2017/02/20掲載
愛知県豊田市で家業の苗生産・販売を行う傍ら、仲間たちと立ち上げた本格派フランス料理店「レクラ・ド・リール」のオーナーとして、厳選した自家製野菜をメニューに提供。おいしい旬の野菜がたっぷりの料理に使われる。
厨房を預かる、近藤 招宏さん。
大橋さんとは顔なじみ。
フランス修行の経験を持つ。
本紙連載を通じて、野菜への意識が高まり、使う野菜を先に決め、そこからメニューを組み立てることで幅が広がったと、常に挑戦を続けている。
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「オレンジ千果」とクリームチーズの
カクテル仕立て
適当な大きさに割った「オレンジ千果」と、サイコロ状にした「夏すずみ」、クリームチーズのとりあわせ。トマトの酸味にチーズがよく合う。どちらもやわらかいので、「夏すずみ」でかたい食感も加えている。「オレンジ千果」はほかのイエロー種より色がよいので食欲がわくし、実際食べても味が濃くおいしい。
焼きナスと魚介・トマトスープ仕立て
「桃太郎ゴールド」の冷製スープに、焼いて冷やした「千両二号」、魚介、「桃太郎ゴールド」を重ね、「猩々赤」のスライスを盛る。濃いトマトスープのフレッシュさと、焼きナスの香ばしさを組み合わせた、ヘルシーな一品。赤タマネギは一般に足が早いが、中晩性の「猩々赤」はもちがよく、夏野菜とともに長く使える。
3種のピーマンとベーコンの
ソテー・赤ワインソース
ローストした丸ごとの「こどもピーマン」とベーコンに、さっとソテーした「フルーピーレッドEX」「フルーピーイエロー」
「こどもピーマン」「猩々赤」を盛り、タイムをあしらう。ピーマン類は豚の脂ととても相性がよく、また火の通し方を変えることで異なる味わいが楽しめる。カラフルな夏野菜を上手に取り入れて、おいしそうに演出したい。
ピッサラディエール
「ケルたま」はスライスしてオリーブ油で炒め、軽く塩をして甘みとうまみを引き出し、水分を出させる。色づくまでしっかり加熱し、糖分が出てきてキャラメル状になってくれば、伸ばしたパン生地の上に広げ、アンチョビ、オリーブの実をのせて焼き上げる。切り分けてオリーブ油をかければできあがり。まるでチーズ抜きのピザのようなニースの郷土料理。加熱すると甘みが増す「ケルたま」の特性を生かしている。
「桃太郎ゴールド」のミネストローネ
「桃太郎ゴールド」の色を生かしたシスリコピンたっぷりのスープ。鍋にオリーブ油とニンニクを熱し、「猩々赤」「筑陽」
「オーラム」を入れて、味を出したところに鶏のだしとつぶした「桃太郎ゴールド」を加えて炊きあげる。塩こしょうで味を調え、刻んだ「桃太郎ゴールド」、輪切りの「グリーンソード」、みじん切りにしたイタリアンパセリを浮かべる。「桃太郎ゴールド」は色でトマト料理に変化がつけられ、スープにするとほかの具材の色も映える効果がある。
ナスのフリット・
卵黄とマスタードを使ったソース
卵黄とマスタードのソースに、素揚げした「筑陽」「エメラルド」の取り合わせ。ナスは小麦粉を軽くふって低温の油へ入れ、常に転がしながらゆっくりまんべんなく揚げる。肉質緻密な「筑陽」は、加熱しても崩れないで形が残り、外はカリッと、中は軽くてふわっとした食感に仕上がる。ソースは卵黄と白ワインビネガーを混ぜてマスタード、塩こしょうを加え、湯煎にかけて火を通すと、油を使わないマヨネーズのようになる。ナスの甘みとソースの酸味が合わさっておいしい。
トマト専用ハウスの建設
念願のトマト専用ハウスが完成したのは、2016年の4月頭。面積は3反で、太陽光発電と同じ基礎を採用しており、簡素な低コストハウスでも、しっかりしたつくりになっています。柱を減らしていますが、かえって間隔が4mと広めにとれ、採光性が良好。画期的なのは、谷換気でなく天井を開けられるようになっていることで、上から空気が抜けると熱のこもり方がまったく違います。高額なミストの装置を省いた分、このような工夫で温度の上昇を防いでいます。
本来は9月に定植し、11月から翌年7月までとる作型ですが、試験的に4月のハウス完成後すぐに定植し、7月終わりまでとる半促成で栽培してみました。当初は土耕と同じ感覚でやってしまい、水を切りすぎて尻腐れを出したりしましたが、徐々に慣れて後半はほぼ問題なし。何かあっても、養液の処方変更や水分量の調節で対処すれば、3日ほどで効果が出るので、今後はさらに楽になると思います。
↑簡素だがしっかりしたつくりのトマト専用ハウス。軌道に乗ればトマトをほぼ周年で安定供給できる。
↑ここで処方した養液が各トマトへ送られる。
↑ヤシ殻の培地は水はけが思いのほかよく、尻腐れが発生する一因となった。
サービスエリアでの販売
とれたトマトをレストランで使うのはもちろん、2016年2月にできた新東名高速道路の岡崎サービスエリアでも販売しています。仲間3人と出店していて、最初は売れるのか危ぶみましたが、トマトをはじめとする生鮮物はかなり人の心を引くようです。
特に人気なのが「桃太郎ゴールド」で、赤の品種と並べると目立ち、珍しくてお土産に向くのだと思います。これをもらっておいしかったからと、後日静岡からわざわざ買いにこられた方もいたほどです。
また、ホウレンソウ「弁天丸」のパウダーを原料にしたソフトクリームも好評。ドキドキして買われるお客さんも食べれば「おいしい!」と笑顔になります。ほかの野菜のパウダーでもやってみたいと考え中です。
↑サービスエリアへ3人の仲間で出店した「MIKAWA FOREST」。地元の農産物を使ったグルメを提供している。
↑店舗の中央を占める野菜コーナー。「桃太郎ゴールド」は並べた直後から飛ぶような売れ行きを見せる。
↑見た目は抹茶ソフト、香りもどこか抹茶に似ていて、なのになめるとホウレンソウの甘みを感じる。