栽培技術

栽培技術

2024/2/20掲載

複合耐病性だけじゃない!
低温伸長性にすぐれて作りやすい!
「レノンスター」上作の栽培ポイント

「レノンスター」は複合耐病性に加えて、低温期の伸長性など作りやすさの点から燃料費の削減や栽培労力の軽減につながっています。ここでは本品種のすぐれた特性を生かす栽培管理のポイントを解説します。

1.苗づくり

〜メリハリのある潅水と徹底した地温管理がポイント〜

発芽が確認でき次第、地温を28℃に下げ従長を防止し、ポットへの移植後本葉1枚目が1cm2程度になるまではなるべく潅水せず、極少量の潅水で対応します。

2.順化処理・活着後の温度管理

〜着果節位の雌花は定植後間もなく分化〜

定植前、ハウスの地温(18℃)より低い地温(16℃)を目標に1日2℃ずつ下げ、徐々に苗を順化させます。定植後4〜5日間は活着を促進させるために地温・最低夜温をしっかりと保持する温度管理が必要であり、その点は慣行の栽培管理と同様です。

3.採光と換気の徹底

〜光は花芽の充実に大きく影響〜

結果枝の伸長期までは採光と換気を図り、じっくりと生育させることが「レノンスター」を作りこなすうえで最も重要なポイントです。「レノンスター」は低温期の伸長性にすぐれるため、子づるが4〜5枚展開した後は、被覆資材の開閉を徹底して採光と換気を図ります。特に加温の場合、慣行の温度管理より夜温の最低気温を2〜3℃低めに管理します。

  • ※極端な蒸し込み管理による温度・湿度過多で地上部が走りやすく、一見地上部が健全に生育して強勢であるように見えても実は逆効果。浅根の原因となり、地上部と地下部のバランスが崩れ、着果後のつるもちが悪くなりしおれることがあります。

採光が徹底されたハウス、草姿

採光が徹底されたハウス、草姿

採光が不十分 花質やつるもちが心配

採光が不十分 花質やつるもちが心配

■定植〜収穫までの目標温度管理と潅水量の目安(熊本県宇城市 ハウス加温栽培事例)

採光が不十分 花質やつるもちが心配

4.結果枝の観察と交配期の設定

〜花質が果実の質を左右〜

結果枝の見え始め〜交配までの7〜10日間はしっかり温度を上げ、花芽(子房)を充実させます。結果枝が弱い場合は潅水を行うなどにして、節位にこだわらず、草勢の回復を図り結果枝の伸びと根域の拡大を促した後で交配期を設定してください。結果枝伸長期から交配前は夜温を高めに保つよう努めるとともに光を十分に当て、雌花と雄花の充実を図ります。(目標の温度管理と潅水量の目安)

  • ※交配期直前の潅水は❶葉水による花粉質の低下・着果不良❷花痕の過肥大❸過湿による病害発生のリスクがあるため注意します。着果性は決して悪くありませんが、結果枝は各つる3本ずつ残し、結果枝より上の葉は10〜12枚確保することで確実な着果と果実の充実を促します。

結果枝の伸びはじめでの生育判断ポイント

雌花の子房が本葉に包まれていれば生育が良好。

雌花の子房が本葉に包まれていれば生育が良好。

子房が本葉より大きい場合、かき上げを検討する。

子房が本葉より大きい場合、かき上げを検討する。

5.着果後の温度・潅水管理

〜玉肥大と後半のスタミナを確保〜

着果確認後は、摘果時期まで圃場水分に応じて積極的に潅水を行います。日中は26〜30℃、夜間のハウス温度は18℃を目標に、温度を高めに保持します。細かいネットが蜜に形成され大割れのリスクがなくなったころから極端な蒸し込み管理は行わずに、潅水量を徐々に増やし草勢回復と玉肥大を図ります。(目標の温度管理と潅水量の目安)

  • ※「レノンスター」は玉伸びしやすいため、過度に温める必要はありません。2次肥大期の極端な蒸し込み、夜温変化は基本的に不要、肥大完了後は日中の換気を強め、25〜28℃で管理します。

「レノンスター」は他の「レノン」シリーズ同様にうすい緑色の皮に全体にふわっとネットが回り始めるのが特徴。

「レノンスター」は他の「レノン」シリーズ同様にうすい緑色の皮に全体にふわっとネットが回り始めるのが特徴。

6.適期収穫

〜日数を目安に試し割りを〜

遊びづるで草勢判断を行います。つるが動き続ける場合は強勢なので約14日前から、逆に伸長が緩慢で成長点と開花節位の距離が近い場合は7日前ごろからを目安とし、水切り、除湿を心掛け登熟を促します。
収穫目安は交配後55〜57日で日数を見ながら試し割りを行い、適期収穫を行います。果梗部の周りにヒビが入る状態も収穫適期のひとつの目安になりますので参考にしてください。

  • ※「レノンスター」は花痕がやや大きい特性がありますが、そこから裂果につながることはありません。ただし果実肥大のよい圃場では花痕から腐れ入ることもあるため、摘果後とネットが全体に回った後の2回は必ず殺菌剤を散布することで腐れ発生のリスクを大幅に軽減することができます。

果梗部の周りにヒビが入る状態も収穫適期の目安。

果梗部の周りにヒビが入る状態も収穫適期の目安。