トマト研究歴約20年の“ミスター桃太郎”が語る「桃太郎トマトって、すばらしい!」

溢れんばかりのトマト愛を持ち、1日3個の「桃太郎」トマトを食す“ミスター桃太郎”こと、トマト研究家の唐沢明さん。本コラムでは唐沢さんが感じる「桃太郎」トマトの魅力と、100を超えるトマトレシピなどを、存分に語っていただきます。

2018/02/20掲載

唐沢 明さん

Profile 唐沢 明さん

トマト研究家、大学で講師を務める。トマトのダイエット効果やトマト料理レシピなどの研究を中心に、トマト大好きサークル「トマト赤デミー」を主催。テレビ、雑誌、イベントなどへの出演も多数。主な著書に『夜トマトダイエット』(ぶんか社)、『トマトジュースダイエットレシピ』(サンクチュアリ出版)など(タキイの取り扱いではありません)。

唐沢明さんのトマト赤デミーWEBサイト
http://www.akira-dream.com/tomato/

第2回「桃太郎」トマトは、寒い冬も大活躍!
加熱料理でリコピン倍増
“ひえひえ”を“ほかほか”メニューに変えて冬バテ防止!

冬のトマトを加熱調理すれば、体内で真っ赤にリコピンが燃えて、美容と栄養の救世主!
多くの野菜は加熱すると、ビタミンCを始めとする美肌に効果的な栄養素が失われてしまうのが難点です。しかし“トマト”は、加熱しても美肌にうれしい栄養素が失われにくいのです。例えば、トマトに含まれる、美白作用や抗酸化作用のある『リコピン』は、油で加熱調理することで体への吸収率がアップするとされています。そこで、寒い時期におすすめの加熱調理したトマトレシピをセレクトしてみました。
また、トマトは体の熱を冷やす効果があるとされ、夏野菜の代表選手のイメージですが、農作物としての旬は実は2〜3月の寒い時期なのです。トマトはアンデス生まれでメキシコ育ち。日中は日差しが強く、夜は急激に冷え込む高冷地で産まれたトマトは、乾燥にはとても強いのですが、雨や湿気に弱いので、日本の梅雨や夏は元来苦手な野菜です。
トマトのプロフィールを考えてみると、雨が少ない2〜3月の時期の方が栽培に適した時期なのです。この時期は、太陽の日差しの角度がゆるいので、ビニールハウスで栽培する際に太陽が直接トマトに当たることも、おいしさを増す要因となっていますね。
冬どりトマトは夏どりに比べて実がしっかりしていて、甘みが増していますので、ぜひおいしく食べたいところなのですが、冷蔵庫で冷やしたトマトを生食やサラダでドレッシングをかけて食べてしまうと、冬場に身体をさらに冷やしてしまうため、加熱調理はおすすめです。
リコピンは加熱すればするほど、吸収率は2倍、3倍に上がり、美容効果・美肌効果・健康・血液サラサラやダイエット効果など身体にいいことだらけです。トマト=夏オンリーではなく、トマト=冬こそ救世主! の出番なんですね。
夏は熱中症対策などでそのまま丸かじりOK!の「桃太郎」トマトですが、冬は加熱して「ダイエット・美肌・健康」食材に早変わり!します。
あったかホット「桃太郎」トマト健康メニューで、おいしい、ヘルシー、楽しい♪ TOMATO TIME!

Mr. MOMOTARO COOKING 1「桃太郎」トマトショウガ豚汁

たっぷりのトマトがだし代わり!
トマトの甘みや、ショウガの風味、味噌のコクなど、鍋の中で素材のうまみが組み合わさって引き出される味わいが絶品。汁物なのにお腹いっぱいになります。

材料 2人分

桃太郎トマト …2個(約300g)
豚バラ肉(薄切り) …100g
タマネギ …1/4個
ショウガ …1片
粗びき黒コショウ …少々
…50ml
味噌 …大さじ2
サラダ油 …小さじ1
「桃太郎」トマトショウガ豚汁

作り方

  • @トマトはヘタを除き、皮ごと大きめのひと口大に切る。豚肉は1p幅に、タマネギは5o幅に切る。ショウガは皮をむいて千切りにする。
  • Aバーミキュラ(無水調理鍋)を中火で3分ほど予熱し、油をなじませ、豚肉、タマネギ、ショウガをさっと炒める。
  • Bトマトを入れてひと混ぜし、水150mlと酒を加える。沸いたらアクをすくい取り、味噌の半量を溶き入れる。
  • Cふたをして弱火で10分ほど煮て、残りの味噌を溶き入れる。好みの加減にトマトをつぶし、椀に盛り付けてコショウをちらす。

調理Point

トマトの水分がたっぷり出るので、水の量は少なめでOK。酒を少し加えると、味わいに奥行きが出て隠し味になります。
だしの代わりに「桃太郎」ならではのうまみをおいしく引き出すため、トマトをたっぷり入れるのがトマト博士ならでは。
バーミキュラではなく普通の鍋を使用される場合は、適宜水を足してください。

だしの代わりにトマトをたっぷり。
だしの代わりにトマトをたっぷり。
だしの代わりにトマトをたっぷり。
味噌を入れると絶妙なおいしさ!

