう。

4 裂果の発生要因

「フルティカ」は裂果に強い品種ですが、過湿や寒暖差により裂果が起こることがあります。特に春秋期の寒暖差の大きな季節には被覆材などによる保温が遅れ、低夜温となり果実表面が結露することで裂果しやすくなります。

裂果は過湿や寒暖差が激しいときに発生しやすい。

↑裂果は過湿や寒暖差が激しいときに発生しやすい。

冷え込みが予想される日の前日は、夕方早めの保温と朝方遅めの換気がポイントとなります。また一度に多量の潅水は禁物です。明け方葉水(はみず)が出ている場合には、潅水を控えるとともに日中の換気をしっかり行いハウス内の乾燥に努めましょう。
通路や畝の上面などに敷きわらをすると湿度調節に効果がありおすすめです。

  • タキイ最前線webプラスTOPへ