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山田式家庭菜園教室

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葉根菜の育成診断とチッソ

野菜の生長はSカーブ

 野菜に限ったことではないのですが、生物の成長は直線的に進むものではありません。

 第1図に、ニンジンの生育経過を挙げてみました。葉の生長が盛んになるころと、根の生長が旺盛になるころの間には、40日くらいの「ずれ」が見られますが、平行的に進んでいることがよく分かります。

 つまり、ニンジンでは葉の生長と根の生長の間に、遺伝的に正の相関が見られるということです。ニンジンの収量を増やすには、果菜類とは異なり、葉を立派に育てることが大切、ということになります。

 葉の生育が根や玉の肥大に大きく作用することは、第2図のタマネギの調査結果からも分かります。

 同じ大きさの苗を植え付けて、活着後の新葉が出始めた時から、常に2枚しか葉をつけさせないように外葉を摘み取った株と、4枚の状態にした株、6枚の状態にした株を作ります。すると、葉の枚数によって、収穫できる玉の大きさに差が出てきます。

  • 【第1図】ニンジンの生育過程
  • 【第2図】タマネギの葉数と玉の横径の変化

葉を大きく育てるには根が大切

 逆の話になりますが、キャベツやハクサイなどで、大きな玉を収穫したい時はどうすればよいのでしょうか?

 答えは、よい根を育てることです。根は土の中に伸びているので、旺盛かどうかを判断することは難しいのですが、葉の生長が思わしくない時は、必ず根が何らかの原因で傷害を受けています。地ごしらえの時に、堆肥(たいひ)などの有機物をできるだけ多く投入して、深く耕し、根がよく伸びられる状態にしておくことが大切です。

【第3図】土壌の通気性とキャベツの根と茎葉の生長

チッソは葉肥?

 昔はチッソは葉肥、リン酸は花肥・実肥・根肥、カリは実肥・根肥などといわれていたことがあります。今日でも少し肥不足かな(?)と思った時、チッソだけをちょっと効かせるという手だてを使う人もいます。実際、このような使い方には効果があるのでしょうか?

 第4図のように、キャベツ栽培で、生育期間中の一時期にチッソを与えなかった場合、それが生育の初期であれば、影響はほとんど現れません。しかし、生育が後期に進むにしたがって、チッソ不足が影響して球重を軽くすることが明瞭になっています。

 その反対はニンジンで、生育初期にチッソを与えなければ、根重の増加を妨げることになりますが、生育が進むにしたがってその影響は小さくなります(第5図)。これは、生育初期にチッソを施しておかないと、茎葉の生長に大きなダメージを与えるからです。それが、その後もずっと尾を引き、根の生長を妨げる主要な原因となるのです。

  • 【第4図】チッソ無施用の時期とキャベツの生育
  • 【第5図】ニンジン栽培でのチッソ中断期間と根重の関係

 それでは、チッソの施用量を多くすればどうなるのでしょうか?

 セルリーの栽培では、慣習的な施肥量はN:P:K=6:4:4程度になっていますが、第6図の調査結果では、それよりチッソを少なくしたら葉伸びがよくなり、多くしたら逆に葉伸びが悪くなっています。セルリーは本来、多肥栽培がよいといわれる野菜ですが、あまりチッソを多く与えすぎると、このように葉の伸びが妨げられることになるので注意が必要です。

 セルリーだけでなく二十日大根でも、チッソ過多になると、葉の生育が抑制されます。

 葉根菜類は、チッソ肥料を適切に施せば、大きな玉や根の収穫に結びつくのですが、施し方によっては、玉の肥大や根の太りを妨げる結果になることもあります。くれぐれも与えすぎにならないよう、配慮してください。

【第6図】セルリーの生育とチッソの効果