鈴木光一のズバリご指南〜人の集まる魅力の売り場づくり〜鈴木光一のズバリご指南〜人の集まる魅力の売り場づくり〜

鈴木農場・伊東種苗店 店主
鈴木 光一(すずき こういち)

鈴木農場・伊東種苗店 店主 鈴木 光一

私は、福島県郡山市で現在まで30年間、野菜の直売所を経営してきました。また、縁あって平成8年より種苗店も兼営することになり直売所とタネ屋の両面から農業を考えるようになりました。日本農業が進む方向性のひとつは、本当にお客さまが欲しいと思える「価値のある商品づくり」をしていくことだと感じています。そのためにも、野菜の品種選びをしっかり行いましょう。

本誌『タキイ最前線』2017年春号よりスタートの新連載「鈴木光一のタキイ品種レビュー」。種苗店、農園、マルシェを経営する筆者に「直売で売れる」タキイ品種をご紹介いただいています。ここでは本誌では紹介しきれなかった、筆者の考える「商品価値を高める」ための野菜作り、販売のポイントなどを公開します。

2019春種号連載記事はこちらから

2020/02/20掲載

最終回SNSで発信すること、
つながることの大切さ

農業者にとって自分の農産物に合ったお客様に出会うことはとても大事なことです。そのためには、自分の農産物の特徴をしっかり把握して、それを伝えていくことが大切です。

その伝え方で最近注目しているのがSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)です。フェイスブックインスタグラムツイッターなどを利用しての発信です。自分の商品の特徴や価値。こだわ り、物語、農業への考え方まで多くの方に瞬時に伝えることが可能だからです。

「鈴木農場/伊東種苗店」のインスタグラム。4代目鈴木智哉さんが就農以来積極的に力を入れ発信している
「鈴木農場/伊東種苗店」のインスタグラム。4代目鈴木智哉さんが就農以来積極的に力を入れ発信している

ハッシュタグが決め手

わが農場でできた旬の野菜をタイムリーにアップして、野菜の特徴、魅力、旬の大切さや農場の思いをコメントしていきます。

ハッシュタグをつけたキーワードを置くことで拡散力も高まり、より多くの方々に伝えることが可能になります。

SNSサイト特有のハッシュタグとは?
ハッシュタグ

ハッシュタグとはインスタグラムなどSNS上でユーザーが探し出しやすいように、投稿の内容を表すさまざまなキーワードの頭に「#」(半角ハッシュ記号)をつけ、最後に半角スペース(アキ)を入れて、本文の後に入れ込むことで検索されやすくする仕組みです。
インスタグラムでは2011年にハッシュタグを導入し、これによってユーザーにとって写真検索が容易になり、また特定の興味を持つ人にフォローしてほしいと思っているユーザーにとっては、関連キーワードにハッシュタグをつけて置くだけで、目的の人にたどり着いてもらえるのです。

鈴木農場のインスタグラム。スマートフォンでの表示画面(左)とPCでの表示画面(右)。投稿文(インスタグラムではキャプションと呼ぶ)の最後にはハッシュタグ(#)がついたキーワードが置かれている。この投稿では、地域名のほか「やさい」「直売所」「農家」などのキーワードが並んでいる。
鈴木農場のインスタグラム。スマートフォンでの表示画面(左)とPCでの表示画面(右)。投稿文(インスタグラムではキャプションと呼ぶ)の最後にはハッシュタグ(#)がついたキーワードが置かれている。この投稿では、地域名のほか「やさい」「直売所」「農家」などのキーワードが並んでいる。

写真はフォトジェニックなものを投稿すべし

さらに大切なことは、写真のクオリティです。より「映える」画像を載せることがアクセスしていただくポイントです。興味をもっていただく写真をしっかりアップしていくことを心掛けています。

写真はフォトジェニックなものを投稿すべし

欲しいターゲットに確実に伝える

インスタグラムでは、見てくださっている人の数、年齢層、性別、地域性などがわかります。こちらで見ていただきたいターゲットに合っているかなども判断できるのです。私のところでは、20 代後半から 50 代の女性の層に見ていただきたいのですが、しっかりとその方々に見ていただいていることがわかりました。

またフォロワーには、女性の消費者層だけでなく、農家の方々や家庭菜園愛好者の方々、そしてシェフの方々にも見ていただいているようです。

インスタグラム・インサイトでフォロワー分析!!

インスタグラム・インサイト
インスタグラムではフォロワーの年齢、男女比、性別、地域などを分析できます。ただし、そのためにはインスタグラムのアカウントをビジネスアカウントに変更する必要があります。 その上でインサイトというツールを使うことで詳細に分析できます。これを使えばフォロワーの属性やアクセスした時間帯、位置情報だけでなく、どの投稿がどういう人たちに受けたのかわかるのです。ちなみにスマートフォンのアプリ上でのみで活用できるものでPC上では利用できません。
(右の写真3点はインサイトの分析例/インスタグラムのプレスリリースより http://ja.newsroom.fb.com/news/2016/08/instagram_businesstool/

リアルタイムに消費者とコミュニケーション

コメントには、アップされた野菜を、「店で使いたい」「食べ方を知りたい」「家庭菜園をつくってみたい」などすぐ反応が返ってきます。コメントもとても興味深く、多くの方とつながることの大切さを実感できています。

また、わが家の直売所に遠くから来店いただいたり、定期的に野菜を購入していただいたり、イベントで使っていただいたりしています。私たちが意図している、野菜に興味をもっている新しい層のお客さまと結びつくことができました。

インスタグラムの発信から、多くの新しいお客さまと出会い、つながることができたことは、農業をやっていての自信につながっていますし、将来への可能性を実感できています。

また、種苗店を併設しているわが家では、全国の同じような考えをもっている直売農家さんや、家庭菜園愛好者のみなさんとつながることもできたことは将来に向けての励みになっています。

発信の大切さと可能性をSNSを通して見つけ出すことができました。また、発信するに当たってあらためて自分の商品の価値を見いだしていくことの重要性を認識できました。広いマーケットでの販売を可能にするSNS、これからも活用していきたいです。

投稿に対してフォロワーから食べ方の質問などさまざまなコメントが寄せられ、それに応えていけば消費者とより深くつながっていくことができる。
投稿に対してフォロワーから食べ方の質問などさまざまなコメントが寄せられ、それに応えていけば消費者とより深くつながっていくことができる。

鈴木農場・伊東種苗店のインスタグラムとフェイスブック

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