スイカの特性
 ウリ科スイカ属は5種に分けられていますが、栽培種はCitrullus.lanatus(2n=22)1種だけです。
 原産がアフリカなので高温乾燥には強いですが、低温には弱く、日照量も多く要求します。
 雌雄同種の1年生草本で、茎は長く伸び、つる性で巻きひげをもっています。
 花は雌雄異花で、まれに両性花が見られます。雌花は品種にもよりますが、つるの5〜6節おきに着性し、それ以外の節には雄花をもちます。着果は単為結果せず花粉が必要です。
 果実は日本の品種は球形で縞模様が主流ですが、世界の品種には枕形も多くあり、果皮も黒皮、緑皮、黄皮が存在し、果肉色は赤、紅、黄色、白を呈するものまであります。
 スイカ果実の機能性は、近年の健康志向から改めて注目されています。利尿効果があり、新陳代謝を促進し、腎臓病や高血圧、むくみ防止に効果的で夏バテ防止に役立つほか、抗ガン作用に効果があるといわれる赤色色素リコピンを多く含みます。
スイカの住みやすい環境
発芽適温
  25〜30℃。実用的な最低発芽温度は15℃程度で、最高発芽温度は40℃です。
生育適温
 25℃前後。ウリ類の中でも高温性の作物です。高温には強く、品種、土壌条件にもよりますが、最高気温は40℃でも十分耐えます。しかし低温には弱く、最低気温13℃を切ると極端に生育が劣り、果実は裂果する場合があります。
土壌適応性
  元来乾燥に強く湿害には弱い性質です。したがって、降雨後の排水がしっかり図れるように圃場を準備します。
土壌酸度
  酸性にもアルカリにも適応性が広く、pH5〜7の範囲では生育差がないとされていますが、接ぎ木した場合、台木の根によって適応性は変わります。カンピョウ、カボチャ台木ではスイカに比べて酸性には敏感になるので、pH5.5〜7が好適でしょう。
スイカの接ぎ木と台木
 日本のスイカ産地では、以下の理由のため、ほとんどが接ぎ木で栽培されています。
・土壌病害を回避する。
・値段の高い早出し栽培をねらい、低温伸長性をつける。
・草勢を強くして収量を上げる。
 台木の主流はカンピョウです。カンピョウはスイカより低温伸長性にすぐれ、スイカ果実への影響も少なく、安定した肉質に仕上がります。そのほかの台木ではより草勢が強く、低温性にもすぐれるものの、スイカ果実の品質が低下することのあるカボチャ、低温性はカンピョウにやや劣りますがつるもち性のよいトウガン、低温性は劣りますが肉質がよくなる共台(スイカ野生種)などがあり、環境条件や接ぎ木目的によって使い分けられます。