ミズナ、ミブナの栽培のポイント
従来は秋から冬にかけて大株で収穫されていましたが、最近は1年を通しての需要が拡大し、小株どりの周年栽培が主流となっています。小株どりといっても1株重が25g程度(1束200gで8株程度)のものから、1株重が70g程度(1束200gで3株程度)と、産地により収穫サイズはさまざまです。目的とする収穫物のサイズを定め、それに合った栽培管理を行うことがポイントとなります。
以下に、小株どり栽培(1株重が50g程度、1束200gで4株程度)のポイントを述べます。
ミズナ、ミブナはどれくらい肥料が必要か?
(1) 圃場選択と土づくり
小株どりのミズナやミブナは栽培期間が短いですが、栽培の安定を図る上で圃場の選定や土づくりはとても重要です。ほかの野菜同様、排水性と保水性のよい、バランスのとれた圃場が適します。また、根こぶ病などの連作障害を回避するため、できるだけアブラナ科野菜を前作に作付けしていない圃場を選定します。組み合わせる野菜は、軟弱野菜ではホウレンソウやシュンギクが適当です。よい圃場を維持するには、化成肥料のみでの栽培は避け、完熟堆肥などの有機物を施用し、良質の土づくりを心掛けます。
(2) 施肥量
施肥は元肥を中心とします。施肥量は土質や前作によって異なりますが、標準として(ハウス秋まき栽培の場合)、成分量でチッソ、リン酸、カリとも10a当たり10kg程度です。また、播種期に応じて冬季は増肥し、夏季は減肥します。
ミズナ、ミブナの播種方法
小株どりでは、作業の手間を省略するため、直まき(1粒まき)で間引きなしの栽培を行うのが一般的です。
栽植密度は、株間は5〜7cm、条間15〜20cmが標準的です。
高温期の栽培では軟弱徒長を防ぐため、株間をやや広めにとります。
播種後はタネが隠れる程度に軽く覆土し、ムラなく均一に潅水します。
ほかの軟弱野菜と同様、収穫・調製作業に多くの時間がかかる上、出荷可能期間が短いので、1日当たりの出荷数に合わせて、計画的に播種を行います。
ミズナ、ミブナの栽培管理
<夏季栽培のポイント>
(1) 一斉発芽がポイント(盛夏期には遮光資材の利用も)
小株どりでは短期間で収穫を迎えるので、一斉発芽が栽培を安定させるポイントです。特に高温期は発芽が不ぞろいになりがちです。乾燥はもちろんですが、過湿でも、発芽前にタネが腐敗して欠株になったり、発芽しても根張りが悪く生育が順調に進みません。特に乾燥しやすい高温期の栽培では、十分圃場に水分をもたせた上で播種します。
また夏どり栽培では水分管理を容易にするため雨よけハウス栽培を基本としますが、播種前に「タキイホワイト」などの遮光資材を展張し、地温・気温の上昇を抑えるとともに、土壌水分の変化を少なくすることで、潅水管理を容易にします。子葉が展開して発芽がそろった後には遮光資材を外し、軟弱徒長を防止します。
(2) 発芽後の潅水管理
本葉5〜6枚までは土壌が乾ききらないようにします。
草丈が15cmを超えるころからは潅水を控えます。軟弱徒長を抑え、出荷後の「ずるけ」を防ぎ、店もちをよくします。


<冬季栽培のポイント>
(1) 不織布のベタがけ
低温期の栽培では、ハウスを利用し播種後「テクテク」などの不織布のベタがけで保温を行い、生育促進に努めます。
(2) 早春どりは抽苔注意
抽苔に関して、ミズナ、ミブナはハクサイと同じ種子感応型で、低温にある一定期間あうと花芽分化し、その後の温度上昇で抽苔します。厳寒期に直まきして早春どりする作型では、生育期間が長くなり抽苔の危険性があるので、ハウス内の保温と換気に留意し生育遅延による抽苔を回避することが肝要です。
また、冬〜早春どり栽培では、抽苔の回避やハウスの栽培回転数アップのため、温床育苗を利用した移植栽培も有効です。
ミズナ、ミブナの収穫
草丈30cm程度になれば順次収穫し、1束200g程度(8株程度)で出荷するのが標準的です。

<家庭菜園向け秋冬どり栽培のポイント>
ミズナの本来の旬は秋から冬にかけての時期で、家庭菜園ではこの時期がおすすめです。秋〜冬どりが1年の中で最も栽培しやすく、また寒さにあたることでより一層おいしくなります。
播種適期は中間地や暖地で9月中下旬ごろです。タネは条間20cm、株間5〜15cmを目安に3〜4粒の点まきにし、薄く覆土します。本葉2〜3枚までに、間引きをして1本立ちにします。草丈が15cm程度になったら、間引き菜として順次収穫を始めます。追肥も行いながら最終的に株間を25cm程度にすれば、株重が500g程度の中株が収穫できます。