タキイ種苗株式会社タキイの花

栽培基礎講座
宿根草花の知識 作り方のポイント


宿根草花
手入れ
 一度植え込めば、あとはほとんど手入れの必要がないのが、一般的な宿根草の長所ですが、なお一層美しく育てるためには、いろいろな手入れがあります。
 まず、多数の茎が立ち、お互いに日当たりと風通しを妨げると生育が悪くなるので、芽が伸び始めたところで、細いものや曲がったものなどを根元から取り除いてしまいます。
 また、シャクヤクのように、一つの花を立派に咲かせたいものは、中心の蕾1個を残して、それ以外の蕾を全部かき取ってしまいます。
 草丈が高くなりすぎるものは、中途で摘芯(芽つみ)して枝分かれさせると、草丈を低く抑えるだけでなく、花をたくさん咲かせることもできます。

花が終わったら
 翌年も株が残る宿根草にとって、花が終わったあとの手入れはとりわけ大切です。株を充実させ、翌年元気よく育つ芽を育てておかなくてはならないからです。
 花が終わるとすぐに、タネがつかないように花がらあるいは花茎を取り除き、お礼肥という追肥を与えて元気をつけます。葉はできるだけ多く残して茂らせます。
 冬になって地上部が枯れたものは、地際で切り取って清掃し、病害虫発生のもとをなくしておきます。生育中でも、枯れた茎や枯れ葉、黄色になった葉などは、役目が終わっているので取り除きます。

元肥と追肥
 植え替えをしない株では、春の芽立ち前(関西から関東では3月初めごろ)に、その年1年の原動力となる元肥を施します(ただしシャクヤクでは秋の10月上中旬)。株の回りに2~3個所浅い穴や溝を作り、堆肥と5~10gほどの緩効性化成肥料を混ぜて埋め戻しておきます。堆肥といったのは有機物のことで、市販の堆肥や腐葉土、腐植土、乾燥牛糞などを使います。堆肥とはいっても肥料分は少なく、根張りをよくしてくれるものです。
 生長の途中で与える肥料を追肥といい、花が終わった直後のお礼肥や、枝を切り詰めて再び芽を勢いよく出させるための芽出し肥などがあります。これはすぐに効果が出るような速効性のものがよく、薄い液肥(1000倍くらいのもの)を1~2回、または緩効性の化成肥料を少量与えます。 

病気と害虫
 植物がある以上、病気と害虫は必ず発生します。そこで予防に努めることと、発生したらすぐに防除できるように準備しておくことが大切です。
 ムシの害は、発生してからでもすぐに対処すれば駆除できます。アリマキ(アブラムシ)は何にでもつきますが、浸透性の殺虫剤を根元にまいておけば容易に防除できます。
 高温と乾燥のはげしい都市の中では、ダニ類が多く発生して汁液を吸い、葉が黄褐色となって株が弱ります。殺ダニ剤を使い、乾燥時には毎日葉の裏から霧水をかけると忌避が可能です。
 葉を食べるのはヨトウムシなどのイモムシ類で、葉がかじられ、糞が落ちているので分かります。小さい幼虫のうちなら、浸透性殺虫剤の水和剤を茎葉に散布しておくと駆除できますが、大きく育ったムシは手で取るのが一番です。ヨトウムシなら夜間に見回るか、地面に浅く潜っているのを見つけて捕殺します。


灰色かび病(ポトリチス病)が発生しやすいシャクヤク

 病気はカビとバクテリア(細菌)の寄生で、予防が第一です。よく出るのは灰色かび病(ボトリチス病・シャクヤクに多く発生する)と、若い茎葉に白いカビが生えるうどんこ病(フロックスやバラによく出る)です。ベンレートなどの殺虫剤を散布して予防します。症状が進んで黄化した葉は落ちるので、見つけたらつみ取って、そのあとに予防薬を散布しておきます。
 恐いのは根につく白絹病や菌核病で、ここ数年の暑い夏のせいか、発生が増えています。未熟な堆肥や腐葉土を用いると発生しますし、よそから苗や鉢植えについてくることも多いように思います。気がついた時はもう末期で、根元の地表面に粟粒ほどの菌核が一面に出ており、根には白い菌糸がまつわりついていますから、残さないようにさらって焼却場へ送ります。鉢土の場合は捨てるか焼くしか方法がありません。庭の場合はロブラールなどをまいて予防したり、木酢液で忌避できないかと試行中です。発生跡地には、最近発売されている粒状石灰チッソが使えるのではないかと思います。
 白絹病や菌核病は、暑さに弱い宿根草類では最も恐ろしい病気といえます。これに侵された株と、バクテリアに侵されたもの、ウイルスの発生した株は、できるだけ早く焼却場へ送るのが、他の植物を安全に育てるための良策です。
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