助けて!豊作先生 素人農園芸ライターのベランダ菜園奮闘記

第3回

害虫はアブラナ科野菜がお好き〜ハクサイとブロッコリー〜

農園芸ライター 久野美由紀

2023/07/20掲載

秋冬野菜といえば、ハクサイやキャベツ、ブロッコリーといったアブラナ科野菜を思い浮かべる方は多いでしょう。筆者もその一人で、10年以上前にミニキャベツとブロッコリーを作ろうとしたことがあります。ただ、タネをまいて芽は出たものの、キャベツは一つも結球せず、ブロッコリーは花蕾すら出ずに冬を迎え、結局害虫のエサを生産しただけで終わってしまいました。

そんな筆者に豊作さんから次の秋冬野菜として提案されたのが、ハクサイなどの結球野菜でした。これはリベンジのよい機会です。
作るのはハクサイ「CRお黄にいり」とブロッコリー「グリーンボイス」に決定。4分の1サイズの扱いやすいミニハクサイと、側枝が次々伸びて長く楽しめる茎ブロッコリーは、どちらもプランター栽培にぴったりです。
「お黄にいり」は発売されたころから挑戦したいと思っていました。また、「グリーンボイス」は10年前に失敗した品種で、リベンジできるのは幸いでした。

2022年秋冬に挑戦するのはこの二つ。

今回は大成功目指してがんばります!

タネまきその1 8月中下旬

適期表によると、「CRお黄にいり」の播種期は中間・暖地で8月頭〜9月10日ごろ、「グリーンボイス」は中間地で7月中旬〜8月中旬、暖地で7月下旬〜8月末とのこと。筆者の住む近畿中部なら、だいたいお盆ごろにまけば秋から冬にとれるイメージです。
以前作ったときは、タネまきが遅くて生育が進まず、結球する前に冬が来てしまいました。なので、今回こそはお盆にまいて、寒くなる前に結球させたい。近年は暑さで真夏の苗作りが難しいのは聞いていましたが、何回かに分ければ必要数は確保できると考えました。

まずは8月13日、「CRお黄にいり」と「グリーンボイス」のタネをポリポット各4個へまき、水を張った底面給水トレイへ入れておきました。
ところが、毎日穴のあくほど観察しても、ほとんど芽の出る気配はありません。わずかに「グリーンボイス」1株だけ、双葉が顔をのぞかせたのみ。猛暑のせいか、それともお盆明けの豪雨で叩かれたからか、残りのポリポットには何の動きもないまま1週間近くが過ぎてしまいました。

8月13日、「CRお黄にいり」「グリーンボイス」を、10.5cmのポリポットへタネまき。
底面給水トレイに入れ、水を満たしておいた。
合計8粒まいて、発芽したのは「グリーンボイス」1本のみ。写真は8月21日の状態。

これはまずい……。暑さの影響なのかな?
考えてみれば、以前はお盆を過ぎてから、つまりある程度涼しくなってまいたから発芽したのであって、酷暑の状況で同じ成果が出るはずはなかったのです。
適期表にこだわってタネをまいたのに、ほぼ壊滅状態では意味がありません。早急に次を準備する必要がありました。

お盆明けからは雨続きでなかなかとりかかれず、ようやく作業できたのは8月21日。72穴のセルトレイに、「CRお黄にいり」と「グリーンボイス」を半分ずつまきました。また、3日後の24日には「CRお黄にいり」のみプランターへ直まき。どれかが育ってくれることを祈りました。

8月21日、72穴のセルトレイへ2回目のタネまき。36粒ずつまき、1回目同様水を満たした底面給水トレイへ入れた。
8月24日、大きめのプランターへ「CRお黄にいり」を直まき。3カ所に浅いまき穴をあけ、2粒ずつタネをまいた。

やはり暑すぎたのかもしれません。夏季はベランダのコンクリート面が高温になり、そこへ黒い底面給水トレイを置くと、満たした水が湯になってしまいます。芽が出るまでは、日陰で管理した方がよかったかもしれないですね。

タネまきその2 8月下旬〜9月上旬

セルトレイまきしたものは、初回よりは改善されたのですが、やはり発芽率はさほどよくありませんでした。作業前に豊作さんへお聞きしておけば、トレイを日陰に置くこともできたのに……。
と、今さらながら自分の力の至らなさに落ち込んでいたら、数日後に驚くことが。なんと、直まきした「CRお黄にいり」が、すべて発芽したのです。発芽不良を見越して1カ所2粒ずつ、計3カ所6粒まいたのですが、どれもきれいに双葉が展開し、そろいも抜群です。

