一代交配 ルビーコメット

生育が早く、そろいのよい濃紫のF1丸形ラディッシュ!

2020/07/20掲載

田中 寛

タキイ研究農場

田中 寛
(たなか ひろし)

ラディッシュ(紫丸二十日ダイコン)は栽培期間が短く、また小さなスペースで作れる野菜の一つです。赤丸タイプの「ニューコメット」の兄弟品種として、濃紫の一代交配種「ルビーコメット」を育成しました。料理の彩りとして、ベランダ菜園から直売所、市場出荷まで幅広く活用いただけます。

「ルビーコメット」適作型

最適播種期

冷涼地:5月まき、8月まき
中間地・暖地:4〜5月まき、9〜10月まき

「ルビーコメット」適期表

「ルビーコメット」適期表
ポイント

品種特性

1紫色で丸形の一代交配種

「ニューコメット」より草勢が強く、適期栽培においてはタネまき後25日で根径2cm程度になります。根部は美しい丸形でよくそろいます。根色は光沢のある濃い紫色で肉色は白い品種です。

2草勢旺盛で裂根が少なく作りやすい

「ニューコメット」より肥大がやや遅いですが、ス入りが遅く、裂根やくず根の発生が少ないため栽培が容易な品種です。

3品質がよい

肉質はみずみずしく歯切れがよいのでサラダや酢漬に向いています。

栽培のポイント

家庭菜園向け

栽培を成功させるためには、裂根や変形の原因となる乾燥に注意しましょう。
①プランター栽培:高温期の栽培では、特に土壌表面が乾きやすいので水分管理には十分注意します。受け皿などで底面潅水を行い、プランターの下部をしっかり保水して乾燥を防ぎましょう。
②露地栽培:小さなスペースにもまけるので、ホウレンソウの条間などすき間での栽培がおすすめです(アブラナ科以外の野菜の条間で作ると害虫の被害が少なく、葉陰になって土壌表面が乾きにくくなります)。

直売所や市場出荷向け

周年出荷のためには適切な栽培管理、資材利用が必要です。
①適切な栽培管理と適期収穫:ラディッシュの根域は狭いので極端な乾燥、過湿を繰り返すとス入り、裂根などの生理障害が発生します。良品生産のためには保水性、排水性のよい畑で栽培しましょう。タネまきは条間10cm程度に条まきし、本葉が展開するころに株間が5cm程度になるよう間引きます。その後、葉が込みあうまでに条間を1〜2回中耕すると根部の生育がよくなります。
②被覆資材の利用:周年出荷を行うためには厳寒期はハウスやトンネル内で「テクテクネオ」などのベタがけ資材を利用した栽培を行います。一方で酷暑期は「タキイホワイト」などの遮光資材を利用し、日中の気温、地温を下げる栽培を行います。さらに害虫の発生しやすい時期は「サンサンネット」を利用し、害虫の侵入を防ぎます。

「ニューコメット」と収穫時期をそろえるには

「ルビーコメット」は「ニューコメット」より肥大がやや遅い品種です。「ニューコメット」の播種を3〜5日遅らせたり、株間を狭める(3cm程度)ことで同じサイズで同時に収穫することが可能です。

「ニューコメット」 「ニューコメット」
「ルビーコメット」 「ルビーコメット」