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果菜類の失敗しない苗作り

発芽不揃(ぞろ)いの回避が大切

 販売されているタネは、それぞれ規定の標準発芽率以上であることが保証されていますが、諸条件によって発芽不良を起こすこともあります。発芽不良、不揃いは決してよい結果をもたらしません。

 果菜類は第1表のように、露地(ろじ)栽培といえどもタネまきの時期が早春の気温が低いころになるので、加温や保温が必要になります。冷床(れいしょう)で保温するだけでは発芽に日時がかかるので、『農電園芸マット』などの簡便な機材を利用して、発芽を短時日で揃えたいものです。

 問題は温度管理にあります。果菜類は発芽に比較的高温を必要としますが、実際に発芽をよくするには、常に適温を与えるのではなく、一定の温度範囲で、夜間は低く、日中は高く、一日のうちで温度変化を与えた方が発芽揃いがよくなることが多いのです(第1図)。また、変温管理をすることによって、花芽分化の早晩、分化花芽数の多少にも影響が見られます(第2図)。上手に温度管理ができれば、発芽がよくなるだけでなく、花芽分化の早期化、形成される花数の増加に効果が期待でき、見かけ上だけでなく、素質のよい苗が育つことになります。

イメージ写真
簡単便利に温度管理ができる「愛菜花」(写真上)と「農電園芸マット・電子サーモセット」。
【第1表】地域別の主な果菜類適期表(露地栽培)
【第1図】ナスの発芽をよくする条件とキュウリの温度管理
【第2図】トマトの着花数に対する昼夜と夜温の影響
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徒長はどのようにして防ぐ?

 密植による株同士の競り合いが、苗の徒長(とちょう)の原因になることは言うまでもありません。株同士の競り合いを防ぐには、発芽後の鉢上げは3号(9cm)ポットでも構いませんが、5号(15cm)ポットに鉢替えをしておくと、しっかりとした根鉢が形成されて、株間が十分に保てるので、徒長の原因となる最初の問題がクリアできます。

 徒長の原因となる二つめの問題として、高温(苗床の高温)と過湿(用土の水もたれ)が挙げられます。苗が徒長したとき、温度を下げるか、潅水を控えて用土を乾かすか、いずれの処置をとるかが問題です。大方は水やりを極度に控えることによって徒長が防げたと思い込みがちですが、第3図のように同じ量の水やりをしても、夜温を低く管理すると徒長は起こりません。

 水やりを控えて苗の徒長を防ぐことは、水分の供給が抑えられるだけでなく、水分の減少に並行して養分の供給も抑えられ、よい素質の苗になりません。水分も養分も十分に供給し、夜温を下げて、昼間の光合成養分を体内に蓄積させるようにすると、がっちりとした苗に育てることができます。

【第3図】徒長防止は温度調節で(ナス)
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低節位の奇形果は何が原因?

 苗の徒長を防ぐために、水やりを極度に控えたり、苗床温度を低く管理すると、見かけ上は徒長が抑えられ、しまった感じの苗に育ちますが、花が咲き、果実がなり出してから、苗作りのときに影響を受けた低節位の果実に思わぬ影響が現れることがあります。そうなると、もう取り返しがつきません。つまり、トマトの奇形果や石ナスなどが、その例になります。

イメージ写真 イメージ写真 イメージ写真
主として育苗中の低温が原因で第1花、第2花が「石ナス」になる。 肥大が悪く石のようにかたい果実になる「石ナス」。 育苗中の低温による悪影響が原因のトマトの奇形果。
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苗床での追肥は?

 苗作りは限られた量の用土で行われるので、育苗中に追肥の必要を生ずることがあります。この場合、葉色が薄くなってからの追肥は手遅れと考え、常に苗の生育状態を観察して、早めに対処しておくことが大切です。一般にトマトやナスの苗は、品種の早晩性にもよりますが、ある一定の大きさに育つと花芽を分化する性質があります。このような性質を持つものは、肥料不足を起こすと花芽分化が早まる傾向が強いので、葉数の少ないうちに肥料不足とならないよう、500〜600倍の液肥を水やり代わりに定期的に施して、安定した生長を促してやります。

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苗立枯病対策は?

 発芽後から子葉が展開して本葉が出始めるころにかけて、苗床は最も危険な時期になります。それは苗立枯病の被害です。高温・多湿が被害に拍車をかけます。この病気が発生したら、まず罹病株を抜き取り、防除薬液を潅注したのち苗床の覆いをすかして温度を下げ、床土の乾きを促すようにします。

 用土はもちろん新しいもので、排水のよいものを使用することはいうまでもありません。

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苗立枯病は一晩で大きな被害が出ることがあるので注意する。
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