土肥ポン太のポンポンベジタブルナビ土肥ポン太のポンポンベジタブルナビ

お笑い芸人でありながら、青果店を経営し、2016年からは自ら畑を耕して野菜づくりを始めた土肥ポン太さん。
今回は、ポン太さんがタキイ研究農場を訪れ、担当者に各品種の魅力をインタビュー。
その内容をレポートしていただきます。

Profile 土肥ポン太さん

よしもとクリエイティブ・エージェンシー大阪所属。若手芸人時代の八百屋でのアルバイトを経て、2004年に八百屋として独立後、「株式会社ポン太青果」を設立。現在は大阪府能勢町で農業に取り組んでいる。“野菜芸人”としてブレイクし、毎日放送「せやねん〜菜食生活・土肥ベジ太ブル」などで活躍中。野菜を見る目と知識は確か。著書に「土肥ベジタブル 野菜の教科書」。

2017/07/20掲載

今回レポートするこの秋おすすめの野菜はこちら今回レポートするこの秋おすすめの野菜はこちら

  • ニンジン
  • タマネギ
  • ダイコン
  • ハクサイ
  • ホウレンソウ
  • 赤ミズナ
  • ロメインレタス

京くれない・オランジェニンジン京くれない・オランジェ

砂糖なしで、この甘さ!おもいっきりかじりたくなる!砂糖なしで、この甘さ!おもいっきりかじりたくなる!

2016年冬、研究農場にて。根菜チーフの宇野から説明をうけるポン太さん。↑2016年冬、研究農場にて。根菜チーフの宇野から説明をうけるポン太さん。

初めに紹介いただいたのは、ニンジンの「京くれない」。金時ニンジンと普通のニンジンを掛け合わせた品種です。見た目は金時ニンジンっぽい色。少し丈が短めですがこのサイズがちょうどいい!八百屋に来るお客さんは、みんなこれぐらいの大きさのものを求めていて、今あまり長いのが売れませんから。皮の赤色はトマトに入っているのと同じ「リコピン」という成分だから、機能性にもすぐれているんですね。

「オランジェ」は、オレンジ色のニンジンですが、とにかく色の濃さにビックリ!これは、ほんまにもう「柿」ですね!この濃さはカロテンの色。タキイさんの「向陽二号」と比べると、1.5倍もカロテンが多いそうです。

2品種とも試食させてもらいましたが、ほんまに甘い!同じ甘いでも、ちょっとちゃうんです。「京くれない」は、僕みたいなおっさん向きの甘さ(笑)。ニンジンらしさがええ感じに出ているんです。「オランジェ」は、子どもでもそのまま食べられる甘さですね。加熱したらもっと甘くなるんちゃうかな?ジュースにしてもよさそう。ほんまは「ぐあーっ!」と、かじりたいぐらい(笑)。
これはどっちも流行るんちゃいますか〜。

ケルたまタマネギケルたま

色の濃さも、甘さも、貯蔵性もすべてケルセチンで決まる!色の濃さも、甘さも、貯蔵性もすべてケルセチンで決まる!

2016年冬、研究農場にて。根菜チーフの宇野から説明をうけるポン太さん。

「ひときわ皮の濃いタマネギがあるな」と思ったら、これが「ケルたま」でした。切ってもらうと、その断面もすごい!普通のタマネギに比べると果肉が黄色いんです。この色の濃さはポリフェノールの一種である「ケルセチン」という機能性成分が多く入っている証拠。断面を見ただけで、目にクッと染みました。

味は辛いのは辛い。だけど抜群に甘いんです。僕も初め、説明を受けた時はよくわかりませんでしたが、生で食べた時の一口目でそれを実感しました。めちゃくちゃ甘いんです。その後すぐに「いや、辛ー!」となりましたが(笑)。この辛みは加熱したらなくなるので、カレーや肉じゃがに入れたら相当甘いと思います。

今回ブリーダーの宇野さんに教えてもらったのですが、ケルセチンが高いと、糖度が高くなり、貯蔵性も高くなるみたいです。今回食べさせてもらった「ケルたま」は、なんと半年前に収穫されたもの!常温保存されていたらしいのですが、味や見た目にまったく問題ないので驚きました。こんなにいいことづくしの「ケルたま」、今ここで実演販売したら、みんな思わず買ってくれるんちゃうかなと思います。

三太郎ダイコン三太郎

大きさを作り分けられるよお考えられた代物!大きさを作り分けられるよお考えられた代物!

八百屋の僕から見てもこれはええダイコンですわ!

机に並べられた大きさの違う4本のダイコン。実はこれ、全部同じ品種なんです!「三太郎」というダイコンは、標準サイズでも、少し小さめに作っても、大きめに作っても、ダイコンらしいきれいな形ででき、植える時の株間を変えて大きさを調整するようです。八百屋視点で言うと、今って世帯数が少ないから小さめのものが売れるんです。でも、「半分切りのやつは嫌や」っていうお客さんもいて…。適度な大きさ、きれいな形で丸々1本買ってもらえるのはすごくいいですね。生産者も作り分けができるし、これ、よお考えはったな〜。しかも三太郎の「三」は「三季どり」という意味で、暑い夏以外はいつでも作れる品種。家庭菜園でも手軽に作れるようです。

味については、八百屋ハンドでさわった感触で、いいダイコンやとわかりました(笑)。肌触りがよくて、皮も分厚くなく、ひげ根が少ないなと思ったんですよ。食べさせてもらったら、水気がはちきれんばかりに溢れていて、肉質もええ感じ。これは、おでんにも、サラダにもいけますね。僕も作りたくなりました!

