学生時代は文旦やメロンの栽培と麦の品種改良の手伝いをしながら、品種改良の理論 、基礎を学びました。その中で、品種改良への興味がわき、民間企業でトップのタキイ種苗に入社を決めました。日本では野菜、花の品種改良は、実質タキイのような民間種苗会社が中心で、諸先輩方のやってこられたことが一番の教科書となり、これらを自分の中で消化し、高めていかなくてはいけません。毎日が勉強です。この研究農場は、国内外のブロッコリ育成のキーステイションの役割を担っています。今の私の夢は、日本国内外を含めて、栽培適応性が高く、健康に良い世界レベルのブロッコリ品種を生み出すことです。
 
幸か不幸か、私たちが「ベスト 」と考える品質と農家の方が求めるものが異なることがよくあります。私たちは、病気に強くより生産性の高いもの、そして出荷による傷みや熟成が進みにくい品種を作ろうと考えがちですが、農家の方は出来るだけ手間や費用をかけずに生産出来ることが最重要と考える場合もあるのです。私たちが今やっていることは10年後15年後にしか結果は出ませんので、その時に消費者が何を求め、生産者(農家)が何に優先順位をつけるかを見越して品種改良していかなければなりません。きっと、その時求められるものとドンピシャのものが市場に出せた時は、きっと言葉に表せないような喜びが得られるのだと思います。
 
私は入社して4年目から6年間、アメリカのカリフォルニア州にある農場に駐在しておりました。その間アメリカ各地へ出張へ出かけることもあったわけですが、テキサス州へ出張した時にこういうことがありました。何もない荒野のような、まるで西部劇に出てきそうな所で見知らぬ農家の人に出会っても、タキイの帽子をかぶっているとあたたかく迎えてくれるんです。その時は本当にタキイに入社してよかったと思いました。そこではいろいろなことを学んだんですが、一番大きいのは日本とアメリカでは農業法が全く違うということや求められるものの違いです。頭でわかっていても実際市場に出回っている野菜を口にし、農場を訪ねて改めて実感しました。そんな中で視野を広めることができましたし、英語力も身に付きました。これは余談ですが、帰国後すぐに受けたTOEICで社内2位になりました。
 
これはあくまで例えですが、京大の農学部でアメリカンフットボール部の学生さんがいたら、是非うちに来て欲しいと思いますね。私たちの仕事はまず体力がないとできません。夏の間、農家の方は早朝と夕方しか農作業はされませんが、私たちは通常通り日中に農作業をしますから、想像を絶するハードワークになります。しかし、体力だけでこの仕事ができるほど甘くはなく、先を見越す知性や忍耐力も必要です。それらすべてが揃っているのが京大のアメフトかなっと。仕事ってお金だけじゃないと思うんです。やっぱり自分が好きなこと、やりたいことの路線上のことなら、少々つらくても頑張れるんじゃないでしょうか。タキイには、作物を通して夢を語れる先輩や同僚がたくさんいます。一緒に夢を語り最高の品種をつくりましょう。
 
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