作期が広くて作りやすいハクサイ「ほまれの極み」 家庭菜園での栽培ポイント

2019/02/20掲載

近年、気象の変動が激しく栽培環境の不安定化が叫ばれています。秋冬露地野菜の栽培においても播種から生育初期の時期に当たる8〜9月の高温、ゲリラ豪雨や台風の頻発などでますます作りにくい状況になってきています。

ハクサイの栽培でも栽培環境の不安定化の影響は大きく、苗や畑の準備ができず植えられない、あるいは定植直後の苗が生育不足になり、せっかく植えたハクサイが結球せず収穫できない、といったことを経験された方も多いのではないでしょうか。
そういった悩みに応えるハクサイ「ほまれの極み」についてご紹介いたします。

従来品種にはない特長をもつ「ほまれの極み」

秋の遅まき・遅植えのできる低温結球性と早生性

従来品種で低温結球性にすぐれる「黄ごころ85」「晴黄85」といった 冬どり中生種でも、中間地では9月5日ごろが遅まきの限界でした。しかし、「ほまれの極み」は従来の冬どり品種以上の低温結球性と早生性を両立しており、2週間遅い9月20日ごろまで遅まきが可能です。この特性は秋の長雨や台風後の遅植えにも適します。

イラスト:栽植密度

晩抽性と耐寒性にすぐれる

「ほまれの極み」が遅まき・遅植えができるもう一つの理由として、晩抽性と耐寒性にすぐれる点があげられます。

遅まき・遅植えの場合、低温の中で生育が進むため、低温に反応して花芽分化が進み結球葉枚数を十分確保できなかったり、2月を過ぎると球内抽苔が進んでしまうといった課題があります。「ほまれの極み」は秋冬ハクサイとして最高レベルの晩抽性と、越年時を結球初期で迎えることで耐寒性を発揮し、2〜3月上旬でも品質のよいハクサイを収穫することができます。

2月26日愛知県の圃場のようす。
2月26日愛知県の圃場のようす。

「ほまれの極み」を生かす栽培ポイント

播種期の設定

中間地でのタネまきは8月下旬〜従来品種より2週間遅い9月20日までを目安とします。2月下旬から3月の収穫をねらうためには、9月15〜20日の遅い播種期設定が必要です。

中間地では9月20日ごろまでまける!

施肥設計と肥培管理

「ほまれの極み」はこれまで述べたように遅まき・遅植えができるよう低温結球性を高めた品種です。吸肥力は強いため、生育初期からの過度な肥効はゴマ症や芯割れといった生理障害を招く原因となります。施肥量は冬どりハクサイと同等とし、元肥5割、追肥5割で生育期間を通じて肥効を持続させます。

1月下旬に5分結球のステージに達していない場合、2月に入るタイミングで1u当たり100gほどの速効性の化成肥料を株元に施します。気温上昇とともに肥効が現れ、玉の充実・肥大が進みます。7分結球(収穫物の形がほぼ仕上がり、中の充実をまつ状態)のステージになるまで2週間に1回を目安に追肥しましょう。

写真はゴマ症。生育初期からの過度な肥効は生理障害の原因になるので注意。
写真はゴマ症。生育初期からの過度な肥効は生理障害の原因になるので注意。

ベタがけ資材の利用

「ほまれの極み」に限らず遅植えした場合、低温下で生育が進むため外葉が大きくならず、結球が十分進まない、あるいは小玉となりやすい傾向があります。そのため、年内からの不織布のベタがけ資材の利用をおすすめします。近年の天候不順で年内の気温推移は不安定ですが、ベタがけ資材の活用で低温下での外葉の伸長を助けるだけでなく、年明けも被覆を継続すれば結球・肥大を順調に進めることが可能です。

2月下旬〜3月上旬に新鮮球を収穫するためには、目安として越年時を結球初期で迎えるような栽培管理が必要です。生育が遅れている場合は被覆を早め、年内の生育調整を図りましょう。

ベタがけ資材を活用して生育を助ける。
ベタがけ資材を活用して生育を助ける。