カボチャの育苗(トンネル栽培)
よい苗の姿
 根量が多く、力強い白い根。葉に厚みがあり、葉の直径は4〜5cm。節間がある程度詰まっており、葉柄短く、鉢からの葉のはみ出しが3cm以内にとどまるくらいがよいとされます。徒長していないことが大切で、光がよく当たって育った苗(よい雌花の素質が養われています)を育てます。
(1) 床土
   土と腐植の割合が1:1。手で握りしめた時に弾力のある土。1m3当たりの肥料成分量はチッソ・カリがそれぞれ0.1kg、リン酸はやや多めにします。
(2) 播種
   播種箱または平床に9cmの条間隔で条まきします。
 発芽までの温度は、地温で昼28℃、夜20〜21℃に管理します。夜間に発芽しないように温度調節をし、日中に発芽させます。3〜4日目より、地温を23℃くらいに下げ始めておいた方が徒長の失敗が少なくなります。発芽始めの夜間気温は15〜17℃、子葉が完全に展開する7日目ごろの夜間気温は12〜14℃にします。発根に5日、ひげ根は7日目と同時に上にあがります。箱まきでは8〜10日目に鉢上げが必要です。
(3) 移植
   発芽そろい後2日ぐらいで、双葉苗を9cmまたは12cmポット鉢に移植。移植後2〜3日間の夜間気温は16℃くらいにして活着を促進し、活着後は苗の生育に応じて夜間の気温を下げ、最終の夜間気温は8〜10℃で管理します。
(4) 夜冷育苗
   カボチャの花は単性花で温度が低いと雌花が多くなります。本葉2〜2.5枚の時(播種後20〜25日ごろ)収穫対象の1番果が雌花分化期に入るので、このころから夜間10〜13℃に温度を下げ、雌花の分化を促します。なお夜間の空気湿度が高いと徒長苗になるばかりか、雌花にも悪影響を与えますので、夜間ビニールの一部を開いて湿度を下げます。
(5) 摘芯
   育苗日数約30日で、本葉3.5〜4枚を目標とし、子づる3本整枝(一斉収穫)では本葉4〜5枚を残し摘芯します。草勢の弱い株は5葉残します。その後生育のそろった子づる3本にします。
 親子3本整枝では早い時期に親つるに着果するので一期どりとなりません。
カボチャの定植(トンネル栽培)
(1) 元肥
   10a当たり、堆肥2t、苦土石灰80〜100kg、チッソ10〜15kg、リン酸15〜20kg、カリ10〜15kgを施用します。肥よく地はチッソの量を2〜3kg程度少なくします。
(2) 畝幅と株間
  10a当たり
定植数 枝数(本) 畝幅(m) 株間(cm) 仕立て本数 定植位置
1,230 1,230 2.7 30 親づる1本 畝の片方
615 60 子づる2本
410 90 子づる3本
308 120 子づる4本 畝の中央
・カボチャの畝は片方傾斜
・トンネルは幅2.1〜2.7mの透明ビニール
  植え付け
   最低地温は12〜14℃必要です。晴天が2〜3日続く午前中に定植します。
カボチャの定植後の管理(トンネル栽培)
(1) トンネル換気
   活着後は雌花の着生と健全なつる伸びを促すため、トンネル内気温が30℃を超えないよう換気に留意します。
(2) 整枝・誘引 (子づる3本仕立て)
   定植後10〜15日の間に子づるが10cmくらい伸びてきます。このころにそろった強い子づるを3本残し、伸ばします。
 定植後25〜28日となり、子づるが80〜90cmに達した時、その後に出たわき芽を除去してつるを等間隔に配置します(開花8〜10日前)。
 畝端につるが届いた時、つるをUターンさせて、畝の中央に向けて誘引します。
 着果後のわき芽は原則として放任とします。
(3) 着果
   着果節位は10〜13節の花が適します。雌花サイクルは4〜5節ごとで、1番花が4〜5節に出てくると2〜3番花になります。
 開花の最低気温は11〜12℃で、開花当日は晴天で9時ごろの気温は16℃以上が好適です。
 ミツバチ(飛翔距離は1.5km)の活動が鈍い時には特に人工交配します。花粉に受精能力があるのは開花後3〜4時間で、花は適温下では5時ごろから咲きますので人工受粉は早朝から行います。
(4) 追肥
   着果が確実となった握りこぶし大の時、10a当たりチッソ成分を3〜4kg施します。
(5) 熟度判定
   「えびす」は開花後35日(積算温度750℃)で可食期に達し、45〜50日(積算温度950〜1,050℃)で完熟期を迎えます。果梗の皮目にひびが入り、皮目のコルク化が目安です。
(6) キュアリング
   収穫後通風のよい吹き抜け小屋で陰干しをして果梗の切り口を乾かし、十分キュアリングします(30℃までで7〜10日間)。これにより腐り防止と食味の向上が図れます。
(7) 収量
   「えびす」は玉太りにすぐれ、10a当たり1,200玉くらい収穫すると、一玉1.7kgで収量は2〜2.5tとなります。