ダイコンの栽培の要点
(1) 圃場の選択
十分な耕土(50cm)が確保され、排水性と保水性が両立できる土づくり。
肥よくで膨軟な地力のある土。
(2) 播種準備
深耕するとともに、元肥を夏季では播種の5〜7日前、冬季には14〜20日前には施用し十分耕起し、土になじませておく。畝全体に適当な水分を確保。
(3) 播種
株間はおおよそ25cm程度。1カ所3〜4粒の点播とし、1p程度、均一に覆土します。
(4) 間引き
本葉5〜6枚までに一本立ちとします。
(5) 肥料の遅効きの弊害
葉勝ちとなり、曲がりが増え、青首の発現が弱まります。尻詰まりが悪くなり、ワレ、ヒビワレが増加し品質を落とします。
(6) 収穫
過熟になると各種根部障害(ヨコシマ、ワッカ、亀裂褐変症など)が増えるので適期〜若どりします。
ダイコンの根部異常症
裂根
根部を取り巻く周皮の生育が、内部の木質部の肥大にともなわない時や、肥大根の生育と茎部や直根の生育の不均衡から起きます。生育の後期に発生することが多く、在圃期間が長くなるほど増加し、収穫遅れの時に起こりやすくなります。
対策としては、保水と排水のよい圃場を選び、有機質を多く施し、土壌の物理性を改善します。チッソ過多、遅効きを避け、追肥は早めに行い、生育後半の急激な肥効は避けます。
又根
土壌の物理的な障害や、過湿、過乾燥のほか未熟堆肥施用や化成肥料が根に触れた場合に発生します。根の成長点が枯死すると、本来側根であった複数の成長点が代替えとして伸長肥大して又根となります。
ス入り
老化現象の一つで収穫適期を過ぎたものに多く見られます。特に根部の肥大生長が停滞し始め、T/R率が1.0前後に低下したころから発生しやすくなります。品種差が大きく「耐病総太り」が安定しています。
空洞症
肥大の切り替え時期…初生皮層を剥離させるころ(播種後15〜25日)根の中心部に数mmの空洞が発生するが、栽培環境が悪化すると、肥大充てんが十分行われず空洞となります。高温や水分、肥料のバランスの崩れで発生し、適湿を保持することが大切です。
黒芯症
抽根部の中心に黒く墨を染み込ませたような症状で、収穫期の高温が主要因と考えられますが、原因と対策は明らかではありません。品種間差もあり、特に晩抽系品種を高温期に栽培する場合は注意が必要です。
赤芯症
根部の中心部がかたくなり、赤〜茶褐色に変色します。ホウ素欠乏症と考えられ、ホウ素が欠乏するほか過乾、過湿、化学肥料のやりすぎが原因とされます。また土壌がアルカリ性ではホウ素は不溶性となり吸収されにくくなります。ホウ砂や微量要素剤を施すとともに、水分のバランスをとるように改善します。


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