リレー連載 京都府立植物園のガーデナーがご紹介! 飾る楽しみ、育てる喜び… 植物の楽しみ方ガイドリレー連載 京都府立植物園のガーデナーがご紹介! 飾る楽しみ、育てる喜び… 植物の楽しみ方ガイド

2020年7月20日更新

花や植物を身近に感じる暮らしは、生活に彩りと癒しを与えてくれます。これから園芸を始めたい方でも楽しんで取り入れていただける花や植物の親しみ方や育て方を、植物園のガーデナーに解説していただきます。
第6回「夏から秋に楽しむ花壇」
京都府立植物園 技術課主幹 田中 淳夫(たなか あつお)

今年は季節の進みがやや早く感じられます。春は新型コロナ感染症対策のため植物園を一時閉園し、その間に桜もチューリップも足早に季節の中を駆け抜けていきました。みなさんに、美しい花をご覧になっていただけなかったのが本当に残念です。
開園してからもバラやシャクヤク、ハナショウブ、アジサイも春から梅雨にかけて例年より一週間ほど早く生育が進みました。 気温も例年より高く推移しましたが空気も乾燥気味で、潅水さえ十分に行えば植物にとってはよい生育環境だったといえます。徒長することもなく病気の発生も抑えられ、例年より花色も鮮やかに咲いたように見えました。
これからの季節はかなりの高温が予想されますが、潅水や病害虫防除を的確に行えば、例年より立派な花壇ができるかもしれません。高温時でも栽培が比較的簡単な、夏から初秋にかけて見ごろを迎える花をご紹介します。

ヒマワリ

本来は5月中旬ごろから播種をして7月に花を楽しむヒマワリですが、極早生品種なら7月中の播種でも間に合います。開花まで50日前後の品種を選びましょう。一般的に背丈の低い品種が極早生です。摘芯をして花をたくさん咲かせる方法もあるのですが、こうすると、より背丈が低くなり開花も遅れるのでこの時期の播種はやや密植で行い、摘芯を控える方がよいでしょう。

まず、種子を半日ほど浸水してから株間、条間ともに10〜15cmでまきます。深さは1cm程度でいいでしょう。ヒマワリは肥料をよく吸うので元肥はほかの草花の1.5倍を施します。蕾が見えてきたら一株につき小さじ一杯程度のチッソ成分を含んだ化成肥料を株元にまきます。また、支柱は必ず立てましょう。草丈が20cm程度になると、できるだけ上の方の節間を紐などで留めます。同じ要領で、苗からの場合も定植後すぐに支柱に留めれば活着も早くなります。

ヒマワリ
ヒマワリ

発売から30年目の「サンリッチ」は真夏でも発色よくフラワーシーンを彩る。

ノアサガオ

アサガオは夏の風物詩でもありますが、俳句の季語では秋の花とされています。短日条件で花芽分化をするため夏至以降に花が咲きます。中でもノアサガオは寒さに強く晩秋まで花を咲かせる宿根草です。生育も旺盛で家の屋根を覆っているノアサガオを住宅街で見かけることもあります。このことからも、ノアサガオは地植えよりも鉢やプランターでの栽培がおすすめです。十分大きくなるのでグリーンカーテンとして活用されるのはいかがでしょうか。

ノアサガオには「オーシャンブルー」と「ヘブンリーブルー」という品種があり、双方とも名前の通り鮮やかな青い花を咲かせます。発芽率は非常によいので、大鉢やプランターに2粒まいて本葉が出たときに一つに間引きます。 肥料も一株当たりチッソ成分を含んだ化成肥料を軽く一握り施用し、2週間ごとに同量を施用します。12月半ばになれば葉が自然と枯れてきますので株元を10cm程残してつるを切ります。その上から、むしろや重ねた新聞で覆い、裾をしっかりと土で抑えると翌年もつるが伸び始めます。大きなプランターや鉢であれば初年度よりも2年目、3年目の方が生育旺盛となります。

アサガオ「オーシャンブルー」
アサガオ「オーシャンブルー」。
アサガオ「ヘブンリーブルー」
アサガオ「ヘブンリーブルー」。

サルビア

サルビアには多くの品種があり、真っ赤な「ボンファイヤー」や、紫や白が涼しげな「レウカンサ」など花色も多彩です。品種ごとに咲く時期も違い、夏から秋まで楽しめるのがサルビアです。

今の時期になると播種からの栽培は難しいので苗を購入しましょう。販売されている苗は摘芯されていないことが多いので、購入したらすぐに頂芽を摘芯してわき芽を出させます。若干開花期は遅れますが、各わき芽から花が咲いてボリュームが増します。摘芯したら株間20cmで定植します。元肥は油かすとチッソ成分を含んだ化成肥料を等量混ぜて、一株当たり大さじ2杯程度の量を施用します。

美しい赤色のサルビア「ボンファイヤー。
美しい赤色のサルビア「ボンファイヤー」。
涼しげなサルビア「レウカンサ」
涼しげなサルビア「レウカンサ」。

コスモス

お盆までに播種します。発芽率はよいので株間、条間それぞれ10cm間隔で3粒播種し、間引きして1本にします。コスモス栽培のポイントは、覆土をごく薄くすること。タネの上に土があるか分からない程度で結構です。ただし、これだとタネが最初の潅水で流れて思わぬ所から発芽することがあるので、播種するときに少し土に埋め込むように指の先で押しましょう。また、過湿を嫌がる植物なので、発芽後の潅水は軽めにするようにしましょう。

コスモスは3粒まいて生育のよいものを1本残す
コスモスは3粒まいて生育のよいものを1本残す。
コスモス「ピコティ」
コスモス「ピコティ」。
コスモス「サニー混合」
コスモス「サニー混合」。

夏期の潅水のポイント

最後に、全体に共通する栽培のポイントがあります。この時期高温が続き、一般に植物は朝に潅水しなくてはならないと、どのテキストにも書いてあります。この「朝」とは、夜明けから夜明け直後のことで、一般家庭で実行するのは難しいと思います。朝と書いてあるから午前中なら大丈夫と解釈してしまうと、土中の水分が昼ごろにはお湯になって植物に大きなダメージを与えてしまいます。そこで裏技的かも知れませんが、潅水は夕方の日暮れ以降に行うと、お昼ごろには土中の水分も少なくなり、お湯になることもありません。病害の発生リスクは高まりますが、今回ご紹介した条間や株間であれば余裕があるのでリスクも回避できます。
お家を季節の花でいっぱいにすれば、気分も晴れ晴れ、暑さも吹き飛ぶかもしれませんよ。