9月1日、タネまきから10日後の状態。多少は改善したが、やはり左の「CRお黄にいり」は欠株が多い。
9月1日、タネまきから1週間後の直まき「CRお黄にいり」。3カ所計6本がきれいに発芽した。
8月13日のポットまきで、唯一生育している「グリーンボイス」。これも9月1日の状態。

夏まきアルアルですね。先の分の発芽がそろわなかったのは、やはり早まきしたときの条件が厳しかったと思われます。後からまくと、温度などの条件がよくなってそろう、ということでしょう。

セルトレイまきが8月21日、直まきが24日、たった3日しか変わりません。直まきしたときもそこそこ暑かったのに、おそらくトレイやポットとプランターでは地温の上昇度合いが違うのもあって、ここまで差が出たのかと……。
つまり、お盆前にまいたときも、遮光したり日陰に移動させたりして少しでも温度を下げておけば、発芽率も若干は上がったかもしれません。手間をかける必要性を実感しました。

温暖化の影響で、夏の残暑が年々厳しくなっています。今からでもギリギリ間に合うので、タネが余っているなら予備に追いまきしておいてはいかがでしょう。

さっそく9月5日と9日の2回、「CRお黄にいり」のタネをまき直しました。さすがに8月よりは発芽率が上がり、特に9日播種のものは5粒まいてすべて芽が出ています。やはり9月に入ると涼しさが肌で感じられるようになり、それが野菜の生育へ如実に反映されていました。

初期生育 9月上旬〜

底面吸水させると徒長しやすいので、あくまで不在時の保険として使うのがよく、通常は上から水をたっぷりかけるだけで十分です。

話は少し戻ります。豊作さんからこんなアドバイスをもらっていたので、底面給水トレイに水をためすぎず、雨が降ったらすぐ排水するよう心掛けると、いくらか生育がよくなった気がしていました。少しは安心と思い始めた矢先の9月3日、最初のポットまきで唯一育っていた「グリーンボイス」の苗が、突如として枯れてしまったのです。

9月3日、数日前は青々としていた「グリーンボイス」の苗が、突如として枯れてしまった。

思い返せば順調に育っていたはずが、ここ数日は停滞してしまっていました。9月1日には10日以上遅れて播種した直まきの「CRお黄にいり」に抜かれそうになっていて、理由が気になっていたのです。
まず害虫を疑いましたが、枯れた苗の周囲にそれらしいものの姿はありません。病気だった場合の蔓延を恐れ、即処分してほかの苗に影響がないか観察することにしました。

数日経ってもほかは大丈夫そうでした。それが9月9日、外出先から帰宅してみたら、セルトレイの苗が腐ったように枯れてしまっていたのです。
「CRお黄にいり」は全滅で、「グリーンボイス」も半分近くがやられています。おそらく、先日枯れたのと原因は同じでしょう。
とにかく、まだ無事な苗だけでも避難させなければ。急いでポリポットへ培土を詰め、計10本の「グリーンボイス」を移植しました。

10.5cmのポリポットへ植え替えた、10本の「グリーンボイス」苗。

悲しいことに「CRお黄にいり」の苗はすべて廃棄。4日前の9月5日にまき直しておいてよかった、と心から思いました。9日にもう一度まくことにしたのも、この被害があったからです。
それにしても、ここまでやられてしまったのに、まだその原因が分からないのが不安でした。

そして、2日後の9月11日、最も元気に育っていた直まきの「CRお黄にいり」にも、被害は及ぶことになります。毎日観察していて、2日ほど生育が止まっているような気がしていたのですが、ふと気づいたら成長点付近の若い葉に穴があいていたのです。
どう見ても害虫のしわざです。絶対どこかへ潜んでいるに違いありません。
食害のあった付近を丹念に調べると……いました。長さ1cmほどの白っぽくて細い虫が、成長点付近に隠れて、わずかにうごめいていたのです!

