品種ピックアップ

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2022/7/20掲載

タキイ育成

リーフレタス「フレアルージュ®
農林水産省品種登録出願中(品種名:TLE579)

鮮やかな赤色で耐病性にすぐれる
極晩抽レッドリーフレタス

「フレアルージュ®」の特長
  • 葉先の濃赤色と株元の鮮緑色のコントラストが美しい
  • 晩抽性にすぐれる
  • 各種の地上部病害に強い

レタスはサラダや料理の添え物には欠かすことのできない存在で、中でもレッドリーフレタスは食卓を鮮やかに彩る食材です。一方でレタスの作柄は気候の影響を受けやすく、近年の異常気象の影響で不安定な状況が続いています。
また、レッドリーフは天候によって葉先の赤色着色が左右されやすく、曇天や弱日照環境が続く場合には色付きの悪いものが出荷され、しばしば品質の低下が問題となります。そのため、栽培容易で各種の病害や生理障害に強く、高品質出荷が可能な品種に対する要望が高まっておりました。
そこで高温期を中心に幅広い作型で求められる耐病性、晩抽性、耐生理障害特性を兼ね備えたレッドリーフ品種を目標として育成を進め、今回「フレアルージュ」として発表することとなりました。
「フレアルージュ」は葉先の赤色と株元の緑色が鮮やかでコントラストが美しい極晩抽種で、「温度移行期のさび症、肋部アントシアン着色発生が少ない」、「根腐病レース1・2複合耐病性で各種の地上部病害に強い」、「草姿立性、肉厚でしなやかな葉質をもち、収穫時の箱詰め作業が容易」などの特長があります。こうした特長を生かした栽培を行うことで、高温期を中心に幅広い作型で高品質なレッドリーフを安定出荷することができます。

タキイ熊本研究農場 喜多村 直人

品種特性

色鮮やかで高品質

葉先の赤色は鮮やかで濃く、株元の鮮緑色とのコントラストが美しい品種です。抽苔は夏秋どりレッドリーフの中で最も遅い部類に属し、高温期でも抽苔の心配が少なく安心して栽培できます。さらに、春〜初夏どりや秋〜初冬どりなどの急激に気温が変化する温度移行期で問題になりやすい葉柄基部の亀裂褐変(さび症)や、肋部アントシアン着色の発生が少ないので、高品質なレッドリーフを安定して出荷できます。

耐病性にすぐれ、栽培容易

レタス根腐病レース1・2に複合耐病性です。草姿立性で株元からの病害発生が少なく、斑点細菌病をはじめとする各種の地上部病害にも強いので、病害発生が問題になりやすい雨の多い作型でも栽培容易です。

収穫、出荷作業が容易

株張りはややおとなしめで過剰に生育しにくく、形状が安定します。また、肋がねじれにくく、肉厚でしなやかな葉質なので葉折れの心配が少なく、収穫時の箱詰め作業が容易です。

葉先は鮮やかな農赤色で鮮緑色の株元とのコントラストが美しい。「フレアルージュ」は晩中生にすぐれ、高温期を中心に幅広い作型に適する。

葉先は鮮やかな濃赤色で鮮緑色の株元とのコントラストが美しい。「フレアルージュ」は晩中性にすぐれ、高温期を中心に幅広い作型に適する。

栽培ポイント

高温播種時に注意!

レタス類の発芽適温は15〜20 ℃で、25℃を超える高温条件では休眠により発芽が極端に抑制されます。とくに夏場は高温条件の休眠により発芽不良が発生しやすい時期なので、播種後1日半程度は発芽庫で適温に管理して発芽を均一にそろえることが重要です。そうした設備がなく、高温時に播種を行う必要がある場合には、直射日光の当たらない軒下などの涼しく風通しのよい場所で発芽を待ちます。発芽後は日当たりと風通しがよい、雨の当たらない場所で育苗を行います。

①生育をスムーズに

やや草丈の短い品種なので、生育を順調に進めることが大切です。初期から生育を旺盛に進めるために、元肥主体で速効性の肥料を施します。若苗で定植を行い、定植後の潅水により活着を促進します。干ばつ時は早めに潅水して生育が停滞しないように管理します。

②作型を守り、適期栽培に努める

高温期の比較的降雨が多く、生育が旺盛になりやすい作型で能力を発揮する品種です。低温期には生育が緩慢になりやすいため、適期栽培を心掛けてください。

③生理障害対策、病害防除

適期の整地と干ばつ時の早めの潅水で圃場を適湿に保ちます。干ばつや長雨などでチップバーンの発生が懸念される場合はカルシウム剤の葉面散布を行います。
諸病害には強く、栽培容易ですが、灰色かび病、菌核病、軟腐病などの防除は生育初期から登録農薬で早期防除を行うことが大切です。風雨で葉が傷んだ場合にも、速やかに薬剤散布を行い、病害の発生を予防します。

高品質生産をねらう!品種選定のポイント

天候の条件により品質が不安定になりやすいレッドリーフレタスの生産において、適切な品種選定は高品質生産を行うための大切なポイントになります。「フレアルージュ」、「サマールージュ」、「レッドファルダー」を作型や栽培条件に応じて使い分けていただくことで、幅広い作型で高品質生産が可能となります。

「フレアルージュ」

気温が高く雨の多い作型は病害発生が多く、特に品質低下が問題になりやすい作型です。このような作型では、葉が肉厚で耐病性にすぐれ、葉先の赤色が鮮やかで濃い「フレアルージュ」が適します。また根腐病レース1 • 2 の発生が懸念される圃場でも安心して栽培できます。

適作型

「サマールージュ」農林水産省登録品種(品種名:TLE416)

酎暑性にすぐれ草勢が旺盛で芯葉伸びがよく、早生性と晩抽性を併せもつ品種です。「フレアルージュ」同様に葉先の赤色は鮮やかで品質のよいレッドリーフレタスが出荷できます。特に高温期にボリュームを求める栽培に適します。

適作型

「レッドファルダー」

葉先の赤色着色とボリュームのバランスがよく、適温期〜低温期に高品質出荷を求める場合に適します。抽苔は早いため、播種時期に注意が必要です。

適作型