品種ピックアップ
2021/7/20掲載
品種ピックアップ
2021/7/20掲載
<後編>秋まきの曇天・集中豪雨に備えた過湿対策
近年、秋の長雨が常態化しており、秋冬野菜の作付けにも影響を及ぼしています。直根性のホウレンソウは元来過湿には弱く、ホウレンソウ産地では過湿害の発生が散見されています。今回は過湿害を回避し、栽培を安定させるための栽培ポイントをまとめましたので、これから秋冬作の準備を進めるにあたり参考にしてください。
タキイ茨城研究農場 林 宏信
ホウレンソウの過湿害は過湿条件下で根が傷み、根からの養分吸収が阻害されることで、枯死・黄化が発生します。
したがって、栽培では
@排水のよい圃場の準備
A健全な根張りの確保
まずはこの2点が過湿害回避に大切です。
圃場準備ではあらかじめサブソイラーなどで心土破砕を行い、土壌の物理性を改善しておきましょう。水はけの悪い圃場では高畝栽培とし、排水できるようにあらかじめ明渠などを設置しておきます。
また、健全な根張りを確保するために、計画的に完熟堆肥を施用し、有機質に富んだ通気性のよい土づくりを心掛けましょう。
過湿害が発生しやすい圃場ではあらかじめ酸素供給剤を施用しておくことも有効です。「オキソパワー5」は効果が約5カ月間持続するため、生育期間が長くなるホウレンソウの秋冬露地栽培に最適な酸素供給剤です。
長雨や豪雨による過湿害が心配される場合、まずは圃場に入れるようになりましたら、条間の中耕を行って土壌の通気性を改善することで、根傷みを防ぎ、発根できる条件を整えます。 その後はチッソ分を含んだ葉面散布剤を散布し、葉から養分を吸収させて回復を促します。過湿害のダメージが大きいと1回の散布では効果が出にくく、植物の回復状況を見ながら数回散布します。 葉面散布剤としては葉からの吸収率が高く、チッソ分の含有率が高い「ヨーゲンアクセル」が最適です。植物の回復が進んだところで根から養分が吸収できるように速効性肥料で追肥を行い、草勢を回復させます。
過湿害への対策を重視して品種を選定する場合、根張りが強く、過湿害を起こしにくい品種を使用するとよいでしょう。タキイの品種ラインアップとしては秋どり「タフスカイ」→年内どり「福兵衛」→厳寒期どり「伸兵衛」の順に播種することをおすすめします。播種・収穫日の詳細は表をご参照ください。
すぐれた耐暑性をもつ
「タフスカイ」
生育旺盛な秋春どり早生種
「福兵衛」
べと病に強い秋冬どり早生種
「伸兵衛」
近年、露地秋冬どりホウレンソウの播種最盛期に長雨のため圃場が準備できず、秋〜年内どりで計画していた面積のホウレンソウが確保できない事例が散見されます。今後も10月の天候は安定しないことが予想され、限られたタイミングで計画的に播種をする必要があります。
1回の播種面積を増やすと収穫が追いつかないことが懸念されますが、生育スピードが異なる品種を組み合わせることで、時期をずらして収穫することができるため、秋の長雨の対策としてぜひおすすめしたい方法です。
各品種の播種時期ごとの生育日数の目安を表にまとめました。参考にしていただき、天候不良により播種が順調に進まない場合は、2〜3品種を組み合わせた播種をご検討ください。
伸長性の異なる「兵衛」シリーズをうまく活用すれば、露地栽培で熟期の異なる品種を同時にまき、収穫時期をずらして連続出荷できます。
ホウレンソウの種子はサイズ別に販売されております。Mサイズ種子は発芽ぞろいがよく、Lサイズ種子は発芽後の苗立ちが強く、胚軸が太く、子葉が大きいことが特長です。苗立ちが強いLサイズ種子は生育初期の根張りも強く、秋の過湿害対策としてLサイズ種子を使用することもおすすめです。
おすすめ!!
Lサイズ種子は、葉軸が太く、子葉が大きいため、初期生育がすぐれます。
タキイではお得なLサイズ種子をMサイズ種子と同価格、同粒数(3万粒)でご準備しています。
初期成育にお悩みならご検討ください。
2024年
秋種特集号 vol.58
2024年
春種特集号 vol.57