成長点付近の葉に、明らかな食害の痕跡がある。
葉の付け根の方まで見てみたら、中心部に白っぽい虫がうごめいていた。
取り出した害虫。これが数々の苗を枯らした。

思わず「犯人(虫?)はお前か!」と、心の中で叫びました。この虫がうちのベランダに住みついたがために、筆者は苦労することになったのです。
ただ、これはまったく知らない虫でした。筆者が以前アブラナ科野菜を作ったとき、ついた害虫はおそらくすべてアオムシ。細くて白っぽい虫は見たことがなかったのです。

インターネットでハクサイの害虫を検索してみると、すぐにそれらしき答えがヒットしました。
「これはコナガだな!」
アオムシとともにアブラナ科野菜の代表的な害虫です。名前はよく耳にしていましたが、これまで筆者とは無縁だったため、ほとんど意識になかったのです。

防ぐには霧状の水をかけるとよい、とのこと。どれほど効果があるのか分かりませんが、とにかく「やらないよりマシ」と考え、ホースの水を霧モードにして、毎日かけるようにしました。もちろん、丹念に調べて駆除するのも並行です。
それが功を奏したのか、直まき「CRお黄にいり」はなんとか持ち直し、移植した「グリーンボイス」も10本中6本を救うことができました。

9月12日、コナガを発見した翌日の状態。
9月21日、左の写真の9日後、葉はボロボロだが目に見えて大きくなっている。

コナガはハクサイが大好物なので、一度ついたらあっという間に増えます。無農薬でやるなら、少しの数であればこまめにチェックして手でとるのが一番でしょう。
必要であれば、こちらで作った9月2日まきの苗をお分けしますよ。

自分の作った苗でやれればよかったのですが、この時点での「CRお黄にいり」は、9月5日と9日にまいた、まだ小さいものがあるばかり。まともに生育するかも分からないため、豊作さんから苗を分けていただくことにしました。

コナガの害はこの後も続きました。毎日調べて取り除いても、またどこからか現れて食害していて、見つける度にガックリさせられました。

植え付け 9月下旬〜10月上旬

苗をいただいたとき、「大きなものはすぐ植え付け、残りは少し育苗を」と言われたので、少しずつ作業を行いました。
「CRお黄にいり」はまず9月22日、よく育った苗を2本選んで小さめのプランターへ。小さめといってもそこそこ深さがあって、2株にちょうどよい大きさです。
続いて9月29日に3株をやや小さめの細長いプランターへ、10月1日には3株を大きめのプランターへ植え付けました。

9月22日、豊作さん作の大苗を選び、2株を植え付け。プランターはやや小さいが深さはある。
9月29日、筆者作の苗3株を浅めの細長いプランターへ植え付け。写真は植え付け翌々日のもの。
10月1日、豊作さんの苗3株を大きめプランターへ植え付け。これのみ再生土(前作はオクラとタマネギ)に「野菜の充実肥料」を混ぜて用いた。

途中で新しい培養土が足りなくなり、最後の植え付け分だけ再利用の土で済ませたのですが、豊作さんから次のような指摘を受けてしまいました。

再生培養土は、タマネギやトマトには使ってもかまいませんが、ハクサイには不向きです。
土に肥料分がどの程度含まれているか不明なので、結球しない葉物や生育期が長い果菜類なら、状況を見つつ追肥で追えますが、短期決戦型の結球ハクサイにはちょっと無理があるかもしれません。

夏野菜では普通に再生土を使っていたので、なんとか育てばいいのですが……。

「CRお黄にいり」の植え付け終了。写真は10月5日の状態だが、左上の直まきプランターの株は、度重なるコナガの被害で弱ってしまっている。

今のところ、早めに移植したものがよく生育していますね。ハクサイは根の再生力が弱いので、根傷みしないよう植え付ければうまく育ちますが、少し老化した苗だと最初の発根がスムーズに行きにくく、生育が一時的に止まって、その後の結球遅れや不良につながることがあります。

苗を植え付けた三つのプランターと直まきプランターを比べると、直まきプランターの株の元気のなさが目につきます。タネをまいたのは直まきが8月24日、植え付けた苗はすべて9月以降なのに、すっかり生育が逆転してしまっています。
やはりコナガの影響は大きく、育苗なら健全な苗だけ残していけばよいのですが、直まきだと被害株を撤去するわけにもいかず、ついた虫をとるしかありません。それが何度も繰り返されると、勢いが落ちるのも仕方ないのでしょう。

直まきハクサイの葉枚数は十分ありそうですが、葉の大きさと黄ばみが問題です。この状態では結球まで行くかどうか。ハクサイは結球するのにタイミングと適当な肥効が必要です。生育期に一気に肥料を効かせないと結球しません。今十分に肥料が効いていないと厳しいかと思われます。
対策としては、液肥か即効性の(小さめな粒の)肥料で追肥すること。それでも回復は難しいかもしれません。

