
品種ピックアップ
2026/2/20掲載
中玉トマト「TYフルティカSC」
農林水産省品種登録出願中(品種名:TTM194)
海外持出禁止(公示(農水省HP)参照)

品種ピックアップ
2026/2/20掲載
中玉トマト「TYフルティカSC」
農林水産省品種登録出願中(品種名:TTM194)
海外持出禁止(公示(農水省HP)参照)

中玉トマトは近年、糖度の高さや食味のよさから安定した需要が見込まれ、「フルティカ」はその代表的な品種として高い人気を誇り、家庭菜園から業務用まで幅広く利用されています。一方で、近年の気温上昇に伴い施設園芸ではコナジラミ類の発生が増加しています。その結果、トマト黄化葉巻病の被害が全国的に広がりつつありトマト栽培における大きな課題となっています。
「フルティカ」は、濃厚な甘みと酸味のバランスにすぐれた良食味品種として長年親しまれてきましたが、トマト黄化葉巻病に対する耐病性をもたないため、発病リスクの高い地域では栽培が難しいという課題がありました。また、高温期には果実のヘタの周りが黄化する黄変果が発生し、外観品質の低下や、それに伴う廃棄率の増加も懸念されています。
こうした背景を受けて開発されたのが、新品種「TYフルティカSC」です。本品種は、トマト黄化葉巻病に対する耐病性を備え、これまで「フルティカ」の栽培が難しかった地域でも安定した生産が可能です。また、ショルダーグリーンのない均一な着色特性をもち、黄変が発生するリスクが低いため、高温環境下でも美しい果実品質を維持できます。
さらに「TYフルティカSC」は、草勢が安定しやすく裂果が少なく果実のそろいもよいため、長期栽培にも適しており、作りやすい品種です。もちろん、従来の「フルティカ」と同様に、食味のよさも健在です。気候変動に対応しながら、品質と収量の両立を実現する「TYフルティカSC」。ぜひ皆様の圃場でその実力をお確かめください。
タキイ研究農場 浦霜 聡一
「フルティカ」譲りの濃い甘みとほどよい酸味が調和した食味。消費者の嗜好に応える高品質な中玉トマトです。直売所や高級市場にも対応できる食味です。
トマト黄化葉巻病に対する耐病性を備えており、コナジラミの多発地域や発病リスクの高い地域でも安定した栽培が可能です。
高温環境下でもヘタ周りが黄化しにくく、夏季の高温期でも美しい外観を維持。果実品質が安定し、商品価値の向上とロス率低下につながります。
果実のサイズや形状が均一で、裂果の発生も少ないため、収穫・選果作業の効率化が期待できます。
草勢が初期から後半まで安定しており、長期収穫や抑制栽培にも適応。管理しやすく作りやすい品種です。
耐病性と耐黄変性を備えているため、これまで「フルティカ」の栽培が難しかった地域でも導入可能。幅広い作型に対応します。

「TYフルティカSC」はショルダーグリーンがなく、ヘタ周りも均一に色づきやすい。

定植初期は根の活着がスムーズに進むよう、適度な潅水と地温管理を行うことが重要です。特に低温期は根の伸長が鈍るため、地温確保と過湿回避に留意し、初期生育を安定させることが収量確保の鍵となります。
植物体内のカルシウム成分が不足すると新葉の奇形や成長点の異常が発生しやすくなります。本品種は比較的カルシウム欠乏に敏感な品種です。特に高温・乾燥条件下や土壌チッソが過剰の場合、カルシウム吸収が不安定になるため、こまめな潅水、石灰資材の施用や葉面散布などでカルシウム供給を安定させることが重要です。
草勢は比較的安定していますが、過繁茂になると果実の着色不良や病害のリスクが高まります。逆に草勢が低下すると花数減少や肥大不良などで減収の原因となります。摘葉や整枝、追肥を適切に行うことで、品質の向上と病害予防にもつながります。
高温期は水分ストレスによる裂果や品質低下が起こりやすくなります。特に果実肥大期には潅水量とタイミングを慎重に調整し、過湿・乾燥のどちらにも偏らないよう、根の健全な発達を促す管理が求められます。
トマト黄化葉巻病の耐病性は備えていますが、害虫の防除を怠ると食害や他のウイルス被害のリスクが増加します。防虫ネットの活用、定植初期からの防除資材の適切な使用により、害虫密度を常に低く保つことが重要です。
低温期や高温期は着果が不安定になりやすく、確実な着果を促すためには、ホルモン処理(トマトトーンなど)を適切な時期・濃度で行うことが重要です。また、マルハナバチなどの訪花昆虫を利用することで、自然受粉を助け、着果率の向上が期待できます。導入時はハチの活動環境(温度・湿度・農薬影響)にも配慮し、効果的に活用することが求められます。



2026年
春種特集号 vol.61

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秋種特集号 vol.60