
品種ピックアップ
2026/7/21掲載

品種ピックアップ
2026/7/21掲載

キャベツの播種〜定植〜外葉発育期に当たる8〜11月の直近5年間の平均気温が、30年前と比較し約1.2℃上昇しているキャベツ産地もあるといいます。気候変動による温度上昇が影響し、外葉が過剰に生育しやすくなったことで、特に青果用のダンボール出荷を主とする良質系キャベツの過剰肥大による大玉化が問題となっています。
一方、近年気温の底となる時期の平均気温は、30年前とほぼ同じか下回る傾向にあるため、年内にやわらかく仕上がった葉が寒さ傷みを起こしやすい環境になっているといえます。
また、春先の急激な気温上昇による抽苔で球色の色褪せなどの品質低下が起き、さらに播種時期が遅く発病のリスクが低かった良質系キャベツでも、温暖化と長年の連作により年内どりを中心に黒腐病の発生が問題になります。
このような状況の中、「過剰肥大しにくく箱詰めしやすい」「葉肉が厚く耐寒性にすぐれる」「3月どりでも品質低下しない晩抽性を有する」「黒腐病に耐病性を有する」特性をもち合わせた良質系キャベツを目標に育成を進めてきました。そして太平洋沿岸の複数の秋冬キャベツ産地での数年間の試作結果から、目標とした品種特性が産地に貢献できると判断し、このたび「結岬(ゆいみさき)」として新発表することとなりました。
タキイ研究農場 城田 良裕
適期栽培では定植後90日前後が収穫適期で、1〜2月の平均気温が5℃以上となる暖地の12月下旬〜3月中旬出荷に適します。
草勢は中位で玉しまりがよいため過剰肥大しにくく、青果用のダンボール出荷に適するサイズと甲高形状によくそろい、箱詰め作業も容易です。
低水分な肉質と肉厚性で寒さ傷みしにくいことと、良質キャベツとしての食味のよさを両立させています。従来の「岬」シリーズよりも耐寒性にすぐれます。
球内の花芽やわき芽の発生が遅いため、暖地の3月どりまで品質低下が起きにくく鮮やかな濃緑色を維持します。
芯が短く可食部が多いため、加工歩どまりが高いことも特徴です。
キャベツの難防除病害の一つである黒腐病に対し、良質系品種の中では有意な耐病性を示します。
そのため、当病害が問題になりやすい年内どりの作付けにも適します。また、萎黄病に対しても、耐病性をもちます。

従来の「岬」シリーズに比べ、草勢はおとなしい品種です。定植後の活着〜外葉生育をスムーズに進める目的で適切な元肥の施用、潅水に努めます。また、追肥も早めに行い、生育後半まで安定した肥効を保ちます。
砂質土壌など肥効の抜けやすい圃場では1回当たりの追肥量を減らし、その分回数を多く施用することで肥効を維持します。
中間・暖地でも1〜2月の平均気温が5℃を下回るような地域では寒さ傷みのリスクを避けるため、遅くても1月上旬までに収穫しましょう。また作型表から大きく外れた暖地の遅まき早春どりでは、葉数不足により肥大が鈍るので避けてください。適期表をよく確認いただき、適期播種、適期定植を励行しましょう。
本種は茎が短いため特に菌核病など腐敗性病害の発生に注意し、生育初期から各種腐敗性の病害に対して効果のある薬剤の予防散布を行いましょう。
また本種は黒腐病の耐病性を有しますが、生育状況や菌密度の高い圃場では罹病するケースも見られるため、べと病、根こぶ病と共に適切な防除に努めましょう。
肥沃地では「浜岬」、土質が重い土壌及び砂質土壌では肥大が安定する「星岬SP」が適します。
近年、温暖化の影響で当作型は黒腐病のリスクが高まっております。当病害の発生が懸念される場合は、黒腐病の耐病性をもつ「結岬」の12月どりをおすすめします。
温暖で品質重視の地域では「恋岬SP」「輝岬」が適しますが、寒さ傷みが問題になる地域では「潮岬」や「結岬」を使用します。
「潮岬」で過剰肥大による8玉率の低下もしくは菌核病の発生が懸念される場合は、玉しまりがよく過剰肥大しにくい「結岬」への作付変更が推奨されます。
晩抽性にすぐれる「春のかほりS P」が幅広く使用されています。
一方で、春先の急激な温度上昇で過剰肥大による8玉率の低下が懸念される場合は、3月上中旬どりで「結岬」を使用することで良品質キャベツの連続出荷が期待できます。
最前線WEBでご紹介している内容は、記事掲載当時のものであり、現在のものではありません。また、記事中の商品、価格、農林水産省品種登録状況、および農薬等の記述は、その後、更新されている場合があります。農薬については登録内容をご確認のうえ、ご使用ください。



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