8:8:8の化成肥料なら手元にあるので、とりあえずそれをまくことにしました。表面の土に軽く混ぜ込み、その後は定期的に水やりすればよいとのこと。10月7日に直まきプランターと、若干生育が遅く見えた再生土のプランターへ施してやりました。少しでも希望があるなら、なんとか助けたいとの思いでした。

10月6日、復活を願って直まきの「CRお黄にいり」に化成肥料で追肥。効果が期待される。

一方の「グリーンボイス」も、並行して作業を行いました。まずは9月29日に8号鉢1個、9号鉢2個へ計3株、翌30日にはプランターへ2株を植え付け。今のところ、ハモグリバエの痕跡が見られる以外は、虫の被害などないようです。

9月29日、筆者作の苗を8号鉢へ植え付け。8月にまいた苗なので、かなり大きくなっている。同日、9号鉢二つにも豊作さんの苗を植え付けた。
8月30日、筆者の苗2本をプランターへ。これのみ再生土(前作はトマトとタマネギ)に「野菜の充実肥料」を混ぜて使用した。
10月6日、植え付けから1週間程度経過した「グリーンボイス」。順調に生育している。

ただ、こちらもプランターへは再生土を使用してしまったのですが、問題はないでしょうか?

再生土はいずれ肥料が切れてくると思うので、観察を続け、追肥が必要になれば適宜与えてください。肥効を上手に効かせられれば、期待はできます。

「グリーンボイス」はなんとかなりそうです。どうかうまく育ちますように。

植え付け後の生育 10月〜

「CRお黄にいり」への追肥は効果があったようです。黄色みが目立っていた葉が青々として大きくなり、17日には立ち上がって結球の気配も見えてきました。同時に追肥した、右隣の再生土使用のプランターも、株がぐっと育ってきています。
また、手前のプランターの株は、完全に結球態勢に入ったようです。一般にハクサイは結球始期に追肥をするそうなので、こちらにもいくらか化成肥料をまいてやりました。いい感じになってきたのではないでしょうか。

10月13日の直まき株。4日前に追肥したときに比べ、緑の葉が増えてきた。
10月17日、左の写真の4日後。緑が濃くなり、回復してきたのが分かる。
10月17日の「CRお黄にいり」全体。葉が育って結球態勢に入ってきた。

いよいよ生育適温期になって、一気に育ってきたようです。ハクサイの外葉が大きくなってきたので、下のプランター分はなんとかなりそうですね。上の直まきの虫食い分と再生土の分は、まだ葉も小さく勢いも弱いので、微妙な感じに思われます。

まずまずだと思っていたのに、まだ「微妙な感じ」なのですね。もう少し育たないと分からないのかもしれません。

「グリーンボイス」の方は、植え付けてからもずっと順調です。新しい土を用いた鉢も、再生土のプランターも同じように生育しています。

10月17日、上のハクサイと同日の「グリーンボイス」。どの株もぐっと生長してきた。

頂花蕾をとるのが目的でないので、株が小さくてもなんとかなりそうです。いずれにせよ、まったくの収穫ゼロは避けられそうで何よりです。

よく育っていると思っていたのですが、ブロッコリーの株としては小さい方なのですね。でも、側枝をとる茎ブロッコリーなら、さほど大きく育たなくてもなんとかなるのがありがたいです。

秋の状況 10月下旬〜

長くコナガに悩まされた「CRお黄にいり」の直まき分も、秋が深まると被害はほぼ収まり、生育が追い付いてきました。一番遅く植え付けた、再生土プランターの株も結球してきています。
豊作さんからロメインレタス「ロマリア」の苗を分けていただいたので、コンパニオンプランツになればと、普段は「CRお黄にいり」と「グリーンボイス」の間に置くようにしています。わずかでも害虫対策になればとの思いでした。

赤の〇で囲んだ部分にロメインレタス「ロマリア」を配置。写真左が「グリーンボイス」、右が「CRお黄にいり」。アブラナ科野菜とレタスの混植で、害虫忌避をねらう。

ただ、10月末ごろから、「CRお黄にいり」の手前右端の株だけ、外葉が黄色くなってきたのです。コナガの食害とは違うようですが、もしかしたらほかの害虫がいるかもしれません。怖くなって、11月2日に結球しかけた玉をこじ開け、中を調べてみると、なんと内部の葉のフチが枯れたように茶色くなっていたのです。
葉の裏や付け根は調べましたが、害虫らしきものは見当たりません。これは害虫というよりは病気でしょうか。ただ、同じプランターの隣の株には、何の症状も出ていません。それでも病気だった場合に備え、とりあえずこのプランターだけほかとは離すことにしました。

