タマネギの住みやすい環境
発芽適温
15〜20℃。また変温による効果は認められません。
生育適温
15℃前後の範囲でやや低温を好み、地上部は20℃前後、地下部は16℃前後が最適。寒さに強く、生育初期にはマイナス8℃程度の低温にも耐えますが、暑さに弱く、25℃以上になると生育は抑制されます。
玉の形成肥大の適温
15〜25℃の範囲にあり、日長時間は長日の方が生育は旺盛で玉の形成肥大にも強く影響しますが、玉形成の反応は品種により大きく異なり、品種の早晩生を分化させています。
タマネギの結球
春になって長日になってくると、外葉は旺盛に伸長し始め、成長点で形成される新葉は葉身の短い葉となり、ついには葉身の見られない葉鞘だけの葉、いわゆる鱗葉が形成されます。鱗葉が形成されると、次第に外葉の葉鞘基部も肥大し始め、外部から見て玉が形成されます。
鱗葉は長日条件によって葉身組織への発達が阻害された姿とも言えます。したがって葉身長/葉鞘長比が1以下なのが特徴です。反対に普通葉は1以上です。
タマネギのトウ立ち(抽苔)はなぜ起きるか?
ある一定の大きさに達した苗が、低温に一定期間あって花芽を分化し、長日条件のもとで抽苔が促進されます。一般に大苗になるほど低温の影響を受けやすくなります。一般に、早生の品種は抽苔しにくい性質をもちます。

タマネギのトウ立ちを 
多発させる三つの要素
①播種時期や天候による生育の前進。
②遭遇する低温の時期と量。
③低温遭遇時の株の栄養状態。
タマネギの分球はなぜ起きるか?
秋まき栽培で早まきしたり、苗が大きくなりすぎた時、一次分球が見られることがありますが、その苗が肥大すると玉割れ現象を起こします。
葉が青立ちしている株で裂球が多く見られます。肥大期に入って球内分球している株が、チッソの遅効きとなったり、冷涼な気候になると若返って内部から葉が展開してきて、変形球になって青立ちすることが多くなります。
タマネギの結球生理
長日刺激はオーキシン、ジベレリン代謝を不活発にし、RNA代謝の活性を低下させ、チッソ含量の低下と糖の蓄積を招く一方、DNA代謝が活性化し、鱗葉形成を導きます。
(1) 日長時間
長いほど長日刺激が強く、結球開始が早いので、苗が小さいまま肥大し始めます。
そのため玉の肥大充実は十分であっても肥大量は小さく、小球となってしまいます。結球開始までには、十分に大きな苗で育て上げておくことが大切です。
(2) 温度
玉の形成および初期肥大は高温で促進されます。そして玉の肥大が継続されるには15℃というような比較的冷涼な温度が光合成、その産物の転流などから適しています。
(3) 肥料
チッソが不足すると玉の肥大不良となるばかりか、腰高球になりやすく、抽苔しやすい状態になります。チッソが効きすぎると肥大が遅れ病害を受けやすくなります。リン酸不足では葉根の生育不良で玉の肥大も結局不良となります。しかしリン酸が過剰吸収されると病害にかかりやすくなります。
タマネギはなぜ倒伏するのですか?
玉の肥大充実が進行すると、葉が葉鞘のところからくびれて倒れます。タマネギは鱗葉形成にともなって首の部分に中空部を生じます。この部分が弱点となって、玉がある程度肥大すると風によって簡単に倒れます。これは玉が成熟した印です。
タマネギの玉の休眠現象
タマネギの玉が肥大充実すると、根群の活動が低下して、収穫後に最適の条件を与えても萌芽が見られません。1カ月くらいは体内生理によって休眠が誘発されています。これを自発性休眠といいますが、この休眠期間が高温や低温などによって、さらに萌芽が遅れ、長くなっているのを他発性休眠と呼んでいます。日照の弱い条件下で肥大した玉は萌芽が早くなります。チッソの遅効きした玉、または遅くチッソを追肥した玉は萌芽が早く、早期倒伏した玉も萌芽が早くなります。
なお休眠が終了した萌芽期では多湿によって萌芽が一層促進されます。