ナスの家系図(出身地)
 インド原産と推定されます。インド東部に産するSolanum insanum L.が原産とする説があり、バビロフによれば中国が二次変異中心であるとされます。中国の斉民要術(405〜556年)に茄子栽培、採種のこと、水湿を多く要することなど述べられています。
ナスが日本に上陸したのは?
 わが国に渡来した歴史は古く、天正勝宝2年(750年)茄子を進上したという記録があります。延喜式(藤原928年)の耕種園圃の部には営茄のことが詳説してあり、重要野菜であったらしいことがうかがえます。
ナスのことわざ
“一富士、二鷹、三ナスビ"
“嫁に食わすな秋ナスビ"
“ウリの木にはナスビはならぬ"
“おやじの小言とナスビの花は千に一つの無駄が無い"
“女房を質においても初ナス、初カツオ"(ナスを将軍に献上するのが若葉の香る5月始め)
わが国のナスの栽培面積と収穫量
平成22年(2010年) 農林水産省統計
  栽培面積 (ha) 収穫量 (t)   栽培面積 (ha) 収穫量 (t)
全国 10,300 322,400 栃木県 413 16,400
新潟県 686 9,240 熊本県 408 30,600
群馬県 570 22,700 福島県 394 7,580
山形県 532 8,170 高知県 380 29,900
茨城県 491 18,400 千葉県 370 10,200
秋田県 446 4,590 埼玉県 303 10,400
世界のナスの収穫面積と生産量
2010年 FAO統計(Area harvested, Production)
  収穫面積 (ha) 生産量 (t)   収穫面積 (ha) 生産量 (t)
世界 1,660,671 41,840,989 エジプト 25,017 1,229,790
中国 731,547 24,501,936 フィリピン 21,426 208,252
インド 612,400 10,563,000 イラク 16,858 387,435
インドネシア 52,000 482,305 コートジボワール 11,200 82,000
イラン 29,300 888,500 スリランカ 11,010 107,300
トルコ 28,000 846,998 イタリア 10,741 302,551
ナスの分類
分   類 品   種 特   性
千成ナス 蔓細千成、真黒、山茄、江戸茄、橘田、古河、帯紫、アーリードワーフパープル、ドワーフジャパニーズ、バイオレット 植物体小さく、横繁性、果実は小卵形。
長ナス 佐土原長茄、宮崎長茄、博多長、久留米長、高木長、熊本長、長崎長、薩摩長、津田長、大阪長、燕長、仙台長、川辺長 多くは強勢、立性、晩生、肉質は粗い。
へびナス 支那大長、清国大長、清国水茄、スネイク 植物体中位、果形非常に細長い。
丸ナス 巾着、大丸、芹川、大仙丸、加茂 植物体大きく茎太く立性、果実中〜大。
白ナス 鹿児島白茄 果実白く、植物体はアントシアンの発生がなく緑色。果実は大きく晩生。
アメリカ大ナス ブラックビューティ、ニューヨークパープル、ジャイアントラウンドパープル、マンモス アメリカに多く植物体大、果実大型。
青ナス   明治の初年中国から導入されたもののようで、果実もへたも葉も紫色を欠き奈良漬に利用される。
わが国のナスの品種改良(真黒系の分化―高橋)