異常気象に負けない畑をつくる 酸素供給剤「オキソパワー5」の効果! 〜施用事例から検証〜

酸素供給剤の需要が高まっている?!

近年の異常気象により梅雨の長雨、夏の猛暑、ゲリラ豪雨、台風など自然災害に見舞われることが多くなっています。これらの災害による湿害、根傷み。または、土壌不良条件における定植遅れ、活着不良などに効果があると注目を浴びているのが酸素供給剤です。

酸素供給剤とは?

「酸素供給剤」とは、土壌に酸素を供給し、根の呼吸を助けることで根張りをよくし、健全な作物の生育を促すものです。

第1図 土壌改良の考え方

第2図 土壌(根)の酸素の必要性

持続型酸素供給剤「オキソパワー5」

タキイはこれまで、1カ月に340ℓ/袋の酸素を供給する「ネハリエース」、3カ月供給する「ネオカルオキソ」の2種類の酸素供給剤を販売し好評を得ていました。しかし3カ月程度の持続力だと、例えばトマトの定植時期の4月に施した場合、暑さで根が傷みやすい8月、台風が襲来しやすい9月など酸素が必要な時期には供給が切れてしまうことになります。
そこで2017年8月にタキイオリジナル資材として登場したのが「オキソパワー5」です。これは、従来より2カ月持続力がパワーアップして、約5カ月にわたり400ℓ/1袋の酸素を供給する持続型酸素供給剤です。また新たに速効性の高い液剤の「MOX」(酸素発生量200ℓ/1本)も登場し、これらを使い分けることで、理想の根域環境をつくりだし、より栽培安定を図ることが可能となりました。この度は、タキイの酸素供給剤の特徴と産地での施用事例をとおして、その効果と活用法をご紹介します。

タキイの酸素供給剤

それぞれのタイプをご紹介!

<粒剤>酸素供給期間が長くなる

「ネハリエース」
1袋(10kg)当たり約340ℓの酸素を約1カ月供給。

「ネオカルオキソ」
1袋(10kg)当たり約340ℓの酸素を約3カ月供給。

「オキソパワー5」
1袋(10kg)当たり約400ℓの酸素を約5カ月間の長期にわたり供給。

<液剤>

「MOX」
1本(10kg)当たり約200ℓ酸素を供給。
持続は1日。

第1表 酸素供給剤の種類

水との反応性 <液剤>

水との反応性 <粒剤>

酸素供給剤の効果とは?

  • ①ゲリラ豪雨、台風などによる湿害からの回復。
  • ②長雨による根傷みを防ぐ。
  • ③土壌不良条件による定植遅れ、活着不良を防ぐ。
  • ④微生物の活性化、有機肥料の分解促進。

向いている圃場

  • ●水がたまりやすい窪地や傾斜地、粘土、砂地。

湿害のメカニズム

湿害発生には主に2つの原因があります。

  • ○土壌中の“水分”が“過剰”となり発生
  • ○土壌中の“酸素”が“不足”して発生

水が滞留することで、溶存酸素量が低下し根が酸欠になることによって、根傷みや生育不良が起こります。

第2表 野菜の根の耐水性(目安)

九州農業試験場 二井内氏より調査(昭和28年)

第3表 葉菜類に対する湛水による被害率(%)の推移

位田氏より、水温25℃で試験(昭和35年前後)
各生育ステージに畝の肩まで湛水し24時間、被害率を調査

酸素供給剤は土壌の排水性(物理性)を改善するのではなく、滞留した水の溶存酸素が減少するなかで、水と反応して酸素を供給することで根の酸素欠乏を防ぎ、湿害を起こしにくくするという効果があります。

ゲリラ豪雨・長雨による湿害対策冠水した箇所へ、降雨の後で泥跳ねがある箇所へ

ポット試験:根傷みの軽減効果

④「ネオカルキソ」「MOX」を処理したポット苗は、①無処理の水没なしの苗よりも根が育っていることが分かります。

施用事例

以下は、実際に酸素供給剤を施用した場合の効果を検証したものです。

湿害対策のための施用事例

≪事例1≫ 千葉県 ナバナ (2018年)

湿害対策のため「オキソパワー5」を施用、台風襲来後の様子。慣行区に比べ、そろい生育とも良好。

≪事例2≫ 香川県 ブロッコリー (2017年)

湿害対策のため「オキソパワー5」を施用。台風襲来後の様子。慣行区に比べ、そろい生育とも良好。

≪事例3≫ 長野県 レタス (2017年)

