2019/07/22掲載
今回ご紹介する「冬どり聖護院」は、作りやすさとおいしさを兼ね備えた丸ダイコンです。
通常の青首ダイコンより耕土の浅い土地でも栽培することができ、さらに低温期でもよく太り、寒さにも強く、またス入りも遅いので長く畑に置いておくことができます。
一方で、品質的には肉質が緻密(ちみつ)なため、長時間じっくり煮炊きしても煮くずれせず、味が芯まで染み込むので、口の中に入れた時のとろけるようなやわらかさはおでんにして食べると絶品です。
以下に上作のための栽培ポイントを示しますので
参考にしていただき、
今秋はぜひご家庭で最高級の
聖護院ダイコンを味わってください。
良品を作るうえでは土作りが必須です。特に水はけや水もちが悪い畑では生育や品質が悪くなりやすいので、土壌環境の改善が期待できる資材(グリーン・ベラボンなど)の投入をおすすめします。
また、肥料抜けが早いやせ地においては、堆肥(たいひ)や保肥力を高める資材(腐食チャージなど)をタネまきの1カ月前に投入します。
タネまきの1週間前には元肥を入れ、土によくなじませ、畝立てを行います。元肥量は10u当たりチッソ、リン酸、カリともに100〜200gを目安とします。
タネまきの適期は中間地・暖地では9月上中旬になります。それより早くまくと葉がちになり、裂根や根形の乱れ(丸い形にならない)、さらには病気の発生につながります。一方で、タネまき時期が遅くなると、年によっては十分な大きさまで太ることができません。このように、適期にタネをまくことが上作の大きなポイントになります。
栽植密度は通常の青首ダイコンより広めで、条間50p、株間40p、2条栽培とします。1穴に4〜5粒まきとし、欠株にならないよう注意しましょう。
本葉5〜6枚目ごろに1本立ちになるよう間引きします。同時に追肥(チッソ成分で10u当たり20〜30g)、
中耕※を行います。ダイコンは特に生育初期の根の張りが収量や品質に大きく影響します。集中豪雨などにより畝の表層が固まったり、過湿条件に長くさらされると十分に根を張ることができません。
本葉1枚目の展開ごろから畝間・条間を何度か中耕することで生育が安定するので、こまめな管理を行いましょう。
9月上旬まきの場合、約75日(11月中旬ごろ)で根径15p、重さ2kg程度の収穫サイズになります。90日目ごろ(2.5kg以上になります)を目安に収穫終わりとしましょう。
9月中旬まきの冬どり(1〜2月上旬どり)栽培においては、栽培期間が90〜120日を要しますので、特に生育後半の肥料切れに注意が必要です。後半に肥料が切れると寒さ傷みだけでなく、ス入りの発生も助長します。
2月中旬以降はトウ立ちが問題になりやすく、品質も低下しますので、収穫が遅くなりすぎないよう注意しましょう。
2024年
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