
ピーマン「ピー太郎」
「こどもピーマン」は発売以来その存在を消費者が知るにつれて、どんどん人気が高まっています。人気の理由はピーマン独特の苦みと青臭みを抑えた画期的でおいしいピーマンだからです。
「こどもピーマン」は、嫌われる最大の要因である苦みと青臭みを極めて少なくし、食味の向上にこだわることで、子どもにも好まれる味になりました。さらに味だけでなく、栄養・機能性成分も従来のピーマンより大幅に増えています。
- <品種特性>
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- 苦みが少なくおいしい
子どもが苦手とする苦みやピーマン臭(青臭み)が少なく、甘みがあり食べやすい新しいタイプのピーマンです。果肉はパプリカのように厚く、ジューシーで食べ応えがあり、素焼きや肉詰め、天ぷら、煮物、炒め物のほか、サラダや浅漬などの生食にも適します。 - ビタミンC・カロテンが豊富
従来のピーマンに比べて、ビタミンCやカロテンが豊富で、栄養・機能性成分の高いピーマンです。 - キュートな果形で使い勝手がよい
果色は濃緑色で新鮮味があり、大きさは長さ約10p、重さ40g程度で、家庭で使い切るのに手ごろなサイズです。果形は従来のピーマンと異なるユニークなロケット形で、果ぞろいがよく、アイデア次第でいろいろな料理に利用できます。 - 収穫時期のこだわりと収量
成熟直前には糖度が高まり、果実の表面にヒビが発生します(写真1)。新しいピーマンとして味のよさをアピールするために、少しヒビが出てから収穫します。収穫適期が従来のピーマンより1〜2週間程度遅れるので、従来のピーマンの収量にはおよびませんが(8割程度)、その分食味がよく栄養価の高い果実が収穫できます。 - 草勢が強く栽培容易
草姿は中立性で枝伸びがよく、強勢で耐暑性があるので、夏秋トンネル栽培や夏秋露地栽培が容易です。また、草勢が強く枝が太いので、初心者の家庭菜園やベランダでの袋栽培にも適しています。
- 苦みが少なくおいしい
- < 栽培のポイント>
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基本的には中型ピーマンに準じて栽培しますが、収穫までの日数が長めで着果負担が大きい点に注意して栽培を行います。
- 育苗
節間が伸びやすいので、鉢内に余分な水分が夜間まで残らないよう潅水量に注意を払い、早めに株間を広げて、がっちりとした苗に仕上げます。 - 元肥と畝立て
元肥のチッソ量は、夏秋中型ピーマンと同量の10a当たり20sを目安として施します。定植後の活着をスムーズに進めるため、適湿な状態で畝を立て、早めにマルチを張って地温を高めておきます。 - 定植
1番花の開花2〜3日前が定植の適期です。この時期の定植が、最も栄養生長と生殖生長のバランスがとりやすく、その後の生育が順調に進みます。 - 肥培管理
(1) 定期的に追肥を行う
初期の草勢に応じて、追肥は1番果の着果肥大〜収穫始めのころをスタートとします。開花から収穫までの日数が中型ピーマンより長く、着果負担が大きくなりやすいので、草勢を落とさないよう定期的に追肥を行います。
(2) 潅水は収穫期以降やや多め
強勢で枝伸びがよいので、育苗から着果が確認できるまでは、潅水量は普通〜やや少なめで栽培します。その後、開花数、収穫数が増えてくるころからは、果実肥大を助けるため、通常よりこまめでやや多めに潅水します。
(3) 露地栽培での整枝と誘引
仕立て方はピーマンと同様、1番花が着生する1次分枝より下のわき芽はすべて取り除き、2次分枝4本を主枝とし、4本仕立てとします(第1図)。 露地栽培の場合は、2次分枝より先は厳格な整枝をせず、半放任栽培とします。生育が進んで枝が込みあってきたら、細めの枝をとって透かすようにします。誘引は水平にフラワーネットを張って枝が倒れないようにするか、畝の肩に支柱を立てて枝が倒れないよう、ひもで囲むようにします(第2図)。
(4) 夏季を乗り切る
梅雨が明けて高温乾燥期になったら、潅水チューブや畝間潅水などで十分に潅水をします。また、乾燥と地温上昇を防ぐために、敷きわらをすることも夏季を乗り切る有効な対策です。 - 収穫
