品種ピックアップ

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2022/7/20掲載

べと病と根腐病レース1・2・3 に複合耐病性!
幅広い作型で栽培容易なグリーンリーフレタスシリーズ

タキイ育成

リーフレタス「グリーンサンバ®
農林水産省品種登録出願中(品種名:TLE556)
晩抽性にすぐれ、高温期の栽培に適する

タキイ育成

リーフレタス「グリーンブーケ」
農林水産省品種登録出願中(品種名:TLE557)
生育旺盛で適温期低温期栽培に向く

グリーンリーフレタスはサラダだけでなく、料理の付け合わせやサンドイッチの具材など、さまざまな用途で重宝されています。近年ではチップバーンなどの生理障害に強い品種も増えてきましたが、複合耐病性をもち、幅広い作型で栽培容易な品種は少ないのが現状です。
近年、レタスの主要産地で大きな被害をもたらす病害として問題になっているのが、べと病です。冬どりや春どり作型の被覆栽培のように風通しが悪く、多湿になりやすい作型では特に対策が必要になります。また、高温期の栽培で問題となっているレタス根腐病はフザリウム菌による土壌病害で、非結球レタスではレース1・2・3が発生しています。さらに混在発生も問題となっていることから、複合耐病性品種に対する要望が高まっていました。
そこで、タキイではべと病と根腐病レース1・2・3複合耐病性をもつグリーンリーフレタスを育成してきました。このたび高温期を中心とした作型で栽培容易な「グリーンサンバ」、適温期〜低温期の幅広い作型に向き、株張りにすぐれる「グリーンブーケ」の2品種を発表いたします。

タキイ熊本研究農場 喜多村 直人

「グリーンサンバ」「グリーンブーケ」品種特性

べと病と根腐病レース1・2・3複合耐病性をもつ

幅広いレースのべと病とレタス根腐病レース1・2・3に複合耐病性です。また、これまでの試験栽培では、梅雨や秋雨の時期に発生しやすい斑点細菌病にも比較的強いという評価もいただいています。

安定した形状で、収穫・出荷作業が容易

葉質はしなやかで葉柄基部の幅が広く、肋がねじれにくいので、葉折れの心配が少なく、収穫時の箱詰め作業が容易です。

「グリーンサンバ」の特長、適作型

晩抽性にすぐれる

冷涼地の夏どりや、中間・暖地の春秋どりなど、高温期を中心とした幅広い作型に適します。抽苔は夏秋どりリーフレタス類の中で最も遅い部類に属し、高温期の栽培でも抽苔の心配が少なく安心して栽培ができます。

「グリーンサンバ」の適作型

最適作型は冷涼地の3月中旬〜8月上旬まき、中間地の8月まき、1月中旬〜3月上旬まき、暖地の8月中旬〜9月下旬まき、1月中旬〜3月上旬まきになります。

高温期を中心に幅広い作型に適する「グリーンサンバ」。

適作型

「グリーンブーケ」の特長と適作型

生育旺盛で幅広い作型に適する

適温期〜低温期の栽培となる冷涼地の春どりや、中間・暖地の秋冬どりに適します。株張りにすぐれ、葉枚数が多くて芯葉の伸びがよいためボリュームがあります。抽苔は比較的遅く、低温ストレスによるわき芽発生が少ないので幅広い作型で栽培可能です。

「グリーンブーケ」の適作型

最適作型は冷涼地の1月中旬〜4月上旬まき、7月下旬〜8月中旬まき、中間地の8月下旬〜9月上旬まき、10月下旬〜2月上旬まき、暖地の9月上旬〜2月上旬まきになります。

抽苔が比較的遅く、低温ストレスによるわき芽発生が少ない「グリーンブーケ」。

抽苔が比較的遅く、低温ストレスによるわき芽発生が少ない「グリーンブーケ」。

適作型

栽培ポイント

①高温期播種時の注意点

レタス類の発芽適温は15〜20 ℃で、25℃を超える高温条件では休眠により発芽が極端に抑制されます。
特に夏場は高温条件の休眠により発芽不良が発生しやすい時期なので、播種後1日半程度は発芽庫で適温に管理して発芽を均一にそろえることが重要です。そのような設備がなく、高温時に播種を行う必要がある場合には、直射日光の当たらない軒下などの涼しく風通しのよい場所に置いて発芽を待ちます。発芽後は日当たりと風通しがよい、雨の当たらない場所で育苗を行います。

②栽培管理のポイント

適期の整地と干ばつ時の早めの潅水で圃場を適湿に保ち、栽培期間を通じて生育をスムーズに進めることが大切です。生育を初期から旺盛に進めるためには、元肥主体で速効性の肥料を施します。若苗で定植し、定植後の潅水により活着を促進してください。
干ばつや長雨などでチップバーンの発生が懸念される場合には、カルシウム剤の葉面散布を行います。
病害発生を助長する多肥栽培は避け、軟腐病、灰色かび病、菌核病などの病害に対しては、生育初期から薬剤散布による早期防除を行うことが大切です。また、風雨で葉が傷んだ場合も、速やかに薬剤散布を行い、病害の発生を予防します。

良品生産のポイント

「グリーンサンバ」

高温期を中心とする幅広い作型に適しますが、特に抽苔が問題になりやすく、秋雨による斑点細菌病の発生が多い冷涼地の9月どりや、中間・暖地の10〜11月どりにおいて、晩抽性や斑点細菌病への強さを生かせます。

「グリーンサンバ」

「グリーンブーケ」

適温期〜低温期にかけて幅広い作型に適しますが、べと病の発生が問題になりやすく、温度上昇に伴い生育が旺盛になりやすい春どりで特に能力を発揮し、高品質生産が可能です。
低温期の栽培で凍霜害の発生が懸念される場合には、あらかじめトンネルやベタがけでの被覆管理を行います。冬〜厳寒期どりはトンネル被覆栽培が基本となり、平均気温10℃を目安に被覆を開始します(暖地ではおおむね12月上旬ごろになります)。日中は25℃を目安に、やや暖かめに管理して順調に生育させます。

「グリーンブーケ」

べと病には総合的対策を

レタスのべと病はレース分化が起こりやすいため、両品種のような耐病性品種を使用する場合でも、多湿環境を避け、登録農薬による早期防除を行ってください。

高温期向け品種の使い分け

「グリーンサンバ」

晩抽性にすぐれ、収穫、出荷作業も容易なので、高温期を中心に幅広い作型でおすすめです。根腐病レース1・2・3複合耐病性なので、発生圃場でも安心して栽培可能です。

「グリーンサンバ」

草姿立性で葉折れが少なく形状が安定する。

「グリーンブーケ」

濃緑で形状の乱れやチップバーンの発生が少ない品種です。特に気温が高く、雨が多い作型で能力を発揮します。

「グリーンブーケ」

葉はしなやかで収穫時の箱詰め作業が容易。