タキイ交配 ホウレンソウ 冬ごのみ

おいしいホウレンソウの新定番!

2018/07/20掲載

タキイ長沼研究農場 神田 拓也栄養を豊富に含み、緑黄色野菜の王様といわれているホウレンソウ。寒さにあたると糖度や栄養価が増すため、冬の定番野菜として人気です。一方で食味の観点では、食べた後に口に残る渋み(アク)が苦手と感じる方もおられます。この度、発表した「冬ごのみ」は、誰が食べてもおいしいと思えるように、食味(アクの少なさ、高糖度)にこだわり、消費者ニーズを意識して育成した品種です。葉形は、日本在来の東洋種に似た、欠刻が深く入る剣葉形で、通常のホウレンソウと一線を画します。特に、近年増加している農産物直売所では、「おいしさ」「差別化できる外観形質」が求められており、その両方を兼ね備えた品種としておすすめです。ファイトリッチシリーズの「弁天丸」とともに、おいしさの新定番品種として皆様の豊かな食卓に貢献できれば幸いです。

冬ごのみ適期表

品種特性

1食味がよい秋冬どり種

ホウレンソウ特有のアクが極めて少なく、くせのない食味が特長です。特に秋まき栽培では、気温の低下にともない葉柄の糖度が増大するため、おいしさ抜群です。


↑冬の寒さにあたると絶品のおいしさに!

2特徴ある葉形

葉は切れ込みの深い剣葉形で、日本在来の東洋種に似た外観形質をもっていますが、種子は針ダネではなくまきやすい丸ダネです。

3べと病に強い

べと病レース1〜10、15に抵抗性をもちます。

4株張りがよく、収穫調製作業が容易

葉数が多く、葉柄はしなやかで折れにくいため、株張り・作業性もよい品種です。

栽培ポイント

播種

発芽がきれいにそろうポイントは、発芽まで適湿を保つことと地温を確保することです。圃場が乾燥している場合はあらかじめ潅水を行ってから整地をしましょう。また、乾きムラが出ないようできるだけ凸凹のない播種床をつくり、播種後は均一に覆土・沈圧をします。播種後の潅水は表面に水が浮かない程度に十分行い、表面が乾くようであれば適宜潅水し、発芽まで適湿を保ちます。
また、地温が低い秋〜冬まきでは播種後トンネルや不織布のベタがけなどで地温を確保します。

適切な肥培管理

見た目がおいしそうで、色つやのあるホウレンソウを収穫するために、適切な肥培管理で生育後半の肥切れを防ぎましょう。年内収穫の場合、10a当たりチッソ成分で20kg、生育期間の長い1〜2月どりでは25kgを目安に施します。地力の低い圃場では、本葉4枚展開したころに10a当たりチッソ成分で3kg程度の速効性化成肥料を条間に追肥し、生育を順調に進めましょう。

収穫

ホウレンソウの適期収穫は25cm前後です。収穫遅れになることが多いので、一度にたくさんまかず必要分だけ時期をずらしてまく「段まき」をすると安定して収穫ができます。