畦畔等からの逸出について
 滋賀県内のセンチピードグラス植栽畦畔において、隣接地への逸出調査をしたところ、地際が暗い場所には匍匐茎の逸出距離は3m以内であった。調査値は播種または苗移植後3〜7年が経過していることを考慮すれば、センチピードグラスの逸出速度は速いとはいえないであろう。
 また、隣接地に草丈の高い雑草が繁殖している場合には、その雑草地に逸出した匍匐茎の先端部に枯れ込みが観察され、逸出先でのターフ形成もほとんどみられなかったことから、逸出先の草丈の高い雑草との競争においてセンチピードグラスは劣勢になる場合が多いと思われた。
 隣接地が湛水水田や水路のように水が溜まった場所である場合は、センチピードグラスの匍匐茎は逸出しても水面下5cm程度までしか伸張しないと考えられた。逸出先が農道の場合はトラック等の踏圧により、耕作畑の場合は耕転により、匍匐茎の伸長は阻害されると考えられた。
 以上の結果から、限られた数の調査地点の調査結果に基づく結論ではあるが、センチピードグラスを畦畔で植栽利用する場合、周辺への逸出による雑草かリスクおよび既存植生への生態的影響は比較的小さいと思われた。
※井上拓弘・川口佳則(滋賀県) 2008. センチピードグラスの畦畔等植栽地からの逸出について。農業および園芸第83巻・第7号765-769.

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