そろい性がさらにアップ!耐病性と肥大性、晩抽性にすぐれ、早春どり可能な良質系「春のかほりSP(エスピー)」

2018/07/20掲載

春の訪れを告げる野菜として、3〜4月どりの良質系キャベツはスーパー、量販店にとってなくてはならない存在です。しかし、従来の良質系は葉質がやわらかいため、比較的温暖な暖地3月どりでは、腐敗性病害の発生や裂球による収量低下が大きな問題です。また晩抽性も十分でなく、遅まき早春どり栽培では必要な結球葉数が確保できないことが原因となる玉しまりの不良や、年によっては抽苔(ちゅうだい)が問題となります。今回新発表する「春のかほりSP」は腐敗性病害の発生が少なく、裂球も遅いため多収性にすぐれます。加えて晩抽で玉しまりのよい玉が収穫できるため、暖地の遅まき早春どり栽培の安定に貢献できる品種です。また近年のトレイ育苗の増加で、より高い苗のそろい性を種子品質上の目標としました。

早春どりの救世主「春のかほりSP」。

早春どりの救世主「春のかほりSP」。

「春のかほりSP」のここがすごい!

1菌核病に強く、多収性

上昇気温下での栽培となる早春どりでも、菌核(きんかく)病・灰色かび病などの腐敗性病害の発生が少なく、裂球も遅く圃場貯蔵性にすぐれます。晩抽性にもすぐれるため、暖地での遅まき早春どりが可能で栽培しやすい品種です。

2肥大・そろいにすぐれる

根張りと草勢が安定し、低温肥大性にすぐれます。草姿は中立性のため、そろいよく生育します。

3安定した品質

形状は甲高扁円、球色は鮮濃緑色で低温期のアントシアン色素の発生が少なく良質性にすぐれます。葉は適度な厚みで、歯切れがよく、生食用に最適です。

尻形状がよく、肉厚でみずみずしい。

尻形状がよく、肉厚でみずみずしい。

4萎黄(いおう)病耐病性

近年の温暖化により、9月まきでも発病が懸念される萎黄病に対し、耐病性をもちます。


特性を最大限に発揮するための栽培ポイント

1適期播種に努める

草勢が旺盛で良質な葉質をもつため、2月中旬以前の収穫では低温による傷みが発生する懸念があります。逆に4月中旬以降の収穫では玉しまりが不足する傾向があります。そのため、適期播種を心がけ、暖地2月下旬〜4月上旬収穫を目指します。

2肥培管理

栽培期間が長いため、元肥を控え、追肥型の管理を行い収穫期まで安定した肥効を保ちます。特に肥沃(ひよく)な圃場では外葉が過繁茂になりやすいので、施肥量を調整し、適切な外葉発育を心がけましょう。

3裁植密度

極端な密植栽培を避け、適切な条間・株間で栽培します。条間60cm、株間33〜35cmを標準に定植します。


病害の発生を未然に防ぐ

腐敗性病害には比較的強い品種ですが、通常の防除は不可欠です。特に、降雨の多い栽培条件下では菌核病・灰色かび病の発生が懸念されるため、生育の初期より適宜薬剤散布を行ない、病気の発生を未然に防除します。排水の悪い圃場では高畝にするなどの対策が必要です。気温が15〜20℃になる10〜11月ごろに株元より病害が侵入するので、この時期にしっかりと 薬液が行きわたるように薬剤散布することが予防防除のポイントです。土壌中の菌は条件によって複数年生存します。発病株を鋤き込むと被害が拡大するため、発病株は抜きとります。べと病の発生も懸念される作型なので、排水対策・予防的な薬剤散布を菌核病と同様に行ってください。過熱になると球表面にもベと病が発生しやすくなります。収穫遅れのないよう心掛けてください。

左「春のかほり」、右「他社品種」3月下旬神奈川県撮影。「春のかほり」は比較的菌核病の発生が少ない。

左「春のかほり」、右「他社品種」3月下旬神奈川県撮影。「春のかほり」は比較的菌核病の発生が少ない。