10月30日、手前右端の株だけ、葉が黄色くなってきている。
11月2日、結球しかけた株をこじあけると、黄のフチが茶色くなっていた。
病気を疑い、このプランターをほかと離した。

このプランターの株だけ、葉の色がやや薄く勢いもなくなっているので、肥効が落ちているように見えます。また、芯の葉のヘリ部分が枯れているので、病気ではなく、何か(カルシウム?)の欠乏症の可能性が高いでしょう。
対策としては、カルシウムを含む肥料を葉面散布するぐらいですが、根の回復待ちが現実的でしょう。病気ではないので、距離を離す必要はありません。

病気ではなく欠乏症、つまり生理障害だったとは。さっそくプランターをもとの位置へ戻しました。

ただ、土の中に肥料分が少ないわけではなく、何らかの原因で根が傷み、結果的に吸収できず欠乏症が出たと思われます(トマトの尻腐れと同様)。どこかのタイミングで、乾燥状態が長めに続いたことはなかったですか? ほかのプランターより土の量が少ないので、その分影響が大きかったのかもしれません。また、同じプランターでも左右の株で差がありますが、もとの株に根張りの差があったのでは?
これが原因、と言い切れるものではありませんが。

問題のプランターは、葉が黄色くなりかけたころから勢いもなくなり、一応追肥はしてやったのですが、根が傷んで吸えないことが問題だったのだから、追肥をしても意味はなかったのでしょう。
水やりについてはわりに気をつけていて、土が乾きかけたらたっぷりやっていたので、ひどく乾燥はしていないだろうし、必ず午前中に行っていたので過湿も考えにくいです。また、プランターは小さめでもそこそこ深さはあります。1株当たりの土の量は、隣の元気に育っているプランターより多いのです。
ただ、実際に障害が出ているのだから、何か理由があるはずです。

その後、生理障害が特にひどくなることもなく、11月になると全体に結球が進んできました。ただ、玉を軽くつかんでみてもさほど詰まっておらず、収穫にはあと一歩の様子です。来月まで待って、ちゃんとしたハクサイをとろう。ようやく収穫が見えて、ほっとする気持ちがわいてきました。

11月14日、左上の直まき分以外は、かなり結球が進んできた。
手前左側のプランター。現状はここの株が一番よい感じ。
軽く握るとまだ収穫は先なのがわかる。
奥右側のプランター。最も植え付けが遅く、結球は無理かと思われたが、なんとか巻きつつある。

一方、「グリーンボイス」は順調に株が大きくなり、わき芽も出てきました。11月6日には、ようやく成長点付近に小さな花蕾らしきものを発見。本格的な側枝の収穫にはまだ少しかかりそうですが、確実に前進しています。

10月31日、「グリーンボイス」を横から撮影。丈も伸びてボリュームが増している。
わき芽も出てきた。数カ月後にはここからも花蕾が収穫できるはず。
11月6日、最も育っている青色8号鉢の株に、直径1cmあまりの頂花蕾が発見できた。

そして11月17日、一番大きな株の頂花蕾を摘芯。気がつけばピンポン玉大まで育っていました。しかも、切ってみたら、すぐ下には側枝が伸び始めています。残りの株も11月24日に摘芯を済ませ、後は収穫を待つばかりとなりました。

11月17日、ピンポン玉大より心もち大きめに育った頂花蕾。
切りとって側枝の発育を促してやる。
頂花蕾の下にはもう側枝が出現。これが伸びればいよいよ収穫となる。
これからの収穫に備え、すべての「グリーンボイス」に8:8:8の化成肥料で追肥を行った。

冬季の注意点 12月〜

害虫の被害や生理障害もようやく収まり、あとは収穫を待つだけに見えた「CRお黄にいり」ですが、12月に入るころ、また新たな懸念材料が出てきました。なんとなく、全体に葉の色が抜けて、黄色というより白っぽくなってきたのです。
コナガの被害とは違うし、12月ともなるとそこまで虫がつくとは思えません。なら日照不足か根傷みか、それとも追肥が効いていないのか、原因がわからず気をもむばかりです。特に、コナガの被害が大きかった直まきのプランターがひどく、毎日少しずつ色が薄くなっていくのです。

