ブロッコリーの世界で最初のF1
 昭和38年(1963年)「長岡交配中晩生緑花椰菜」です。
 自家不和合性を利用して世界初のF1種(一代雑種)がタキイ種苗から発表されました。
ブロッコリーの必要な種子量
 平均粒数は20ml(1袋)当たり2,500〜3,500粒です。
 10a=1,000m2(1反)当たり3,000〜4,500株を定植するとして、必要な種子量は約40mlとなります。
ブロッコリーの住みやすい環境
 耐暑・耐寒性は強いが、生育には温暖な気候が望ましいでしょう。
発芽適温
 最適温度は20〜25℃です。
生育適温
 適温は15〜20℃です。
花芽分化
 低温によりますが、低温感応の温度と苗の大きさは品種によって異なります。
花蕾の発育適温
 良質の花蕾をとるには15〜18℃が適温です。
ブロッコリーの花芽分化と花蕾の発育
 緑色植物春化型(グリーンプラントバーナリゼーション)
 キャベツと異なりブロッコリーはトウ立ちをした蕾(花蕾)を利用する野菜です。したがって成長点が花芽分化をして、蕾を形成する必要があります。
 ブロッコリーは栄養生長(茎葉の発育)を十分経過して一定の大きさに達した苗が、ある期間連続して低温にあうと花芽分化し、生殖生長に移行します。花芽分化の後、花蕾を形成し、肥大します。この低温感応する苗の大きさと温度は品種によって異なり、低温遭遇期間も品種差があります。


品種と花芽分化の条件(一定温度での状態)の目安
早晩生 必要な低温の程度 必要な苗の大きさ
(最低限播種後日数)
展開葉数 必要な低温の期間
極早生種 20〜23℃ 小(20〜35日以上) 7〜8枚  短(30日以上)
早生種 17〜18℃ 中(35〜40日以上) 7〜8枚  中(40日以上)
中生種 12℃前後 中(35〜40日以上) 10〜12枚  中(40日以上)
晩生種 5℃以下 大(40日以上) 12〜15枚  長(50〜60日以上)
・花蕾の発育も同傾向。
・小苗ほど低温期間必要、大苗ほど期間が短い。
ブロッコリー栽培のポイント
(1) 床土の準備
土づくりと輪作により連鎖障害を回避します。完熟堆肥を施用し、吸収量にあわせた適量施肥に努めます。土壌酸度pHは6〜6.5に矯正します。下記はおおよその目安としてください。
・極早生〜中早生
N:P:K=20〜25:20:20〜25kg
早生種は元肥主力、中早生は元肥2/3残り追肥。
・中生〜中晩生
N:P:K=25〜30:25:25〜30kg
中晩生種は緩効性肥料を中心に元肥1/2残り追肥。
(2) 苗作り
苗質の均一のものを用い、生育をそろえます(発芽を斉一にし、根量の多いガッチリした苗作り)。
(3) 定植
秋冬作は本葉4〜5枚の苗を、株間33〜35cmに4,500本/10aくらいを目安に定植します。春夏作では本葉5〜6枚のやや大苗を、株間35〜40cm目安に10a当たり3,600〜4,000本程度定植します。
(4) 病害虫防除
基本的にキャベツ、カリフラワーなどと同様の対策を行います。
病害 症状と発生要因 対策と防除
根こぶ病 根に不正形のコブをつくり、コブが肥大すると養水分の吸収が抑制され地上部は日中しおれ、生育が著しく遅れます。畑の菌密度が異常に高い場合など、発病が著しい場合は、収穫にも至らない場合があります。発生は20〜24℃、酸性多湿下で多い土壌伝染性病害。 土壌酸性度の矯正、高畝栽培、アブラナ科野菜の連作回避。石灰、チッソとの併用 。 
苗立枯病 幼苗期に発生し、茎の地際部が侵され立ち枯れになります。菌の発育は25〜30℃がよく、多湿時に多発します。ピシウム、フザリウム、アファノマイセスの3つの病原菌が関係することが知られています。 床土の消毒を徹底します。床土が多湿にならないよう管理します。
べと病 冷涼多雨で発生多く、春と秋に激発があります。肥料切れで発生が助長され、品種間差もあります。菌の発育適温は10〜15℃。下葉から発生し、葉脈間に淡褐色、不定形の病斑を生じます。 罹病植物残さを圃場周辺に放置しないようにします。
黒腐病 葉縁に葉脈を中心として外側に広がるV字形の黄色の病斑を生じます。菌の発育適温は31〜32℃。乾燥に強く、乾燥条件では1年以上生存可能。 アブラナ科の連作を避けます。
軟腐病 花蕾に発生多く、初めは水浸状に変色するが、後に飴色になります。腐敗部は悪臭を放ちます。菌の発育適温は32〜33℃、高温多湿で激発します。 連作を避け、。圃場の排水を図ります。

害虫 特徴
コナガ 年数回発生し、秋から晩秋にかけて多発。早期防除に特に気をつけます。多くのアブラナ科野菜を加害します。葉裏から円形または不規則な形に小さく葉肉だけを食害します。
ヨトウムシ類
アオムシ
1年に4〜5回発生し、春と秋に被害が多い。幼虫の1〜2齢期の防除が重要です。
アブラムシ類 モモアカアブラムシ、ダイコンアブラムシ、ニセダイコンアブラムシ。高温乾燥で多発します。
ハイマダラノメイガ
(シンクイムシ)
年に数回発生し、夏〜初秋に被害が多くなります。特に夏季高温、少雨の年には注意が必要です。

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(5) 収穫適期
花蕾の直径が12(Mサイズ)〜14(Lサイズ)cm程度。花蕾重量が250〜300gぐらい。品温の低い内に収穫します。よい花蕾ができるには、栄養生長と生殖生長のバランスが大切で、ブロッコリーは特にバランスの崩れやすい作物のため注意が必要です。
ブロッコリーの栽培型と適品種
作  型 播種期 収穫期 適 品 種 例 注  意  点
夏まき年内どり 7月中旬〜
8月上旬
10月中旬〜
11月中旬
ハイツSP、グリーンパラソル、シャスター、トップギア 栽培容易。中期以降の肥効はゆっくり効かせます(花蕾形成期以降から出蕾まで)。
夏まき冬どり 8月上中旬 1〜3月 キャッスル、グリーンビューティ、エンデバーSP、メガドーム そろいのよい健苗で植え傷みを防ぎます。
乾燥・肥切れ、アントシアンの着色に注意。
秋まき春どり 9月下旬〜
10月上旬
3月中旬〜
4月中旬
チャレンジャー 中晩生種で10月下〜11月上旬まき。年内定植。
春まき初夏どり 1〜2月 4〜6月 ハイツSP、グリーンパラソル、フォレスト、トップギア 気温が急激に上昇しバランスが崩れやすい。育苗温度に留意し活着促進。一気に仕上げます。
冷涼地夏秋どり 3〜6月 6〜10月 ハイツSP、グリーンパラソル、フォレスト 上記と同じ注意をするとともに後半の高温乾燥や多湿に対応。