ピーマンの住みやすい環境
 ナス科野菜の中でも高温要求性が強く、熱帯地域では多年草で潅木状になりますが、日本では1年草になります。
発芽適温
  発芽には高温を要し、適温は20〜30℃です。
生育適温
 20〜30℃で、15℃以下では生育が鈍ります。
光飽和点
  3万ルクスといわれています。しかし光量が低下すると収量が減少しますから、日照不足は禁物です。逆に光が強すぎる場合は、果実の日焼けを引き起こすことがあるので注意します。ピーマンは嫌光性種子のため、発芽時の光は不要です。
ピーマンと辛みの関係
 ピーマンがトウガラシと異なる点は、辛みがないことです。辛みの成分は主にカプサイシンで、トウガラシはカプサイシンを合成しますが、ピーマンは合成しないので辛くありません。しかし、「ししとうがらし」などでは、高温乾燥で草勢が低下した時などに辛みを生ずることがあります。
ピーマンの花芽分化
 作型によって多少異なることもありますが、本葉4〜5枚展開で1個の花芽が見られ、定植前後の本葉17枚では50個前後になっています。
 良質な花芽を分化・発育させるための条件としては、床土は良質でEC1.0〜1.2がよく、気温は日中27〜28℃、夜温は12〜15℃でよい花芽がつくられます。日長は長日によって花芽分化が促進される傾向が見られますが、開花数や着果率は自然日長でも安定しているので、電照による日長処理は必要ありません。
ピーマンの開花結実の仕組み
 着果しやすい時期は開花の当日で、結実の仕組みを見ると、雌しべの柱頭上に花粉が付着し、花粉管が伸びて受精が行われます。受精すると種子が形成され、種子から生産される植物ホルモンの働きによって果実が肥大します。葉でつくられた同化養分は果実、茎頂部、葉、茎、根へと送られますが、その50%前後が果実肥大のために使われます。
ピーマンの開花結実の条件
温度 しべにとっては22℃が適温で、35℃以上になると受精能力が失われます。
花粉については20〜25℃が適温で、38℃以上の高温や5〜10℃の低夜温では、受精しにくく変形果や落果が多くなり、着果しても果実内の種子数が著しく少なくなります。
日照 日照の少ない時期には、花芽の分化・発育が不良で、開花数も減少し、落果も多くなり収量が減少します。日照不足の影響がトマト、ナスより少ないとされていますが、最低でも3万ルクス以上の日照が必要になります。
湿度 空中湿度が高いと結実もよくなり、収穫果数も多くなります。ただし空中湿度が高い場合でも、土壌水分が十分でないと収量が上がりません。
養分 果実は着果から肥大、成熟する間、花、果実、茎葉、根などの各器官との間に養分の強い競合関係があります。よって着果数が多くなりすぎたり、収穫遅れの果実が多くなると、各器官への分配養分が少なくなります。地上部では葉面積が小さくなり、地下部では根の生育が不良となって同化能力が低下し、花芽分化、着果、肥大が悪くなります。