2017/02/20掲載
夏秋トマト産地では薬剤による土壌消毒の中でも、空気よりも重量が重く深さ30cm程度まで防除効果の期待できるクロールピクリンによる土壌消毒が行われています。薬剤による土壌消毒は無菌状態になりやすく、病原菌が残ったり病原菌が侵入した場合はかえって病害が増加することもあります。そのため薬剤による土壌消毒を一度行うと、毎年実施することになりがちです。
しかし、近年、土壌消毒実施後に拮抗微生物資材を投入し、病原菌の新たな増加を防ぐ取り組みが開始されています。実証では、栽培終了時の「土壌中の拮抗微生物菌数/青枯病菌数」をメーカーに調査依頼を行っていますが、データの蓄積、指標、活用方法などが今後の課題といえます。
青枯病は高温下での発病が激しいため、冬春トマトの抑制栽培(8月定植)では高温対策とかねて、「タイベックマルチ」を用いた地温低下対策が普及しています。
平成21年度に県病害虫防除所が行ったポット試験では、メーカーの各台木の耐病性強弱とおおむね一致し、またメーカー間でも有意差はありません(第3表)。現地実証では上根主体の台木が耐病性が強い傾向をしめしていますが、逆に上根主体の台木は草勢が弱く、収量性に影響するため、被害程度で選択しています。
注1)青枯病菌はH19年に農業技術センター環境部において海津市より分離保存された菌株を使用した。
注2)使用したトマト青枯病菌の接種は各品種の本葉7葉時に24時間浸漬を行った。
注3)接種した各品種は昼12h、35℃、照度5/夜12h、30℃、照度0 共に湿度80%の人工気象器内で10日間管理した。
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