水の溜まりやすい丘陵地の下での施用事例

施用区は慣行区と比べて株張りよく
球のそろいもよくなっています。

施用区の方が根張りもよくなっています。

干ばつ対策の施用事例

「オキソパワー5」は土壌中の水分と反応しますが、乾燥条件でも緩やかに分解が進みます。高温条件では植物の根の酸素の要求量が高まるので、乾燥・干ばつ条件でも一定の効果を望むことができます。

第3図 酸素吸収と温度の関係について

≪事例 干ばつ対策≫ 長野県 キャベツ (2017年)

干ばつ対策として施用。慣行区に比べ施用区の方が、根張りがよく収穫物のそろいや1球当たりの平均重などの収量も上がりました。

作物の生育促進の事例

酸素と肥料吸収について

湿害は地上部では根傷みによる葉先の枯れ、地下部では根腐れによる根の先端の褐変などがあります。酸素不足で根が肥料を吸収できないことが、葉の黄化などの生育不良が起こる原因ともなります。

第4図 土中酸素濃度に応じた肥料成分の吸収量と根重量

第4表 キュウリの土中酸素濃度に応じた肥料成分の吸収量と根重量

(土中酸素濃度20%時を100%に換算)

(引用、位田氏、1956年より)

酸素濃度が上がるほど、肥料の吸収量、根量とも増えます。

このように、酸素供給剤によって土壌の酸素濃度を高めることで、特にネギなどでは以下のような効果が期待できます。

ネギで期待できる効果

  • 増収、サイズアップ
  • 活着促進
  • 秀品率向上
  • 欠株軽減
  • 減収リスク軽減
  • スムーズな生育

+

  • 土壌微生物の活性
  • 有機物の分解促進
  • 嫌気性病害の軽減

≪事例1≫ 北海道 ネギ (2018年)

施用区の方が根がよく張るので、草姿がシャッキリとしてそろいもよい。

≪事例2≫ 茨城県 ネギ

圃場:茨城県下妻市 処理場所:土質は粘土質が強く雨水がたまりやすい場所 結果:定植8月中旬から1カ月で降水量250mm 

≪事例3≫ 大分県 ネギ (2018年)

<圃場>

圃場の様子。いずれも施用区の方が株のそろいがよくなっています。

<収穫物・根の様子>

収穫物の品質、そろい、根の張り、生育のそろいなど施用区の方がすぐれています。

≪事例4≫ 北海道 トマト (2018年)

果菜類であるトマトなどでも生育促進、なり疲れの防止などの効果が期待できます。

施用区の方が葉の被りがよい。弱い株がなくなり均一になります。

酸素供給剤の使い分け

果菜類のなり疲れを防止したいとき

「MOX」

酸素供給期間が1日以内と短いですが速効性があり、散布直後から酸素を供給します。潅水時に液肥と同じ要領で10a当たり10ℓを1週間から10日に1回施用します。

厳寒期・猛暑期で根の活性が低下している場合や、酸素が欠乏していて根が弱っている場合は、肥料の吸収力も落ちているため「MOX」を施用してから液肥を使用することをおすすめします。

粘土質、または水田裏作で毎年排水不良の圃場に

「ネオカルオキソ」

酸素供給期間は約3カ月、本剤を元肥として全面散布し混和することで、根の呼吸を助け、根の張りを改善します(10a当たり40〜60kg)。

「オキソパワー5」

約5カ月と酸素供給期間が長く、元肥として土壌混和(10a当たり40〜60kg)して使用します。施設・露地栽培を問わず、植え付けから収穫までの栽培期間が長いイチゴやアスパラガスなどの品目にもおすすめです。

「ネオカルオキソ」「オキソパワー5」、どちらの酸素供給剤も葉菜、根菜、果菜類同様に使用できます。

定植後の長雨による湿害予防で使用する場合

「ネハリエース」

水に接触すると粉状になるように改良されており、反応性が高い製品です。酸素供給期間が1カ月と短いですが、定植後、長雨に見舞われるような場面でも追加施用できます。水と反応して酸素を発生させるため、水が滞留している箇所に表面散布で使用してください(10a当たり20〜30kg)。
葉菜、根菜、果菜類に使用できます。

育苗時に使用する場合

「ネオカルオキソ」「ネハリエース」「MOX」

「ネオカルオキソ」または「ネハリエース」は培養土1m2当たり2〜3kg混和します(花卉類も同様)。「MOX」は100倍以上に希釈して葉面散布、または潅水します。チッソ成分は含まれていないため徒長は促しません。

第5表 酸素供給剤の種類と施用法一覧

湿害軽減とともに、土壌微生物の活性化、有機肥料の分解促進などによる生育促進が期待できる「酸素供給剤」。しかし、土壌の排水性自体が向上するわけではありません。
基本となるのは土づくりや排水対策です。これらをしっかりと行い、健全な土壌づくりを心掛けてください。