オレンジクインハクサイオレンジクイン

鮮やかなオレンジの球内色を目指して生まれた品種!新たな成分発見で、再ブーム到来!鮮やかなオレンジの球内色を目指して生まれた品種!新たな成分発見で、再ブーム到来!

雨中の圃場にて、葉菜チーフの大北から熱心に説明を聞くポン太さん。↑雨中の圃場にて、葉菜チーフの大北から熱心に説明を聞くポン太さん。

「うわー、きれい!」と声が出るほど、球の中側が鮮やかなオレンジ色の「オレンジクイン」。ここ3年ぐらいよく見かけるようになりました。僕は珍しい野菜が好きなので、店で仕入れていたこともあります。球内色のオレンジ色は「シスリコピン」という機能性成分が入っていて、普通のハクサイにはほとんどない成分。ヨーロッパから仕入れた耐病性のあるカブと普通のハクサイを交雑して、オレンジ色の球内色の品種を作りだしたそうです!

「オレンジクイン」、最近開発されたのかと思いきや、実は約30年前からあったとか。一度は売れたものの紆余曲折があり、最近になってシスリコピンが多く含まれていることがわかって再ブレイク!人も野菜も何があるかわかりませんわ(笑)。
珍しいオレンジ色と、他のハクサイにはないシャキシャキとした食感は、ハクサイをサラダで食べるという新たな食習慣を提案できる、ハクサイ界の先駆者になりそうですね!

弁天丸ホウレンソウ弁天丸

軸の太さ、しなりやすさは生産者への思いやり軸の太さ、しなりやすさは生産者への思いやり

とれたての「弁天丸」を味わうポン太さん。↑とれたての「弁天丸」を味わうポン太さん。

「この弁天丸、振ってみてください」と、言われたままにやってみると、いつものホウレンソウと比べて、軸が太くしなりがあることに気付きました。この特長にはとても意味があるんです。ホウレンソウの栽培で一番大変なのが収穫。軸がポキポキ折れてしまうとすごく時間がかかり、束にして出荷する時もやりにくい。そういう生産者の声に応えるために、ブリーダーさんが研究を重ねられたそうです。さすが、目の着け所がちゃいますね!

軸が太い分、葉肉が厚いのも「弁天丸」の特長。この葉には、目の健康によいとされる「ルテイン」という成分があるらしく、機能性にも申し分なし!葉軸部分を食べてみたら、めちゃくちゃ甘くておいしい!アクもえぐみもない。糖度で言うと、10度ぐらいあるように思いました。「ポン太ホウレンソウ」としてデビューさせてみたいですわ(笑)。

紅法師赤ミズナ紅法師

お酢をかけたら色鮮やかに!食卓を華やかにする次世代野菜お酢をかけたら色鮮やかに!食卓を華やかにする次世代野菜

特別な食卓の演出に使いたい「紅法師」。↑特別な食卓の演出に使いたい「紅法師」。

紫色をしている珍しいミズナは「紅法師」という品種で、「オレンジクイン」同様に店で仕入れていた時期がありました。正直言うと、売れ行きは厳しかったですね…。どうも主婦の方は使いにくいと思われたようで。「鍋に入れていいのかわかれへん」「冬はサラダもそないせえへんし」「それやったらいつものミズナでいいか」という具合に。しかし、この紫色は「アントシアニン」という機能性成分であること、湯がく時や浅漬けをする時に「お酢」を加えると、色ぬけしにくく明るい紫色になることを知っていたら、売り方が変わったかもしれません。このことは、八百屋全員に言った方がいいです。僕も知り合いの八百屋に伝えます!

食卓が華やぐような野菜があると旦那さんは喜ぶと思うんです。「お、今日はどないしたんや」と嬉しくなるんちゃうかな。野菜って、何かきっかけがあればパーッと売れる。ほんま芸人と一緒ですわ。機能性もあって、色もよくていいミズナやと思うんで、その時が必ず訪れると信じています。

ロマリアロメインレタスロマリア

歯ごたえバツグン!鍋や漬物にも使える万能さ歯ごたえバツグン!鍋や漬物にも使える万能さ

最近取り扱いが増えてきたというロメインレタス。 使い勝手のよさが魅力という。↑最近取り扱いが増えてきたというロメインレタス。 使い勝手のよさが魅力という。

八百屋にとっても「ロマリア」(ロメインレタス)は、ごっついマニアックなレタスやったんです。だから、キユーピーさんのCMで使われているのが意外でした。でも、加工業務が増えている今、普通の玉レタスに比べて、肉質が固めで葉っぱも1枚ずつ同じピースで使えるロメインレタスの方が歩どまりよく、徐々に普及されているのも納得がいきます。

歯ごたえがあってシャキシャキしているから、サラダはもちろん、流行りのレタス鍋にもってこいですね。浅漬けとかにもいけるやろし、使い勝手がよさそう。食べた人の9割が「また食べたい」と思うらしいですから、これは売っていかないといけませんね!(笑)

「紅法師」と同様に、家庭で使うにはまだなじみのない品種だと思いますが、葉は甘みがあっておいしい。普通の玉レタスと比べて、栄養価も繊維質も豊富と言いますから、きちんと説明したら絶対売れます!葉をお皿代わりにして、ドレッシングとクルトンをかける食べ方なんてシャレてますし、「じゃあ一回ロマリア食べてみよか」ってなりますね。

レポートを終えてレポートを終えて

以前にも、タキイ研究農場に来させてもらったことがありますが、広い敷地にたくさんの野菜が育てられている景色は野菜好きにはたまりません!最近、僕自身が野菜を「売る」だけでなく、「作る」ようになったこともあり、売り手・作り手両方の立場で話を伺うことができました。それぞれの野菜に込められた想いを聞くと、もっと広めたい、伝えていきたいって思いますね。僕は「ロマリア」を作ってみたくなりました!

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