11月24日、この時点では青々としていて変化には気づかなかったが、1カ月前と比べ少し色が薄くなっている。
12月1日、奥の左側は、コナガの被害を一番多く受けたプランター。今回も白っぽくなってしまって、明らかにおかしい。

そして12月5日、ついに原因が判明することになります。
朝、ベランダへ出てみたら、直まきの1株がほとんど真っ白になっていて、葉に黒か灰色の虫らしきものが、点々とついていたのです。驚いて葉の間を調べると、付け根のあたりはもっとひどい状態で、びっしりと何かがついています。昨日までも毎日見ていたのに、まったく気づかなかった現象です。

12月5日、奥の株はさらに白っぽくなってしまった。
問題の株を見ると、黒か灰色の虫らしきものが点々とついている。
付け根付近は、黒い点々がびっしり。

周囲のプランターを調べると、被害株に近い所はやはり点々がびっしりついているし、程度の差こそあれ無事な株は一つもありません。急いで問題のプランターを離れた場所へ移動させ、被害株を抜き取りました。残る株を救おうと、洗い流せるものは流し、ダメそうな葉はとって捨てました。翌日もこの作業を行うと、いくらか除去はできたようでした。

周囲の株を調べると、やはり点々と虫らしきものがついている。
被害プランターを別の場所へ移動させた。
残る株を救うため、強い水流を当て、流せるものは流す。
枯れかけた葉は取り除いた。

写真を見るに、これはいわゆるアブラムシのようです。羽が生えて飛んできて、暖かい葉っぱの内側へ潜っていくので、なかなか防除しにくい害虫です。露地であれば、雨風で飛ばされたり流されたりするのですが、ベランダ菜園ではそうもいきません。しかも、今年は暖かいため、いつまでも害虫の被害がやまないようです。
明らかにダメな株は抜いて正解でしょう。たくさんついた葉を除去し、強い水流で流せるならそれもよいかと思われます。あとは手でつぶすなど、見つけたら随時、防除が必要です。これからも維持するなら、虫密度を物理的に減らすしかありません。

露地であれば雨風で吹き飛ばされる…というくだりを読んで、原因の一つが分かった気がしました。このベランダの風通しは悪くないのですが、冬季は日の当たる範囲が狭いため、どうしても固めて置くことになります。そのため密植状態になって空気が流れず、飛んできたアブラムシが繁殖してしまったのでしょう。
12月になれば虫も減る、と思い込んでいました。コナガが出てこなくなった時点ですっかり安心してしまい、細かな注意を怠っていたのです。

その後はしっかり観察を続け、被害葉を取り除いたり、できる限り洗い流したりして駆除を続けました。ただ、いくら除去しても翌日にはまた現れ、この繰り返しでなかなか消えてくれません。外葉もとりすぎてボリュームが減ってしまいました。
なお、離しておいた問題のプランターは、虫の発生源となっているため、残った左端の株だけ収穫し早々に片づけました。

12月11日、離しておいた問題のプランター。
被害株の隣の株は、どれほどがんばってもアブラムシを減らせず、結局色が抜けてしまった。
5日間の格闘もむなしく、破棄することに。
右端の株は捨てるのが忍びなく、外葉を取り除いて食した。

アブラムシがまだ残っていて農薬を使わないのであれば、牛乳スプレーを試してはいかがでしょう。吹きかけると、牛乳の油分が虫の表面に膜をつくり、呼吸ができなくなります。
なお、葉に残った牛乳にかびが生えることもあるようなので、アブラムシがいなくなったら洗い流しておくとよいでしょう。

※あくまでも無農薬にこだわる場合の民間療法的なもので、決して推奨するわけではありません。

とにかくやれることはやろうと、12月14日からは牛乳スプレーを噴射。しっかりかけたつもりが、一度ではまだ生き残っていて、結局3日連続でスプレーすることになりました。その後、葉に残った牛乳とアブラムシを水で洗い流す作業を3日ほど。さらに数日おいて生き残ったアブラムシを洗い流しました。
折からの寒波襲来の影響もあったのか、その後生きたアブラムシは見ていません。ただ、葉やプランターについた牛乳が流しきれなかったのか、周辺にはしばらくにおいが漂っていました。