成熟直前には糖度が高まり、緑色の果面にヒビが発生します。食味のよさがセールスポイントの品種なので、果実表面下部にヒビが少し出たところで収穫します。まだヒビが出ていない若どりや、ヒビが多くなりすぎた遅どりは避けるようにします。また、収穫適期が中型ピーマンより遅いので、初期収量では中型ピーマンにおよびませんが、適正な肥培管理で長期栽培を行うことによって、収量差を少なくすることが可能です。
- 育苗
耐暑性があり強勢で枝伸びが安定しているので、夏秋トンネル栽培、夏秋露地栽培が最適な作型です。

- 「ピーマンの苦み成分」を解明
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- タキイ種苗は、お茶の水女子大学との共同研究で、苦味の少ないピーマン『こどもピーマン』を材料に従来の苦味のあるピーマンと果実成分を比較したところ、苦味に関与すると思われるポリフェノールの一種「クエルシトリン」が『こどもピーマン』では少ないことが明らかになりました。
ピーマンは子供が嫌いな野菜の代表とされることが多く、その主な原因はピーマンに特長的な「苦味」であると言われています。しかし、ピーマンの苦味成分については、これまで明らかにされておりませんでした。そこでタキイ種苗では、お茶の水女子大学の協力のもと、2010年に発売を開始した苦味の少ない『こどもピーマン』と、従来のピーマンとの成分を比較することにより、今回初めて苦味成分の解明を実現いたしました。
従来のピーマンと『こどもピーマン』の果実成分を比較したところ、従来品種に含まれる成分が『こどもピーマン』には含まれないことを発見し、この物質が「クエルシトリン」(quercitrin)であると特定しました。「クエルシトリン」は苦味ではなく"渋み"を感じることから、さらに食味評価を行った結果、この「クエルシトリン」にピーマンの香気成分が加わることでピーマンの苦味として感じられることがわかりました。
- タキイ種苗は、お茶の水女子大学との共同研究で、苦味の少ないピーマン『こどもピーマン』を材料に従来の苦味のあるピーマンと果実成分を比較したところ、苦味に関与すると思われるポリフェノールの一種「クエルシトリン」が『こどもピーマン』では少ないことが明らかになりました。
■こどもピーマンの和風マリネ
- 材料(2人分)
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- こどもピーマン…6個
- ポン酢醤油…大さじ1と1/2
- おろしニンニク…少々
- 赤唐辛子…2本
- オリーブ油…大さじ2
- かつおぶし…適量
- 作り方
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- こどもピーマンは縦半分に切り、種を除きます。
- バットにポン酢醤油、おろしニンニク、種を除いた赤唐辛子、オリーブ油を混ぜ合わせます。
- 焼き網を熱し、1のこどもピーマンをのせて焦げ目がつくまで両面を焼き、熱い内に2のマリネ液につけます。(すぐに食べても美味しいですが、30分〜1時間程漬けておくと、更に美味しくなります。)
- 器に盛り、かつおぶしをふっていただきます。
■こどもピーマンとウインナーのカレーサラダ
- 材料(2人分)
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- こどもピーマン…2個
- ミニトマト…4個
- ジャガイモ…小1個
- ウインナー…3本
- フレンチドレッシング(市販品)…大さじ3
- カレー粉…小さじ1
- グリンリーフ…適量
- うずらたまご(水煮)…2個
- 作り方
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- こどもピーマンは5mm幅の輪切りにし、種を除きます。
- ミニトマトは半分に切ります。ジャガイモは1cm幅の半月切り、ウインナーは斜め切りにし、それぞれ下ゆでします。
- ボウルにフレンチドレッシングとカレー粉を入れて混ぜ合わせ、1、2の具材を入れて和えます。
- グリンリーフを敷いた器に、3のサラダを盛り、半分に切ったうずらたまごを添えます。