
品種ピックアップ
2026/7/21掲載

品種ピックアップ
2026/7/21掲載

カブの歴史は古く、日本でもっとも古い野菜のひとつといわれています。そのため地方品種が多く発達し、古くから各地の食文化に根付き親しまれてきました。特に関東地域で発達した金町系小カブは各作型に適する品種改良がなされ、現在関東中心に周年生産されています。
しかし近年の天候不順により冬春どり栽培においても極端な暖冬や厳冬、乾燥などによる裂根や玉形状の乱れ、凍害による茎葉の傷み、白さび病や根こぶ病といった病気の発生により品質の低下が問題となってきています。
また束ね出荷が主体となる小カブでは調製作業のしやすさや結束時の見た目が美しい品種が求められています。
そのような問題に対処すべく、弊社小カブの割れにくい特長を維持しながら低温期でも肥大が安定し、茎葉結束の作業性がよく、根こぶ病、白さび病に強い品種を目標に育成を行い、今回「ふゆばな」を発表することとなりました。
各地でご愛顧いただいている夏秋どり種「なつばな」と一緒に使っていただくことで周年栽培が可能ですので、ご検討をよろしくお願いします。
タキイ茨城研究農場 辻田 卓
葉色は濃緑、厳寒期での葉軸が傷みにくく表皮の剥離が少ないのが特長です。草姿は立性で葉のまとまりがよく、葉軸もしっかりして折れにくいため収穫、出荷調製時の作業性にすぐれます。
玉は割れにくく、白くつやがあり厚みのある扁円形状で尻まとまりがよいのが特長です。冬期栽培時でも肥大性にすぐれ乾燥条件下においても直根が太くなり過ぎず形状が安定します。また収穫が遅れても横に肥大しにくいため、出荷規格内に収まりやすく在圃性にもすぐれます。
小カブ生産で問題となる根こぶ病・白さび病の耐病性をもち栽培が容易です。
肉質はやわらかく緻密で甘みがあり食味にすぐれます。

生産地では暖冬による生育の乱れが原因で発生する裂根対策として減肥栽培もみられます。一方で、肥効不足により茎葉が維持できず寒さで傷み調製作業に手間を要する事例も聞かれます。
「ふゆばな」は肥料に比較的鈍感な性質をもっており、厳寒期栽培においては適正な肥培管理ができると同時に肥沃な圃場でも特性を発揮します。また、秋まきや春まきなど適温期は、冬期より施肥量を少なめにして茎葉の過剰生育を抑えることで玉形状が安定し秀品率を高めることができます。
立冬から春どりに適した品種であるため、むやみな高温期での播種や収穫が盛夏となる時期の播種は長玉の発生など形状の乱れにつながります。適切な播種期での栽培を心掛けましょう。
本品種はハウスやビニールトンネルでの栽培が主体となりますが、厳寒期は不織布などの保温資材を用いた二重トンネルやベタがけ被覆を追加するなど、適切な防寒管理を行ってください。
また、ハウス栽培はトンネル栽培に比べて密閉度が高いため茎葉がやわらかくなりやすくなります。夜間にハウス内の空気が淀んだ状態では放射冷却による凍害を受けやすくなるため、状況に応じて適度な換気や可能な範囲で循環扇を用いるなど空気の流れを作ることで茎葉の傷みを軽減することができます。

■品種:ふゆばな
小カブは発芽ぞろえが秀品率に大きく影響します。初期生育がゆっくりしていますので、根がしっかり張るまでは特に土壌水分の管理に気をつけてください。
冬期、乾燥が厳しい地域や圃場の条件で乾いている場合は、整地を行う前に水を入れ、適湿な状態で整地することをおすすめします。肥大期以降も、極端な乾燥や過湿条件になると品質低下を招きますので畑は適湿を保つように心がけましょう。
虫害は「コナガ」「キスジノミハムシ」などが問題となります。「ワリフ」や「サンサンネット」で被覆し、外部からの害虫侵入を防ぐのが効果的です。また冬期は「アブラムシ」が越冬のためトンネル内に侵入することがあります。播種前に殺虫粒剤の土壌混和や早めの薬剤散布でより効果を高めることができます。
耐病性を有する品種ではありますが、べと病などの茎葉病害や多くの種類が存在する根こぶ病は菌の種類や密度によっては罹病する場合があります。栽培前の土壌消毒や輪作などの土壌改善策、早めの薬剤防除を組み合わせた総合的防除を行いましょう。


「ふゆばな」は肥大がよく、形状が安定し直根の肥大がなく玉姿がきれい。また、凍害による葉軸の傷みや表皮の剥離が少ない。
最前線WEBでご紹介している内容は、記事掲載当時のものであり、現在のものではありません。また、記事中の商品、価格、農林水産省品種登録状況、および農薬等の記述は、その後、更新されている場合があります。農薬については登録内容をご確認のうえ、ご使用ください。



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