トマト研究歴約20年の“ミスター桃太郎”が語る「桃太郎トマトって、すばらしい!」

溢れんばかりのトマト愛を持ち、1日3個の桃太郎トマトを食す“ミスター桃太郎”こと、トマト研究家の唐沢明さん。本コラムでは唐沢さんが感じる「桃太郎トマト」の魅力を、存分に語っていただきます。

2020/02/20掲載

唐沢 明さん

Profile 唐沢 明さん

トマト研究家、大学で講師を務める。トマトのダイエット効果やトマト料理レシピなどの研究を中心に、トマト大好きサークル「トマト赤デミー」を主催。テレビ、雑誌、イベントなどへの出演も多数。主な著書に『夜トマトダイエット』(ぶんか社)、『トマトジュースダイエットレシピ』(サンクチュアリ出版)など(タキイの取り扱いではありません)。

唐沢明さんのトマト赤デミーWEBサイト
http://www.akira-dream.com/tomato/

第6回トマトは1年中食べられる?
トマトリビアの世界です!

トマトは夏野菜、トマトの旬は夏、というイメージがありますが、日本では1年を通して、春夏秋冬、食べることができます。あまり知られていないかもしれませんが、オールシーズン出荷されています。
露地栽培トマトは6〜8月、ハウス栽培のトマトは2〜5月が特においしい季節になります。

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「CFハウス桃太郎」
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「桃太郎8」
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「桃太郎ネクスト」

昼夜の温度差がトマトをおいしく育てます!

トマトは、昼と夜の温度差が大きいほど、真っ赤に熟し、おいしいものが収穫できます。そのため収穫時期は、ハウス栽培が中心の冬春トマトと、露地栽培が中心の夏秋トマトに分かれます。それぞれの出荷時期と主な産地は、次の通りになっています。

  • ・冬春トマト(7〜11月):熊本県、愛知県、栃木県
  • ・夏秋トマト(12月〜6月):北海道、茨城県、福島県

これも「トマトリビア」かもしれませんが、冬春トマトは甘みが強く、夏秋トマトは酸味が強いので、季節ごとの味わいを楽しむのも、おすすめです。これで「トマト通」になれますね。

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冬春トマトの代表格「桃太郎ホープ」、甘みと酸味のバランスがよい。冬春トマト産地の代表熊本県でも多く栽培されている。
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関西のスーパーに並ぶ熊本県JAうき産「桃太郎ホープ」。
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こちらは夏秋トマトの代表格、食味のよい「桃太郎ワンダー」。
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夏秋トマト一番の産地は北海道。写真は長沼町JAながぬまの「桃太郎ワンダー」。

もしかして初耳学?夏秋トマト冬春トマト

トマトの生育に必要な条件のうち、一番大事なものが日光です。しかし、日光が一番多く降り注ぐ夏場の日本の気温はトマトにとっては高すぎます。そのため、夏のトマトは比較的冷涼な地域で栽培されます。北海道、東北などの緯度の高い産地のほか、標高の高い地域が夏秋のトマトの産地です。

ハウス内を暖房で温める冬春のトマトと違い、無加温(自然に近い環境)で育った夏秋トマトは、トマトがもつ本来の味わいが感じられるまさに旬の味覚。夏秋のトマト産地では、栽培が難しいけれど味がよいといわれる「桃太郎」を栽培している産地が多くあります。
また、トマトに含まれるカリウムは利尿作用により体温を下げる効果があります。暑い夏にはもってこいの野菜です。

日本国内でのトマトの総出荷量は年間637,100tです。
「夏秋トマト」と「冬春トマト」の生産量を地域別に見ていきましょう。
まずは全体。

  • 「夏秋トマト」の出荷量は268,300t
  • 「冬春トマト」の出荷量は388,800t

冬春トマトの方が大分多いですね。
そして地域は?といえば、ベストファイブは以下のようになります。

夏秋トマト生産量ランキング

    作付面積(ha) 10a当たり収量(kg) 収穫量(t) 出荷量(t)
  全国 7.810 4,030 314,600 268,300
           
北海道 708 6,530 46,200 42,400
茨城 773 4,530 35,000 33,300
熊本 415 5,570 23,100 22,000
千葉 492 3,670 18,100 15,900
福島 319 5,250 16,700 14,400

冬春トマトの生産量ランキング

    作付面積(ha) 10a当たり収量(kg) 収穫量(t) 出荷量(t)
  全国 3.970 10,300 409,600 388,800
           
熊本 839 13,600 114,100 110,800
愛知 406 10,600 43,000 41,000
栃木 212 13,800 29,300 27,700
千葉 288 6,640 19,100 17,700
宮崎 176 9,790 17,200 16,200
(データは2018年産野菜生産出荷統計/農水省より)

実際には、4シーズン4種類に分かれる!

