キュウリ根腐病
 


 養液栽培のキュウリで発生する。初め、日中にキュウリの茎頂部がしおれ、夜間回復する症状が見られ、やがてしおれは回復することなく、株が枯死するようになる。これらの症状のキュウリの根は、あめ色に変色し、やがて褐色になって腐敗する。病原菌は、培養液中に伝染病器官を形成、培養液によって施設全体に蔓延し、大きな被害となる。
  罹病植物の根を取り出し、光学顕微鏡(100-200倍)で観察すると、球形の卵胞子(20-30ミクロンぐらい)が多数観察される。

 
 


 病原:糸状菌(かび) ピシウム属菌
 数種が知られている。被害は、培養液温度の上昇する夏季高温時に多く、この時期、ピシウム アファニデルマータムによる感染が最も一般的である。
 病原菌は水生菌類に属し、水中で遊走子を形成して伝染する。根に感染した病原菌は、根の組織を侵し、根を腐敗させる。植物は吸水できなくなり枯死する。感染組織内で病原菌は多数の遊走子のうを形成し、培養液中に遊走子を放出し、二次伝染を繰り返す。病原菌は培養液によって施設全体に蔓延し、数日でキュウリが全滅する。ピシウム アファニデルマータムなど有性器官を形成する種は、感染組織内に卵胞子を形成し、これが残って次期感染源となる。

 
 


 キュウリ根腐病の防除には、銀を使った防除資材オクトクロス(金属銀剤)が利用できる。キュウリを定植する1〜2日前に培養液中にオクトクロスを添加して銀を徐放させることで、培養液中への病原菌の侵入、増殖を防止できる。



データ作成年月日:2016/1/29

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写真1(SK)

▲キュウリ根腐病

写真2(SK)

▲キュウリ根腐病圃場

写真3(SK)

▲根腐病感染キュウリの根

写真4(SK)

▲キュウリ根腐病感染


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