2022/02/21掲載
寒い日が続きますが、もうそこまで春はやってきています。当園でも桜の花芽は少しずつ膨らみ始め、チューリップの芽も上がってきました。3月は二十四節気で言う啓蟄(けいちつ)と春分を含む月です。冬ごもりしていた生き物たちが動き出すことで、日本では昔から春の気配をこの時期に感じていたようです。夏や秋に咲く草花を飾る花壇は、この時期からタネをまいたり苗を定植したりと準備を始めます。まさに生き物が動き始める季節ですね。
今回はそんな夏〜秋咲きの草花のうち、比較的栽培が簡単で、花が長く楽しめるものを紹介します。より長く楽しむためのポイントも解説しますので、ぜひ意識して育ててみてください。
皆さんもよくご存じのペチュニアは、現在ほふく性の品種が多くを占め、雨にも強くなりました。鉢からあふれるように咲かせたり、花壇の一部を覆うように咲かせたり。花色も豊富なので、夏の花としてもっともポピュラーと言っても過言ではないかもしれません。南アメリカ原産で暑さに強く、夏の日差しでも強健に育ちます。
ペチュニアは春から秋の終わりごろまで楽しめる花ですが、いくつかのポイントに留意すればより多くの花をつけたり、より鮮やかな花色にしたりできます。一つめのポイントは摘芯です。5月中旬に茎の先から2節分を切り取ると、分枝して株のボリュームが増します。二つめは花がら摘みです。面倒ですが1週間に1回程度、花がら摘みを行うと花ぞろいがよくなります。最後は切り戻しです。雨に強い品種が増えたとはいえ梅雨の時期には花も止まり、過湿によって病気になることもあります。そこで、梅雨が終わるころに思い切って茎の長さが半分になるくらいまで切り戻します。このように栽培管理を行えば、盛夏には花のじゅうたんを楽しむことができます。
同じナス科のペチュニアとよく似ていますが、やや小輪です。花色が豊富で複色の品種もあります。節間が短く、花も次々と上がってくるので、鉢に植えるとドーム状に広がり一段と目立ちます。花は春から秋の中ごろまで咲き、ペチュニアよりやや咲く期間は短いのですが、小さな花が常に咲きそろうので、栽培期間を通して彩りをもたらしてくれます。
カリブラコアは直植えよりも、鉢植えにするのがおすすめです。直植えにすると茎が伸びやすくなり、節間が広がるので、花と花の間に隙間ができて株全体が凡庸な印象に仕上がってしまいます。鉢は大きめのものを使い、花がこぼれ落ちるように仕上げましょう。管理面では、ペチュニアと同じく花がら摘みと切り戻しを行います。花がらをつけたままにしていると次の花の生育が遅れ、直植えの場合と同じように花と花の間に隙間が出てきます。切り戻しは梅雨入り前と9月上旬の2回行います。1回目は草丈の3分の2程度まで切り戻し、2回目は鉢からはみ出た部分を切り取ります。こうすれば秋の中ごろまで満開の鉢を楽しむことができます。
トレニアはナツスミレとも呼ばれ、気温が高い時期でもパステルカラーの涼しげな花を咲かせます。暑さに強く日陰でも育つので、初心者でも簡単に花を楽しむことができます。
栽培ポイントは、西日が強く当たるところに植えないことと、夏の水切れに注意することです。梅雨明けに摘芯を兼ねて茎先を軽く切り戻せば株が大きくなりますが、あまり強く切り戻すと枯れることがあるので注意してください。花は初夏から秋の中ごろまで咲き続けます。
ガーベラは多年草で寒さにも強く、葉だけの状態で越冬します。 春〜初夏と、秋〜初冬に2度咲きし、夏の暑さにも強健です。日当たりのよい場所で栽培する方が花数も多くなり、花色もきれいに出ます。
直植えでも鉢植えでも栽培できますが、それぞれポイントがあります。直植えする場合は、葉が地面を這うように開いていくので、定植の際は盛り土をして、その上に植えます。こうすれば株元が過湿にならず、梅雨時期から夏場にかかる病気が極端に減ります。鉢植えの場合、ポイントは2点です。まず、鉢に定植する際、元肥には堆肥などの有機物を控えることをおすすめします。発酵が未熟な有機物を施用すると、株元が腐る病気が発生する場合があるからです。もう一つは株分けです。毎年、鉢から出して株分けを行います。春先に3芽ずつ株分けすると、毎年花を楽しむことができます。
今回取り上げた草花は初心者向けということもあり、紹介した栽培方法を行わなくても楽しむことができますが、ひと手間加えていただくとボリューム感のある、ワンランク上の華やかさを楽しむことができます。これからの季節に向けてぜひチャレンジしてください。
2024年
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