トマトの原産地であるアンデス地方高地の気候は、雨が少なく強い日差し、日光と昼夜の温度差が特徴的です。
日本での産地も時期によって、暑い夏は比較的涼しい北海道・東北・岐阜の高冷地へ、冬場は暖かい東海地方・九州へと移動していきます。
その時期ごとに、最適な場所、産地へ移動することで美味しいトマトが誕生!
また、産地も暖房費などのコストをおさえることができるとういうメリットもあるのですね。夏秋トマト、冬春トマトはさらに細かく分ければ、トマトは主に3〜6月に収穫できる春トマト、6〜9月に収穫する夏秋トマト、9月〜2月に収穫する秋冬トマト、12月〜3月に収穫する冬春トマトの4種類に分けられます。いずれのトマトも、出始めは大玉傾向で、後になるほど小さくなっていきます。

もちろん品種改良や栽培技術の改良によって長期収穫が可能になってもいます。その代表格は、長期どりが可能な「桃太郎ネクスト」()。写は栃木県JAうつのみやの選果場で出荷を待つ「桃太郎ネクスト」です。

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夏秋トマトおすすめレシピ

Mr. MOMOTARO COOKING 1トマトラーメン

材料1人分

市販の細縮れ中華麺 … 1袋
スープ  
トマトジュース(食塩無添加) … 200cc
トマト … 大玉1個
… 100cc
中華スープの素(ペースト状のもの) … 大さじ1
塩・胡椒 … 少々
トッピング  
ホウレンソウ … 20g
もやし … 35g
サラダ油 … 小さじ1/2
… 少々
スイートコーン(市販の缶詰のもの) … 1/4
トマトラーメン

作り方

  • トマトを湯むきし、16等分する。
  • 鍋にトマトジュースと水、中華スープの素を入れて火にかける。
  • 沸騰する直前にトマトを入れて弱火で煮る。
  • スープを作っている間に、ホウレンソウを茹でて、もやしを軽く炒めておく。
  • 麺は表示の時間通り茹でる。
  • 器にスープを入れ、湯切りした麺とともにトッピング類を載せて完成。
  • お好みでサラダチキンやミニトマトをトッピングしても楽しめます。

秋夏ミニトマトおすすめレシピ

Mr. MOMOTARO COOKING 2トマト焼きおにぎり

材料1個分

ごはん … 100g
ミニトマト … 1個
大葉 … 1/2枚
和風だしの素(顆粒) … 小さじ1/2
白ゴマ … 少々
サラダ油 … 小さじ1/2
トマト焼きおにぎり

作り方

  • 大葉を細切りにし、ミニトマトは半分に切っておく。
  • ごはんに大葉、だしの素、白ゴマを混ぜる。
  • トマトを電子レンジ500Wで50秒加熱する。
  • 味のついたごはんにトマト半分を入れて三角形に形を整える。もう半分のトマトは表面に埋め込む。
  • フライパンに油を引いて熱し、おにぎりに軽く焼き色がつくまで焼く。

冬春トマトおすすめレシピ

Mr. MOMOTARO COOKING 3トマトの味噌汁

材料2人前

トマト … 中2個(150g)
木綿豆腐 … 150g
油揚げ … 1枚
合わせみそ … 大さじ3
… 200cc
… 1個
トマトの味噌汁

作り方

  • トマトは完熟のものがよいが、冷凍保存のトマトを使うのも便利。
  • 角切りにしたトマトと水2カップを鍋に入れ、火にかけ沸騰させる。
  • さいの目に切った木綿豆腐、短冊に切った油揚げを鍋に加える。
  • 火を止め、みそを溶かし入れる。
  • 最後に溶き卵を加え、ひと煮立ちしたら完成。

北海道JAながぬま「川原さんちの高糖度栽培トマト」
(品種名:CF桃太郎ファイト)

高糖度でしかもトマトの味が濃い、まさに令和のスーパーヒーロー!

北海道の大地と太陽の恵みをいっぱい浴びた見た目も味も絶品のスーパーヒーロー・トマトをご紹介します。北海道JAながぬまで川原敏幸さんが作る「川原さんちの高糖度栽培トマト」には、「トマトは野菜」という概念をひっくり返すような、フルーツのような甘さがあります。
これを食べると、「トマトは果物?」と思わず口走ってしまいます。
完熟、濃厚、甘さが口の中に一気に広がり、幸福感に包まれ、だれでもスマイル180%になります。
「高糖度トマトのエース」「お土産にも最高の一品」「トマトがますます好きになる横綱品種」といってよいでしょう。生食でよし、料理でもよしのおすすめトマトです。
糖度は春先なら10度以上あり、夏場でも8度です。
トマト博士おすすめの高糖度トマトです。
和食、洋食、中華、イタリアンなど料理でも、スイーツにも使えるオールラウンドプレイヤーで味もお墨付き、間違いなし!です。
今後、テレビや雑誌などの取材のときに、おすすめしたいトマトで、令和のスーパー新ヒーローになるかもしれませんね?ぜひトライしてみてはいかがでしょうか?

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「CF桃太郎ファイト」は糖度が高く、食味のよい品種です。「桃太郎」シリーズの中でも最も糖度が上がりやすく、酸味が少ない特性から甘みを感じやすい品種です。
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JAながぬま「川原さんちの高糖度トマト」。専用にデザインされたパッケージで出荷されます。
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こちらは川原敏幸さんのハウス内、2019年8月後半の様子です。