異常気象に強い品種選定と栽培技術 葉菜編

キャベツ、ハクサイの高温・多湿対策

2020年7月20日更新

キャベツやハクサイなどの露地野菜にとって、気候の変化は収量に直結する大きな要因となります。今回は、高温多湿のような不良環境条件に対する、キャベツ・ハクサイ栽培の基本的な考え方や栽培資材の使い方、高温多湿に強い品種とその栽培ポイントをご紹介します。

生育の仕組みから考える資材の活用

高温時の対策

キャベツやハクサイの生育適温は20℃近辺で、生育可能温度は5〜30℃とされます。そのため、30℃以上の気温では生育の停滞や、しおれ症状などが発生しやすくなります。それは、高温による光合成量の低下や、根の活性の低下などに起因すると考えられます。

対策としては、定植後の活着を順調に進めて根の健全な生育を保ちます。定植直後〜2週間までの間は、圃場の水分条件をよく確認して不足するようであれば、潅水を行います。その後も、高温乾燥が続くとカルシウム欠乏などの生理障害のリスクが増しますので、適切な水分管理が必要です。

高温対策に有用な資材として「タキイ トレエース」や「タキイ リーフエース」があります。本資材は天然に存在する糖質であるトレハロースや微量要素を含む肥料で、トレハロースによるしおれ症状の軽減や、根の活性低下時に微量要素施肥による生育促進が期待できます。

しおれ軽減、鮮度保持に効果がある「タキイ トレエース」(左)。「タキイ リーフエース」(右)は不良環境下でも植物体の代謝を活性化させます。

しおれ軽減、鮮度保持に効果がある「タキイ トレエース」(左)。「タキイ リーフエース」(右)は不良環境下でも植物体の代謝を活性化させます。

≪「タキイ トレエース」効果事例≫

しおれ軽減 タキイ トレエース ミズナ

2014年7月8日 兵庫県 三木市
タキイ トレエース 1000倍希釈×2回 散布
ミズナの中心部のしおれが少なく葉茎部がしっかりしている。
(5月20日播種/6月10日・7月4日施用/7月8日調査)

鮮度保持 タキイ トレエース レタス

2008年12月 長崎県
タキイ トレエース 1000倍希釈×2回 散布
収穫 1カ月後の断面図

多湿条件の対策

ゲリラ豪雨や台風によって、圃場が湛水してしまうことが散見されます。キャベツ、ハクサイは多湿条件を苦手とする作物で、湛水すると根が酸素欠乏になり、根傷みを引き起こします。傷んだ根は必要な養水分を吸収することができず、地上部がしおれ、最悪の場合は枯れてしまいます。

圃場が湛水した場合は、何よりも圃場にたまった水を逃がすことが最重要です。キャベツ、ハクサイは水に12時間以上浸ると根の生育に影響があると言われています。そのため、一刻も早く排水し圃場を乾かしてください。

圃場の湛水を避けるためには、圃場準備の段階での排水性改善も重要です。有機質施与による土壌の団粒化の促進や、サブソイラによる耕盤破砕、高畝栽培、明渠の整備などが有効です。

さらにあらかじめ酸素供給剤「オキソパワー5」を施しておくことも有効です。「オキソパワー5」は土中で水と反応して酸素を発生することで、水分過多の際に根傷みを回避することができます。

酸素供給剤「オキソパワー5」は土壌の水分と反応して、約5カ月にわたり酸素を供給し、理想の土壌環境を保ちます。

酸素供給剤「オキソパワー5」は土壌の水分と反応して、約5カ月にわたり酸素を供給し、理想の土壌環境を保ちます。

≪「オキソパワー5」施用事例≫
長野県 キャベツ (2017年)

「オキソパワー5」施用事例 干ばつ対策
「オキソパワー5」施用事例 干ばつ対策 表

このケースでは干ばつ対策として施用。慣行区に比べ施用区の方が、根張りがよく収穫物のそろいや1球当たりの平均重などの収量も上がりました。

高温多湿に強い品種を選択する

キャベツ

暑さやゲリラ豪雨によって、夏〜秋どり作型が以前よりも栽培しにくくなる中で、耐暑性があり、栽培期間が短く、作りやすい早生種をご紹介します。

おきな」は作型適応幅が広く、安定した肥大が見込めるロングセラー品種です。耐暑性があり生育旺盛なため、夏場でも安定した生育が見込めます。大玉での収穫が可能なので、特に加工・業務用出荷に最適です。高温多湿条件で発生しやすい黒腐病に対する防除がポイントです。

安定した生育
おきな

「おきな」:耐暑性があり生育旺盛で栽培容易な定番品種。

耐暑性と黒腐病耐病性をもつ「彩」シリーズの早生種「彩峰」、「彩里」は、より耐病性を重視したい方におすすめです。

耐病性を重視
彩峰

「彩峰」:耐暑・耐病性にすぐれ、品質のよい寒玉系早生種。

使い分けのポイントは、「彩峰」の方がより耐暑性にすぐれることから早まきが可能で、10月中旬ごろからの早期出荷を行うことができます。低温下では玉のしまりが遅くなるため、適作型を守ってください。11月収穫は作型適応幅の広い「彩里」の利用をおすすめします。

この3品種は熟期65日程度の早生種であるため、初期生育を順調に進めることが肝心です。高温、多雨条件の中で、資材なども活用しながら、地上部の草勢、根の活性維持に注意して栽培します。

彩里

「彩里」:耐病性にすぐれる夏秋どり早生種で萎黄病と黒腐病に耐病性をもつ。

ハクサイ

ゲリラ豪雨が増えている一方で、小雨が減り、圃場の乾湿の差が大きくなりやすくなっています。そのため、根傷みが増加し、カルシウム欠乏症が発生しやすい状況が増えています。そこで、生理障害が少ない85日タイプのハクサイの「晴黄85」をおすすめします。カルシウム欠乏症に強いこともさることながら、べと病に特に強いのが特長です。多湿条件になると、べと病の発生リスクが高まります。ぜひ「晴黄85」を上手に活用し、適切な栽培管理、防除を含めて安定した栽培を実現させてください。

生理障害に強い
晴黄85

「晴黄85」:べと病耐病性、カルシウム欠乏症などの生理障害が少ない中生種。

一方で、秋冬どりの定植シーズンは9月中下旬ですが、台風や長雨によって定植時期を逃すことや、圃場が湛水して不良株になることがあります。その場合、遅まき、遅植えが可能な「ほまれの極み」を活用して、収入源の確保をすることができます。「ほまれの極み」は、中間地の9月中下旬まき、暖地の10月上中旬まきで栽培し、翌年の2月下旬ごろに収穫が可能になります。元肥を半分にして初期から肥効を与え、順調な生育を維持し、年末からベタがけを行うことで、安定した栽培を行うことができます。

遅まき・遅植え対応
ほまれの極み

「ほまれの極み」:遅まき、遅植えが可能で、作期が広く作りやすい早春どり黄芯早生種。