Mr. MOMOTARO COOKING 2「桃太郎」トマトの炊き込みごはん

トマト博士・唐沢明が「おしゃれイズム」(日本テレビ)でも紹介した、炊き込みごはんをご紹介します。
トマトは加熱するとリコピンが2〜3倍に増え、ヘルシー度もUP。「桃太郎」特有のうまみ成分(グルタミン酸)がご飯とうまく調和しておいしい和風チキンライスができあがります。

材料 2人分

…2合
「桃太郎」トマト …1個
トマトジュースまたは水 …適量
鰹節厚削り …10cm3枚
昆布 …3cm
(酒、しょうゆ、お好みでシーチキンなども)
「桃太郎」トマトの炊き込みごはん

作り方

  • @米は洗って水気をきる。炊飯器のメモリより気持ち(2oくらい)少なめに水を入れる。
  • Aそこへ、昆布をはさみで細切りにして入れる。鰹節厚削りをそのままいれる。
  • B薄口しょうゆ、酒を入れさっとかきまぜ、30分浸水させる。
  • Cトマトのヘタをとり、普通に炊けば完成。厚削りは炊けた後、食べてもよいし、取り除いてもらってもお好みでOKです!

調理Point

トマト博士・唐沢明としては、トマトジュースも入れてリコピンUP!トマトの皮が気になる方は皮をむいてから入れてください。
だしがら昆布でも代用可能。トマトの酸味がだしでまろやかに、シンプルで上品な味です。
天然だしだから、もちろん離乳食の取り分けもOKです。

トマトをまるごと炊飯器へドン!
トマトをまるごと炊飯器へドン!
炊き上がると、トマトのうまみがごはんにしみ込む。
炊き上がると、トマトのうまみがごはんにしみ込む。
トマトをつぶして混ぜたらできあがり。
トマトをつぶして混ぜたらできあがり。

トマトのリコピン

トマトのリコピンはβ-カロテンの2倍以上、ビタミンEの約100倍とも言われる高い抗酸化力があるとされています。
リコピンの抗酸化作用は、血液や血管の酸化防止や、悪玉(LDL)コレステロールの酸化を抑えることで血流の改善に効果があると考えられています。老化防止や肥満防止に効果があると言われるのも血流を改善することで代謝を活発化することに由来していると考えられます。
また、体内で増加しすぎた活性酸素を除去できるとされ、活性酸素によって肌細胞が傷つけられることや、メラニン色素の生成が促進されてしまうのを防ぐことができると考えられ、健康で透明感のある肌を守る効果も期待されています。

トマトとダイエット

トマトに含まれる13-oxo-ODAという成分は、血液中のコレステロールや脂質の異常を抑える働きがあり、脂肪の燃焼を促進することが判明しています。肥満防止効果があるリコピンと13-oxo-ODAを一緒にとることができることから、トマト=ダイエット効果が期待できる野菜として注目されているのです。

トマトと血液循環

リコピンの強力な抗酸化作用に加え、トマトの皮の部分に多く含まれるポリフェノールの一種ケルセチンには血管を丈夫にする働き、香り成分であるピラジンには血液をサラサラにする働きがあるとされます。この成分が相乗しあうことで、血管の劣化やドロドロ血液による血液循環不順などを予防・改善できると言われています。血流が悪い人や末端冷え性の人は冷え改善も期待できますね。

JA津軽みらいの「桃太郎8」
JA青森の「桃太郎ワンダー」

JA津軽みらい「桃太郎」トマト

品種:「桃太郎8(エイト)

「桃太郎8」は「桃太郎」シリーズ初期の夏秋用品種ですが、食味のよさで根強い人気があり、青森県の夏秋トマトとしては代表的な品種です。
表皮はしっかりとした歯ごたえで、トマト自体も濃厚で、クセになる味です。
冷房の効きすぎで身体が冷える夏の終わりはトマトを加熱し、リコピンの吸収率を上げて栄養満点の上記「トマトショウガ豚汁」が唐沢オススメの「桃太郎8」絶品レシピです。

JA津軽みらい産の「桃太郎8」。
JA津軽みらい産の「桃太郎8」。

JA青森「桃太郎」トマト

品種:「桃太郎ワンダー」

「桃太郎ワンダー」は2017年に新しく出た品種です。タキイの園芸専門学校卒業生で桑田 税(くわた ちから)さんという青森のトマト名人が栽培された「桃太郎ワンダー」をいただきました。
「桃太郎8」同様に濃厚で糖度も高く、生でよし、加熱してよしで、トマトカレーやトマトリゾットにも最適です。

JA青森、桑田さんが栽培されている生育中の「桃太郎ワンダー」。
JA青森、桑田さんが栽培されている生育中の「桃太郎ワンダー」。