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野菜

山田式家庭菜園教室

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タネの発芽不良の原因と対策

水のやりすぎと覆土(ふくど)に注意

 野菜のタネの中には、水に漬けた状態で発芽するものもありますが、多くは水に漬けたままにしておくと発芽しません。畑にタネをまいて頻繁に水やりすると、土の中で空気が占める大きな透き間にまで水が入り、タネが水に漬かったままに近い状態におかれることになり、発芽が順調に進むための酸素が不足して、発芽不良を起こします。また、覆土が厚いと、この傾向がさらに強くなり、同じように水やりしていても、発芽を損なう要因になります。反対に、タネまき後の水やりが極端に少なかったり、ひどく乾いた状態でタネまきしたときなど、直後の水やりは十二分に与えておかないと、土が水分を十分保持できないので、タネの吸水も不十分になり、発芽遅れを引き起こすことにもなりかねません。土質によってもタネまき後の水やりは変化し、同一扱いにすると発芽に良否が生じるので注意が必要です。タネまき直後の水やりは十二分に与え、その後の水やりは畝の表面が軽く乾いたら水やりするか、不織布(ふしょくふ)や寒冷紗で畝(うね)面を覆って、水分安定を図ってやります。

タネは休眠します

 開花、受粉、受精、結実の段階を経て、タネは完熟し発芽力を持つようになりますが、野菜の種類によっては、普通にタネまきしただけでは発芽しない現象が見られます。これは、タネが成熟するに伴って、自然に休眠するために起こる現象で、一次休眠(きゅうみん)といいます。

 これとは別に、タネがある不利な条件におかれたとき、それに耐えるために休眠に入る現象が見られる場合があり、これを二次休眠と呼び、この休眠中も発芽が抑制されます。レタス、ゴボウ、ホウレンソウなど数種の野菜が、このような性質を持ち、目覚めるのを待ってタネまきするか、休眠打破処理をしてタネまきをします。

 例えばホウレンソウの夏まき栽培をするとき、採種後の経過日数が少ないので、休眠が関与して発芽がスムーズに進みません。そのため、タネを一昼夜水に漬けてから水切りをし(第1図)、1〜2mm発根させてからまく「芽出しまき」を行い、発芽をそろえます。タネを一昼夜水に漬けることによって、種皮に含まれる休眠物質を水で流し去り、発芽を促すのですが、高温はホウレンソウの休眠を二次的に誘導するので、さらに冷蔵庫に入れて発芽を促し、発根させてからタネまきします。そこまでしてやっと順調に生育を続けるようになります。

【第1図】芽出しまきのテクニック

タネには寿命があります

 採種したタネに発芽条件を与えずにそのまま放置しておくと、発芽環境が与えられるまで最小限の生命維持活動で待機を続けますが、ある期間を過ぎると養分を消耗し尽くして発芽力がなくなります。野菜の種類によって、この期間に長短があります(第1表)
高温多湿の環境下では、長命種子といえども寿命が短くなります。

【第1表】野菜のタネの寿命

発芽に光は無用でしょうか

 タネが発芽するとき光があった方が発芽が促進されるタネを好光性種子と呼び、反対に光に当たると発芽が抑制されるタネを嫌光性種子と呼びますが、この中間で光の影響を全く受けない中間性のタネも存在します。

 これらの性質は温度や休眠とも複雑に関係し、ゴボウやミツバは恒温(こうおん)では好光性を強く現しますが、変温では明暗による発芽の差はほとんど見られません。スイカやカボチャは嫌光性ですが、温度が低いと性質が強く現れます。キュウリ、シロウリなどは低温で嫌光性を示しますが、高温では反応は消えます。ミツバをまいた後、覆土(ふくど)をせず、軽く鎮圧して敷きワラをしておくと発芽がそろうといわれるのは、敷きワラのすき間から入る光で発芽が促されるためと考えられます。タネまき後、厚く覆土をしてしまうと過湿になるだけでなく、好光性種子にとっては光が完全に遮られるので、発芽に好ましいとはいえません(第2図)

【第2図】発芽と光

知っていますか? 変温効果

 野菜のタネはホウレンソウ、レタス、セルリーなどのように5℃くらいから発芽を始めるものや、スイカ、マクワウリのように40℃でも発芽するものもありますが、大半の野菜は20〜25℃が発芽適温となります。しかし、この発芽適温を畑で保つことは容易なことではありません。一日のうちでも、朝晩の低温から日中の高温へと緩やかな温度変化に遭遇します。この温度変化の繰り返しが、タネの発芽をよくしてくれます。秋まき野菜でタネまきの遅れを厳しく戒めなければならないのは、気温が急速に低下する時期になるので、発芽に日数を要するようになることからですが、一日の温度較差が小さくなることも大きな原因になると考えられます(第2表)

【第2表】発芽条件と関連事項