ダイコンが低温の影響を受けて花芽分化することは、すでに述べました。早春まきでは、この低温域が連夜繰り返しダイコンに作用することになるのですが、トンネルをかけると低温域が上るだけでなく、日中の高温域も上昇し、時には高温障害が出そうな状態になる場合もあります。この、ある一定以上の高温が、夜の低温に関連してくるのです。
(夜)1で低温効果を受けて翌日に(昼)1の温度があまり上昇しなかった場合は、(夜)1の低温はそのままダイコンの花芽分化に作用します。ところが、(夜)2の低温が(夜)1と同程度であっても、翌日の(昼)2の温度が高くなって25℃を超えたとすると、25℃を超えた分の高温は、前夜の(夜)2の低温効果を打ち消す働きをします。この時、(夜)2の低温効果を全部打ち消すのではなく、(昼)2の高温の働きを差し引いた分が、低温効果としてダイコンに残ると考えられます。
同様に、(夜)3の低温に比べると(昼)3の高温条件は25℃以上の部分が多く、それが前夜(夜)3の低温効果を消去しても余剰が出るため、(夜)3の低温効果はなかったことになります。つまり、花芽分化に作用する低温の働きは、翌日(昼)の高温いかんで変化することになります。
早春まきのダイコンでは、トンネルとマルチを併用することにより、トンネル内の夜温の低下が抑えられるうえ、翌日昼間のトンネル内温度が30℃を超えることも珍しくありません。25℃以上の温度は前夜の低温効果を打ち消すので、花芽分化は起こらず、さらにトンネル内の気温および地温の上昇と、マルチングによる土壌水分の安定も加わって、「不時抽苔」の発生を抑え、ダイコンの生長を促すことになります。もちろん、作付けするダイコンは、低温感応性の鈍い品種にすることも忘れてはなりません。 |