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ミズナ、ミブナの来歴
長期間、西日本の文化の中心であった京都では、多くの野菜種子が全国から集中し栽培されたことから、京都市内各地の地名をとった、いわゆる京野菜が生まれています。ミズナとミブナはともにその京野菜であり、ミズナは栽培法、ミブナは地名から名前がつきました。ミズナは、当時、普通の畑では当たり前に使われていた下肥を用いず、流水を畝間に引き入れてつくったのでこの名がついたといわれています。ミズナは切葉ですが、そこから丸葉のものが1800年代に分化し、その漬物が非常においしくて喜ばれました。これが、京都の壬生(みぶ)地区で多く栽培されたことから、ミブナと呼ばれるようになったと考えられています。
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ミズナ、ミブナの料理の用途
ミズナといえば関西のハリハリ鍋などの鍋物や漬物などの利用が知られていましたが、最近は特にサラダを始めとして、おひたしや炒め物など用途が広がり、急激に消費が拡大しています。消費者からはシャキシャキした食感とアクが少なく食べやすい点、葉に欠刻があり見た目にユニークなところが好まれています。
ミブナは京都の千枚漬の青物としての添物など、漬物としての利用が有名ですが、鍋物に使ってもやわらかく、とてもおいしくいただけます。
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ミズナ、ミブナの分類
ミズナ、ミブナともに総合種
Brassica rapa
L.に属し、ハクサイ、コマツナ、カブ、チンゲンサイと同じ仲間であり、生育適温などの生理・生態的特性や発生する病害虫が類似します。
Brassica rapa
L.の中では、数少ない日本固有種の一つです。
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ミズナの品種分類
現在出荷されている品種はほとんどが早生種で、欠刻が多く、葉軸が白く細く、また葉数が多く分けつする品種が市場での評価を得ています。
品種
葉形
欠刻
葉軸
葉色
抽苔
早生
細い
細かく浅い
白く細い
淡緑色
早い
中生
中間
中間
中間
緑色
中間
晩生
大きい
少なく深い
太くやや青みを帯びる
濃緑色
遅い
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ミブナの品種分類
葉軸がやわらかいものが漬物や鍋物で好まれており、現在販売されている品種はほとんどが早生種です。
品種
葉色
葉軸の太さ
葉軸
早生
淡緑色
細い
繊維が少なく、やわらかい
中生
緑色
中間
中間
晩生
濃緑色
太い
繊維が多い
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わが国のミズナの栽培面積と収穫量
平成22年(2010年) 農林水産省統計
栽培面積 (ha)
収穫量 (t)
栽培面積 (ha)
収穫量 (t)
全 国
2,230
38,000
兵庫県
96
1,600
茨城県
554
11,900
北海道
83
1,690
福岡県
211
3,570
大阪府
76
1,610
埼玉県
208
2,870
群馬県
74
1,470
京都府
157
2,750
宮城県
74
1,280
滋賀県
98
1,370
鹿児島県
54
815