スイカの育苗
よい苗の姿
 葉に厚みがあり、節間がある程度詰まっており、葉柄は短くがっしりした苗であること。また、葉色はほどよく緑色であること。
節間が長かったり、葉色が淡いと軟弱徒長しており、定植後の低温に耐えきれない恐れがあります。そのためにはよく光を当て、苗床では葉があまり重ならないよう間隔を広げて採光をよくします。
実生の場合
(1)播種
  スイカの発芽適温は25〜30℃。発芽に関しても高温性なので40℃でも大丈夫ですが、逆に、15℃を下回ると発芽が不ぞろいになるので注意します。
(2)移植
 播種後10日ぐらい、本葉が米粒大のころが移植適期です。
(3)定植までの管理
  移植活着後は最低気温15℃前後で管理します。定植直前に外気温がまだ寒い場合は、12℃ぐらいまで気温を下げて定植後の低温に備えます。
接ぎ木の場合(挿し接ぎ)
(1)播種
  台木のカンピョウ、カボチャともに穂木のスイカより3〜5日早く播種し、挿しやすくするため胚軸をがっちり太くなるよう管理します。
(2)接ぎ木
  穂木の接ぎ木適期は、移植適期と同じです。台木は本葉10円玉ぐらいが接ぎ木の適期です。
  (i)台木の胚軸を5cm残して根を切り落とします。
  (ii)台木の芽をとり、とり除いた部分にスイカ胚軸を挿すための深さ5mmぐらいの穴をあけます。
  (iii)スイカの子葉基部のすぐ下から斜めに、切り面5mmの長さになるように根を切り落とします。
  (iv)台木の穴にスイカを挿して接ぎます。接ぎ木苗は、床に1cmの深さで挿します。
(3)接ぎ木後の管理
  接ぎ木直後より3日間、温度25〜30℃、湿度100%を必ずキープします。真っ暗でなく蛍光灯程度の光も必要です。
 接ぎ木後4日ぐらいから、切った台木の胚軸より根が生え始めるので、ならしを開始します。徐々に光を強め、外気にさらし気温も下げ、ならし開始後3〜4日かけて最低気温15℃、日光に当ててもしおれなくなるように順化させます。定植直前の管理は、実生栽培での管理に同じです。
スイカの定植
(1)元肥
 10a当たり、堆肥2t、苦土石灰80〜100kg、トンネル栽培ではチッソ10〜15kg、リン酸15〜20kg、カリ10〜15kgが基準ですが、ハウス栽培では肥料成分を3割程度増量します。
(2)畝幅と株間
 畝幅は2.5〜3m、株間は作型、整枝方法により変わります。
ハウス栽培では多くの場合、子づる3本または2本仕立て1果どりです。株間は40〜60cm。
トンネル栽培では、子づる4本仕立て2果どりが主流です。株間は70〜100cm。
小玉種の場合は、ハウス・トンネル栽培いずれも4本整枝3果どりが基準です。株間は60〜80cm。
(3)定植
 最低地温は理想的には17℃、最低気温は13℃欲しいところですので、マルチ(透明やグリーン)やビニールトンネルで補います(マルチは地温が十分確保できるなら黒の方がよいでしょう)。
 植え付けは晴天が2〜3日続く午前中に定植します。
スイカの定植後の管理
(1)トンネル換気
 活着後は雌花の着生と健全なつる伸びを促すため、トンネル内気温が33℃を超えないよう換気に留意します。
(2)整枝
 定植後10〜15日の間に、子づるが10cmくらい伸びてきます。このころにそろった強い子づるを予定本数残し、メインのつるとして伸ばします。そのつるから出る孫づるは、晴天の午前中に早めに除去します。
(3)誘引
 畝端につるが届いた時、つるをUターンさせて畝の中央に向けて誘引します。
スイカの交配
(1)着果節位
 適節位は16〜20節当たりの3番花がベスト。これより低節位だと玉が小さく扁平果になりやすく、高節位だと玉が膨らみすぎて変形果、空洞果、裂果が増加します。
(2)交配・受粉
 受精能力は、通常当日の午前中のみなので、花粉が出ていればできるだけ早く受粉させます。ミツバチが飛んでいれば交配の必要がありませんが、曇天やミツバチのいない時期には手交配します。交配日が分かるように、毛糸で色分けしたりラベルなどで印をつけておきましょう。
 交配期の温度確保はとても重要です。開花・開葯の最低気温は13℃で、さらに前日の天候も関係します。低温にあたると敏感に影響し、開花が遅れ、開花しても花粉の出ないことがあるので、期間中は夕方から保温に努めます。運悪く低温が厳しい場合は、夕方に明日開花する雄花を摘んでおき、濡れ新聞紙にくるんで20℃くらいの部屋に置いておけば、当日花粉が出て十分交配に使えます。

スイカの交配後の管理
(1)摘果
 着果が確実となった、卵大のとき、ほどよい紡錘形の幼果を予定果数残して摘果します。
(2)追肥
 摘果後、10a当たりチッソ成分で3〜4kg施します。
(3)整枝
 
着果節以降は原則として放任とします。成長点には根を張らせるホルモンが存在するので、あまり摘芯しすぎると収穫期につるがもたなくなります。また、強すぎる場合には摘芯することにより根の活動を抑えられます。

スイカの収穫適期
 大まかに、大玉スイカでハウス栽培50日、トンネル栽培で45日程度ですが、天候、地域で変わってきます。判定基準として、積算温度で目安を立てられます。大玉スイカは積算温度でおよそ1,000〜1,100℃、小玉スイカで850〜900℃です。
 最も確実なのは、収穫予想の数日前に試し割りをすることです。交配日をよく確認して、取り遅れないように注意してください。