12月14日、牛乳スプレーをすべての「CRお黄にいり」に噴射。翌日、翌々日も続けた。
牛乳は乾いてから水で洗い流したが、においはしばらく残ってしまった。
10日以上経っても、アブラムシの姿はほぼ見られない。

連日の牛乳散布はやりすぎかと。水で流しても培土に落ちるだけなので、過湿で根傷みになりかねません。今の気温ではなかなか乾きませんし。ここまで温度が下がってきたら、虫もはほぼ実害がないと思われます。

やりすぎでしたか。少しでも残っているとまた蔓延するのでは……という恐怖にかられ、つい姿が見えなくなるまで続けてしまいました。
幸い、残った株に根傷みは出なかったようですが、ここまでに受けたダメージはかなりなものです。

12月22日、なんとか生き残った「CRお黄にいり」。

なんとかなりそうな株もありますが、全般に葉の色が薄いので、ダメもとで液肥で追肥してもいいかもしれません。

アドバイス通りに薄めた8:10:5の液肥を2〜3回与えてみたものの、生育しているかは分かりません。玉を握った感じでは、アブラムシの被害が最も少なかった右奥のプランターが、一番かたく巻いているようです。

生育の進んでいる株は、そろそろ収穫してもよいでしょう。あまり結球していないものは年内は様子見し、そのままなら「ただの菜っ葉」として楽しんで?ください。

収穫 12月〜

さて、「CRお黄にいり」にさんざん苦労させられている間、「グリーンボイス」はなんの問題もなく育っていきました。11月に摘芯すると側枝は少しずつ伸び、12月1日からは収穫を始められました。

11月17日に摘芯した頂花蕾の、下から伸びた側枝。約半月後の12月1日、ようやく収穫できた。
こちらは11月24日摘芯分。1週間違うと、側枝の伸びにかなり差がある。
初収獲はこれだけ。あまり小さいものは残した。

食べてみるとびっくりするほど味が濃く、それまで知っていたブロッコリーとはレベルの違うおいしさです。食べた人は誰もが絶賛するほどです。
まだ収穫始めのせいか、それほど次々伸びてくるわけではありませんが、小さい側枝はちゃんと出ていて、ワクワクしながら待つ感じです。そのうち一度にとれる数も増えてきて、より楽しめるようになってきました。

2回目の12月6日収穫分。
3回目の収穫は12月16日。なかなか次々に、とはいかない。
12月26日、勢いがついてあちこちから側枝が出るように。

2月後半を過ぎて気温が上昇してくると、伸びるスピードが増し、収穫量はさらに増えました。ただ、生育が速い分大株になり、厳寒期の緻密なおいしさは失われてしまったのが残念。あの味の濃さは、寒い中でじっくり育つからこそ、生まれるものなのですね。
3月に入ると花がすぐ咲いてしまうようになり、15日を過ぎると菜の花が満開に。栽培終了となりました。

3月2日、暖かくなってきたせいか、12月の倍ぐらいのスピードで生育が進む。
3月12日、生育が速すぎて、花蕾が育つとすぐ花が咲いてしまう。
片づけ前に数日放置したら、菜の花が満開になってしまった。試しにとってみたが、かたくてもう食べられない。

そして問題の「CRお黄にいり」はというと、あれだけトラブルに見舞われたにもかかわらず、残った株はほとんどが結球し、徐々に詰まっているようです。もしかしたら、ハクサイらしきものになってくれるかもしれません。1月〜2月中旬にかけて、順次とっていきました。

まずは、アブラムシの被害を受けたプランターに多く接していて、かなり影響のあった手前左のプランター。ここの株は全体に小さめで、少々あきらめ気味だったのですが、とってみたら重さはさほどでなくても、ちゃんとハクサイになっています。半分に割ると、完全においしそうなハクサイです。

1月9日、アブラムシ被害がわりにあった手前左のプランターから収穫開始。
右の株は生育がよくなく、重さも193gしかなかったが、外葉を取り除くとミニミニハクサイになっていた。
残り2玉。右は1月17日収穫で344g、左は1月29日収穫で309gだった。
1月29日収穫の玉。しっかりとしたハクサイに見える。
断面も完全にハクサイ。黄芯になっているのに感動した。

右側のプランターは、2月上中旬に収穫しました。生理障害の出た株を除けば、重さ322〜505gにまで生育。「CRお黄にいり」のキャッチコピーに「球重600gのミニハクサイ」とありますが、505gとそれに近いものがとれたのは驚きでした。

