2020/07/20掲載
トマト研究家、大学で講師を務める。トマトのダイエット効果やトマト料理レシピなどの研究を中心に、トマト大好きサークル「トマト赤デミー」を主催。テレビ、雑誌、イベントなどへの出演も多数。主な著書に『夜トマトダイエット』(ぶんか社)、『トマトジュースダイエットレシピ』(サンクチュアリ出版)など(タキイでの取り扱いではありません)。
唐沢明さんのトマト赤デミーWEBサイト
http://www.akira-dream.com/tomato/
新型コロナウイルスの影響で、日本でも感染症予防が私たちの日常になってきましたね。
手洗い、うがい、マスク、そして十分な睡眠で疲れをとることも大切ですが、それに加えて、バランスのよい食事で栄養をしっかりと補給することも、ウイルスに負けない健康な体づくりにつながります。
感染症予防対策で外出を控えたり、イベントや行事が中止になったり、またテレワークが進み家にこもりがちな日々が続いている方も多いのではないでしょうか。
家に一人だと、ついつい食事をおろそかにしがちです。でも、ウイルスに負けない体を作るためには、バランスのよい食事で栄養をしっかり補給することが大切です。
そこで最終回は簡単に作れておいしい、免疫力アップに効果的なトマトを使ったレシピをご紹介します。
コロナ禍で外出自粛やテレワークで家時間が長くなると、自炊の機会も増えますね。
そこで料理初心者でも気軽にでき、発酵パワーで免疫力アップ効果も期待できる、コロナ対策にぴったりなトマトみそ汁レシピをご紹介しましょう。
「きちんとだしを取らないとおいしいみそ汁は作れない」という思い込みをまずは捨てましょう。発酵食品の代表であるみそにはうまみが詰まっているので、具材によっては、だしをとらなくても水だけで十分。
大切なのは、昔ながらの手法でしっかり時間をかけて作られたみそを使うことですね。
テレワークで自宅に家族がそろい、忙しくなる朝におすすめなのが、お椀やマグカップに直接みそとトマトなどの具材を入れてお湯を注ぎ、スプーンで混ぜるだけの簡単インスタントみそ汁。具材はトマトのほかお麩やフリーズドライの野菜、スナック菓子などでもOKです。
ここでトマト博士トッピングタイム!です。
唐沢イチオシのおすすめ具材は、チーズですね。三角チーズやクリームチーズから、ちょっと高価なものまで、発酵食品同士のみそとチーズはベストマッチでおすすめです。
継続は力なり。トマトでリコピンを継続して体内に取り入れ、うがい、手洗い、マスクのような感染症対策と同列の予防習慣にしましょう。
熱中症対策、夏バテ予防にも効果テキメンですので、体力低下回避もサポートしてくれます。
「抗酸化作用」というとビタミンEが注目されていますが、「リコピン」はビタミンEの100倍の抗酸化力を持っていることがわかってきていますね。
では、抗酸化作用とはどのようなものなのでしょうか? 以前にもご紹介しましたが、ここでは改めて、トマト博士が、「トマトのすごさ」「リコピンの効果」をコロナ感染対策も含めて、わかりやすくお伝えしましょう。
私たちは、空気を吸って生活しています。酸素は炭水化物を酸化させてエネルギーを作り出すために使われています。ところが体内に入った一部の酸素は、代謝の過程で「活性酸素」という反応性の高い物質に変わってしまいます。
この活性酸素は、ウイルスや細菌に対する感染の防御や有毒物質を無毒化する作用がある一方で、過剰になると、細胞膜に過酸化脂質を増加させて、細胞の老化を早めたり、血中のLDL-コレステロールを酸化させて動脈硬化を進行させたり、遺伝子(DNA)を傷つけて細胞が、がん化する要因となります。
「フルティカ」
以前、フジテレビ「ホンマでっか!?TV」のトマト特集で私がゲスト出演したときにも説明したのですが、トマトのリコピンは、体の中で生じた活性酸素を取り除く働きを持っています。また、リコピンは血液中では主にLDL-コレステロールと一緒に運ばれることで、LDL-コレステロールの酸化を防ぐことから動脈硬化症の改善につながることが、トマトやトマト加工品を摂取する実験結果から報告されています。
しかしリコピンだけを摂取すれば動脈硬化症を予防できるわけではありません。日頃からバランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠、体重・血圧測定による自己管理を心掛けて動脈硬化症を予防することが大切です。
抗酸化作用には、動脈硬化症のような血管系疾患以外にも活性酸素が発症に影響を与える、がんや肌の老化などに対しても抑制作用が期待されています。人がトマトやリコピンを直接摂取する研究が増える中で、体内でのリコピン濃度の上昇が効果的であるというよりも、リコピンが不足することで引き起こすリスクの方が問題であることがわかってきています。
「CF千果」
「桃太郎ゴールド」
日本人の場合、血液中には約0.35〜0.70µm/ℓのリコピンが含まれていると報告されています。しかし、リコピンは体内で合成することができないため、取り続けないと減少します。
また、一度に大量に摂取しても体内に蓄えることはできません。体内でのリコピン濃度を一定以上に保ち、がんの発生や肌の老化を抑えるにはリコピンを含む食品を毎日継続して摂取することが大切です。
さて、トマト博士としては、みなさんにトマトを好きになってもらいたいので、トマトの栄養の話も最後にまとめとして、わかりやすくしておきます。
トマトの栄養成分は、ものすごいもので、赤い色素成分のリコピンは健康の源です。またトマトはリコピンの含有量がとても高いので、抗酸化作用、つまり生活習慣病の原因となる活性酸素を除去する働きもあります。
ストレスや過度の飲酒で活性酸素が増えていくので、二日酔いにトマトジュースがよい理由もおわかりですね。 日中のテレワークにはトマトジュース、夜のオンライン飲み会にはレッドアイがウィズコロナの時代の定番。このリコピンは油に溶け熱に強いのでオリーブオイルと一緒に取ると効果抜群です。
トマトのリコピンパワーはすぐれもので、老化防止、免疫力アップ、生活習慣病予防、ダイエット効果、メタボ対策、脳機能アップとすべてによいのです。また、ビタミン類、グルタミン酸、ミネラル、クエン酸、ペクチン、ルチンと栄養は豊富です。
いま、テレワーク生活だからこそキッチンでも、トマトを献立やお菓子などにも取り入れていき、感染症予防、熱中症対策につなげていきましょう。
今回私がおすすめする桃太郎トマトは、栃木県産の桃姫トマトです。かなりの高糖度完熟トマトで、甘みも酸味もバランスよくあります。
小林農園は良質な土づくりと根域・潅水制限を行い、赤く熟した状態で収穫しています。
小林農園のこだわりはご自身の言葉を借りれば、
などなど…。
日の当たらないところに常温で保存し、召し上がる30分〜1時間前に冷蔵庫で冷やすのがおすすめです。「桃姫トマト」は、赤く完熟した状態で収穫しています。産地直送のトマトは、完熟するまで樹につけておくため甘みが出ておいしくなります。トマトのもつフルーティーな甘くさわやかな香りがお口いっぱいに広がります。
そのまま生で食べるのがベストですが、和食、洋食、中華、デザート、何でもオールマイティ美味堪能できます。肉・魚・野菜・ごはん…どんな食材とも合うため、トマトサラダ・トマトジュース・トマトパスタ・トマトスープ・トマトみそ汁など、さまざまな料理にアレンジできます。
「桃太郎トマトって、すばらしい!」は今回が最終回となります。
長い間ご愛読いただきありがとうございました。(編集部)
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