キュウリの特性
 一年生のつる性草本で、低温に弱く非耐凍性です。したがって霜には極めて弱い作物です。
 雌雄同株で節ごとに単性花をつけます。生態分化の著しい作物で、わが国のキュウリは華南ならびに華北のキュウリに由来し、前者は春キュウリに、後者は夏キュウリとして発達しています。さらに両者の特性を備える雑種群も成立し、周年栽培を容易にしています。
 わが国におけるキュウリは卸売市場における取扱金額の特に多い重要野菜となっています。
 キュウリの栽培労力は10a当たり130〜150人程度とかなり多く、収穫・選別・出荷で全体の半分を占めています。ついで整枝、薬剤散布、潅水などの管理作業です。この収穫労力が栽培面積決定の基準となっています。なお、キュウリは気象条件や管理のよしあしで作柄が不安定になりやすい作物です。
キュウリの種子
 種子は黄白色で大きさは、長さ8〜13mm、幅3.6〜4.3mm、厚さ1.5〜1.8mmで1000粒重は23〜42gです。タキイの場合20ml当たりの粒数はおよそ480粒程度です。
キュウリの住みやすい環境
発芽
 15〜40℃の範囲で行われますが、最適温度は25〜30℃です。
生育適温
 昼間22〜28℃で、夜間17〜18℃、生育可能温度は10〜35℃です。凍死温度は0℃で、ほとんど生育しなくなる生活限界温度は7℃。10℃以下では生育が止まり薄い霜でも被害を受けます。また35℃以上でも生育が止まります。育苗中、生育初期の低温は雌花の着生が異常に増加し、生育不良となり、かんざし症状を起こします。
 根の生育適温(地温)は20〜23℃です。 
光飽和点
 4〜6万ルクスでトマトに比べると低いです。しかし光量が不足すると生育や側枝の発生が悪くなり曲がり果が発生します。
土壌酸度
 キュウリの根の酸素要求量は大きく、乾燥にも多湿にも弱い。根系は極めて浅く、表土から15cm程度の所に広く分布しますが、有機質を十分与え、適湿にすれば比較的土質は選ばずできます。土壌pHは5.5〜7.2が適当です。腐植質埴壌土でEC1.5ms/cm程度で、沖積埴壌土では1.2ms/cm程度で生育阻害されます。
キュウリの花芽分化
 雌花、雄花の決定は固定したものではなく、育苗中の特に温度と日長の影響を強く受けます。
 低温・短日で雌花の着生、着果が多く、着生節位も低くなり、高温・長日では雄花が多く着生し、飛び節となります。
キュウリの果実の発育障害
 日射量の不足、低温、土壌養水分の不足などにより、茎葉の発達の悪い場合や高夜温管理や養水分過多により茎葉が過繁茂となった場合に果形が乱れやすい。
 果実に発現する苦みはククルビタシンCという一種の配糖体で低温や日照不足、養水分の吸収不足、チッソ過多などが主な原因といわれています。ただし最近のキュウリでは苦みはほとんど発生しません。