残りは2月7〜14日に収穫。手前右の生理障害株を除けば、しっかり結球していた。
最も肥大したのは、奥右端の株。葉が詰まっていて、ほかよりずっしりしている。
重さ505gは今回の最高。鍋に使うことができたのはうれしい。

とにかく、最終的に「ハクサイ」として収穫できたのに感動です。「ただの菜っ葉」で終わらなくてよかった(涙)。もちろん、食べてもちゃんとハクサイの甘みが感じられました。

ハクサイが収穫に至ったとのこと、何よりです。幾分、暖冬傾向だったことが幸いしたのかもしれません。
3月になれば花芽が上がってくるので、残すなら花菜のようににトウ立ちしたものを蕾で収穫し、鍋などに使うのもアリです。

「CRお黄にいり」の余り苗を捨てるのがしのびなくて、小さいプランターにダメもとで植えていたものが、いくつか結球しないまま残っています。そちらでトウ立ち菜をとることにしました。
出てきたトウを、蕾が開く前に切りとります。一度とるとわき芽のようにまた出てきて、何度か収穫が楽しめました。まぎれもなくハクサイなのに、少し違ったくせのない風味で、そのおいしさに驚かされました。

3月中旬、ハクサイのトウを収穫。
想像したよりボリュームがあっておいしい。
一度で終わりかと思ったら、後からわき芽が伸びてきて、何度か収穫できた。ボリュームは徐々に減少したが。
鍋にするほど数がとれなかったので、塩と酒でさっと炒めてみた。ハクサイなのにハクサイでないような、くせのない風味がよい。

栽培を終えて

今回はとにかく「CRお黄にいり」に尽きます。過去にさまざまな失敗をしてきた筆者ですが、これほどのトラブルに見舞われたことはない気がします。ハクサイとして収穫できたのが奇跡のようです。

最大の誤算はコナガとアブラムシ、二つの害虫がついてしまったことでしょう。生育初期、外葉を大きく育てる時期にコナガで停滞し、結球が進むはずの時期にアブラムシでボロボロにされたのは痛かったです。
最もコナガの被害が大きかった直まきの「CRお黄にいり」は、株の力が弱まったせいか、最後はアブラムシの巣となって、ほかの株にまで影響を及ぼしてしまいました。直まきハクサイの初期生育は抜群なのに、育苗して植え付ける栽培が主流なのも納得。リスクの高さを思い知りました。
今後ハクサイを作るとしたら、おそらく直まきは避けるでしょう。そして、タネまきから植え付け、さらに結球が始まるまでの間、いかに害虫被害にあわせることなくしっかり育てられるか……。さらに、プランターはいくらか間を空けて配置し、風通しをよくすること、寒くなっても虫への警戒を怠らないことを肝に銘じておこうと思います。

ハクサイのプランター栽培はちょっとハードルが高かったかも。もともと根が強くないので、本来なら直播の方がよくできる予定だったのですが。
作物は人の足音を聞いて育つ、といわれます。少ない観察機会でもていねいに行って、早期発見早期対策に努めると、後の作業もラクになりますよ。

対照的に「グリーンボイス」は順調すぎて、この記事では「CRお黄にいり」の陰に隠れてしまった感があります。トラブルといえば育苗時、コナガにやられたことぐらい。それも被害のない苗を植えつけられたため、その後は問題ありませんでした。
「CRお黄にいり」のトラブルで心が折れそうなとき、健康に育ってくれている「グリーンボイス」の存在は励みになりました。しかも味は抜群で、数日に一度の収穫が待ち遠しいほどです。とれる度にサラダなどの彩りとして、目でも舌でも楽しませてもらいました。これからもベランダの隅で少しは栽培し、ささやかな楽しみにしたいものです。

「グリーンボイス」をサラダに散らして。濃い緑が普通の野菜サラダをおいしそうに見せる。
クリームスパゲティのトッピングにも。

こんなものも作ってみました

先に少し触れましたが、豊作さんにロメインレタス「ロマリア」の苗を分けていただいたので、プランターと鉢で作ってみました。
以前取材でいただいたとき、「ロメインレタスってこんなにおいしいんだ!」と驚きました。なので、コンパニオンプランツとしても使いましたが、とにかく「ロマリア」が食べられることがうれしかったです。手はあまりかけられず植えっぱなしでしたが、秋から冬には歯ごたえのあるロメインレタスが収穫できました。

植えっぱなしでもすくすく生長。
写真は冬に収穫したもの。よく育って食べ応えがあった。