2020/02/20掲載
発表以来そのネバリとパステルグリーンの丸莢で人気の「ヘルシエ」、従来品種と大きく異なる特長を持っています。その個性を最大限引き出すためには栽培方法も従来品種と異なります。産地からの情報をふまえて栽培ポイントをもう一度おさらいします。
「ヘルシエ」は従来の緑五角オクラと異なる大きな四つの特長を持っています。
従来の五角緑品種「グリーンソード」と比べると丸莢「ヘルシエ」の淡い色合いがよくわかります。パステルグリーンの莢色だけでなく、「ヘルシエ」は肉質、粘り、機能性成分など従来のオクラと異なる大きな特長を持っています。
「ヘルシエ」の粘りのもととなるのが水溶性ペクチンです。「ヘルシエ」はこの水溶性ペクチンを従来品種(「アーリーファイブ」)の2倍も多く含み、これが従来品種の3倍という段違いの粘りを生み出しています。
また水溶性ペクチンは食物繊維として機能し、人間の整腸作用やコレステロール低下作用などをもっているといわれています。食事と同時に摂取すると血糖上昇が抑制され、インスリンの分泌も抑制されるという研究成果もあり、その機能性が注目されています。
写真はオクラをかるく茹でて刻み、少量の水を加え混ぜた様子です。「ヘルシエ」(左)と従来品種ではこれだけ粘りが違います。
「ヘルシエ」は草勢旺盛な品種です。従来品種と比べてみるとよくわかります。草姿のすっきりした「グリーンソード」と比べ、「ヘルシエ」は葉が大きく草丈も高く伸びています(右写真参照)。
この特性を生かし、「ヘルシエ」をつくりこなすには、ちょっとしたコツが必要です。
72穴トレイを使用して1穴に2粒まき、1カ所当たり2株立ちとして、移植栽培するのがベストです。
「ヘルシエ」は従来のオクラより、莢、葉、茎など株全体の色が淡いので、色での草勢判断は禁物です。必ず成長点や蕾の様子を見て判断してください。
適正な草勢は成長点から3〜4枚下で開花しており、成長点の蕾が4個程度控えている状態です。
葉の形も参考にしてください。丸葉になるときは強勢で、切れこみのよい形の葉が良好です。
播種 | ポット播種 |
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株間 | 17cm |
仕立て | 3本仕立て |
潅水 | なし |
追肥 | 月1回 |
収量/日 | 300本/1000粒試作 |
播種 | 直播 |
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株間 | 15cm |
仕立て | 4本仕立て |
潅水 | 3日おき |
追肥 | 10日に1回 |
収量/日 | 120本/1000粒試作 |
ネバオクラ「ヘルシエ」はパステルグリーンの莢色、見ばえのよい丸莢形状で人気の品種です。水溶性ペクチンを従来品種の2倍以上含み、段違いの粘りとやわらかな肉質が特長で、生育旺盛な露地向き品種で営利生産から家庭菜園まで幅広くお使いいただけます。
最適播種期 | 露地栽培が適する。関西中間地基準で4月中旬播種、5月中旬定植。 直播の場合は地温18℃を確保できる時期。 家庭菜園なら収穫期間は短くなりますが、5月でも播種できます。 |
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最適土壌 | 水はけのよい畑土 |
肥料の目安(10a) | チッソ成分量で3kg |
温度目安 | 最低気温15℃以上 |
播種基準 | 畝幅1.6m、2条植え、 株間10〜15cm、2株立ち |
2024年
秋種特集号 vol.58
2024年
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