品種ピックアップ

品種ピックアップ

2022/2/21掲載

一代交配
スイートコーン「ほしつぶコーン」(品種名:Y-61)
高糖度で倒伏に強い、中早生の極良質イエロー種!

「ほしつぶコーン」の特長
  • 発芽ぞろいがよく、初期生育にすぐれる
  • 根張りがよいため倒伏に強い
  • 高糖度かつ、しなびにくい

日本のスイートコーン育種では消費者の嗜好に応えるため、より甘く、よりやわらかくと、食味に重点を置いた改良が進められてきました。そのため現在の主要品種は、食味に関しては高い評価を得ているものがほとんどです。
しかし、食味の高品質化が進む一方で、種子の充実具合の低下による発芽の悪さや初期生育の弱勢化、また、近年の極端な気象現象による粒のしなびや倒伏リスクの増加などの栽培上の問題が、取り組むべき課題としてクローズアップされつつあります。
このような昨今の状況に対応すべく、タキイ種苗ではこれまで培ってきた高品質性をできる限り維持したうえで、従来よりも粒がしなびにくく、安定した発芽力と頑丈な樹姿で栽培性にすぐれる品種の選抜を進めてまいりました。北海道を中心とした主要産地における数年の試作の成果を、この度「ほしつぶコーン」として発表いたします。

タキイ研究農場 瀬野 晃好

品種特性

「ほしつぶコーン」は良好な食味と高い栽培性を併せもった品種です。コクのある甘さをもつ大きな深い粒は、現行品種にはない耐しなび性があります。また、耐倒伏性にすぐれる頑丈な樹姿で、安心して栽培に取り組めます。

倒伏に強く栽培容易

草丈は170cm程度で主稈が太く、草勢は強め。二次根の発達が旺盛で根張りがよいため倒伏に強く、栽培性は良好です。

「ほしつぶコーン」の草丈は170p程度で主稈(茎)も太い。

「ほしつぶコーン」の草丈は170p程度で主稈(茎)も太い。

粒がしなびにくく、店もちがよい

本種は甘みだけではなく、コーン特有の風味とコクをもった食味が特長です。粒皮は光沢があり、やわらかく極良質でありながらも、しなびにくく店もちにすぐれます。

大きな粒は高糖度かつ、従来品種に比べしなびに強い。

大きな粒は高糖度かつ、従来品種に比べしなびに強い。

ボリュームのある穂

穂重は苞葉付きで420g程度。穂形は砲弾型でボリュームがあります。穂先までよく着粒し、苞葉は濃緑で見ばえがよくかぶりも良好です。

良好な初期生育

極良質系スイートコーンの中でも発芽ぞろいがよく、初期生育が旺盛なため栽培が安定します。

適応幅の広い85日型中早生種

熟期は適応幅の広い中早生。中間地のマルチ栽培では、播種後約85日で収穫できます。

適作型

マルチ栽培・露地栽培

暖地は4月上旬〜5月上旬まき、中間地は4月中旬〜5月中旬まき、冷涼地は5月上旬〜6月上旬まきでのマルチ栽培・露地栽培に最適です。そのほか、露地抑制栽培も可能ですが、本種は中早生種なので、販売を目的とする場合には「おひさまコーン88」の方が適しています。

トンネル栽培

暖地の3月上旬〜4月上旬まき、中間地の3月中旬〜4月中旬まきに適しますが、花芽分化期が極端な低温に当たるような早まきは極力避けるようにします。

播種後約85日で収穫できる中早生種「ほしつぶコーン」。

播種後約85日で収穫できる中早生種「ほしつぶコーン」。

適作型

栽培ポイント

土づくりと元肥

根張りをよくするために堆肥などの有機質を多用し、保水・排水性のよい土づくりに努めます。元肥は、10a当たりのチッソ・リン酸・カリの成分量でそれぞれ20〜25sを目安とします。

播種と間引き

地温の低い時期の早まき栽培では、トンネルとマルチを早めに張っておき、最低地温14℃以上を確保のうえ播種を行います。深さ3p前後で播種し、欠株を防ぐため1穴に3〜4粒まきとします。本葉3〜4枚のときにハサミで株元から切り取り、間引きを行ってください。
10a当たりの栽植株数は、4500株を基準とします。5月中旬以降の露地栽培や、冷涼地での栽培では草丈が高めになるので、いくぶん疎植の4000〜4300 株植えとします。

本葉3〜4枚、間引き適期のスイートコーン。

本葉3〜4枚、間引き適期のスイートコーン。

追肥

先づまりのよい大きな穂を収穫するには、出穂期までに草勢を強めていくことが大切です。追肥は、本葉6〜8枚ごろと雄穂出穂期の2回、それぞれ各成分量で10a当たり4〜5sを速効性肥料で施します。

潅水

潅水量は株の生育に合わせて徐々に増やしていきます。「ほしつぶコーン」は、1回目の追肥のころから生育速度が速くなるので、潅水量を多くします。雌穂開花期以降の乾燥は肥大不良と先端不稔につながるので、収穫までは乾燥させないように注意しましょう。

無除けつ栽培

無除けつ栽培を基本とします。分けつを残すことで葉面積が確保され増収が期待できるとともに、倒伏の防止と作業労力の軽減にもつながります。

分けつを残すことで根量が増えて葉面積が大きくなり、増収につながる。

分けつを残すことで根量が増えて葉面積が大きくなり、増収につながる。

適期収穫

品質のよさがセールスポイントとなるので、適期収穫を心掛けます。地域や作型により異なりますが、絹糸抽出後20〜25日ごろが収穫時期になります。
また、収穫後の品質を維持するためには、涼しい早朝に収穫・箱詰めし、予冷後に出荷するようにしましょう。

生育初期の温度管理

春先が寒かったり、遅霜があったりした年は、先端不稔が発生する場合があります。これは、雄穂・雌穂が分化する本葉4〜6枚時の極端なストレス(遅霜、低温/高温、乾燥/過湿、日照不足など)が原因といわれています。対策としては、無理な早まきを避け、保温資材の活用、こまめなトンネルの換気、午後からの潅水を控えるなどの耕種的方法で対処します。

スイートコーンの先端部分に実が付かない先端不稔(写真)。雄穂・雌穂が分化するころに極端なストレスが加えられと発生する。

スイートコーンの先端部分に実が付かない先端不稔(写真)。雄穂・雌穂が分化するころに極端なストレスが加えられと発生する。

スイートコーン特性比較

「ほしつぶコーン」はトンネル栽培から露地栽培まで幅広く対応できる、85日タイプの中早生種。高糖度で甘みが強い。

「ほしつぶコーン」はトンネル栽培から露地栽培まで幅広く対応できる、85日タイプの中早生種。高糖度で甘みが強い。

「キャンベラ86」は甘みの強い良質のイエロー種。熟期は中早生。中間地のマルチ栽培では播種後86日程度で収穫できる。

「キャンベラ86」は甘みの強い良質のイエロー種。熟期は中早生。中間地のマルチ栽培では播種後86日程度で収穫できる。

「おひさまコーン88」は糖度の高い極良質イエロー種。熟期は中生。中間地のマルチ栽培では、播種後88日程度で収穫できる。

「おひさまコーン88」は糖度の高い極良質イエロー種。熟期は中生。中間地のマルチ栽培では、播種後88日程度で収穫できる。

「カクテル84EX」はバイカラーの極良質強甘味種。熟期は中早生。中間地のマルチ栽培では、播種後84日程度で収穫できる。

「カクテル84EX」はバイカラーの極良質強甘味種。熟期は中早生。中間地のマルチ栽培では、播種後84日程度で収穫できる。